法人の税務調査「いつ来る?」「何年ごと?」の疑問に答えます
会社を経営されている経営者様は、税務調査という言葉について漠然とした不安をお持ちではないでしょうか。「うちの会社にはいつ来るのだろうか」「何年ごとに実施されるのが一般的なのか」といった疑問は尽きません。このセクションでは、法人の税務調査に関する基本的な疑問を解消し、その全体像を明確に解説いたします。
法人の税務調査は平均3〜10年に1回が目安は本当?
法人の税務調査の頻度は、一概に「何年ごと」と断言することは難しいはずです。なぜなら企業の規模、業種、過去の申告状況、あるいは税務署の重点調査項目など、さまざまな要因によって変動するためです。
しかしなぜか、「法人の税務調査の実務上の目安としては概ね3〜10年に1回程度とされる」と言われることが多いです。根拠はあるのでしょうか?一方で10年以上調査がない法人も存在します。従っていつ対象となってもおかしくない、と備えておくことが無難と考えます。
法人の税務調査の確率は個人の2倍程度
国税庁が公表している年間税務調査件数等のデータを基に算出した確率は、近年であれば法人の税務調査実施率が約1.9%程度、個人事業主が約0.9%程度と算出されており、法人の方が調査を受ける割合が高い傾向にあります。これについては確実な事実と考えてよいでしょう。
調査対象期間は実務上3年、原則5年、不正があれば最大7年
税務調査で過去の帳簿や書類がどこまで遡って確認されるのかは、多くの経営者様が気にされる点です。税務調査では実務上、直近3年分を中心に確認されることが多いです。
しかし、これはあくまで実務上の話であり、法律上の話が存在します。
- 税務署の調査官は年間調査件数ノルマを抱えており、すべての調査対象者に対して5年分調査する余裕がありません。そこで実務ではまず直近3年分が確認され、多数の誤りや3年以前も発生していることが疑われる常習性の高い問題が見つかった場合等には本来の原則である5年分を調査することになります。
- さらに、意図的な不正行為(偽りその他不正行為)が判明した場合には、過去7年分まで遡及して追徴課税が行われることになります。
このため税務調査は3年分と覚えるのではなく、最長7年であることを意識し、日頃から正確な会計処理と申告を行うことが極めて重要です。
新設法人が狙われやすいは本当か?
「会社を設立したばかりだから、まだ税務調査は来ないだろう」と考えている新設法人の経営者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、新設法人も税務調査の対象から外れるわけではありません。むしろ、特定の時期や状況においては、税務署の注目を集めやすい傾向があるのです。
このセクションでは、新設法人が税務調査の対象となりやすい時期と、税務署が特に注目するポイントについて詳しく解説します。
会社設立後3〜5年に税務調査が来るのは本当か?
「新設法人が税務調査の対象となりやすい時期として、一般的に会社設立後3年から5年という期間である」というような記述を見かけます。しかし国税庁が公表しているデータ等からそのような根拠を見つけることはできませんでした。
しかし、先述の通り個人事業主より法人の方が税務調査を受ける確率が高いという確実なデータが存在します。そうすると個人事業主が開業した場合より、新設法人の方が、税務調査が来やすいことは言えるかもしれません。新設法人で税務調査の対象となりやすいケースを考えてみます。
新設法人で税務調査の対象になりやすいケース
新設法人の中でも、特に税務調査の対象となりやすいケースを考えてみます。
- 個人事業主から法人成りした場合: 法人成りの場合は、個人事業主から償却資産を譲渡で引き継ぐ、個人事業主から法人への切り替え時期における売上の帰属を明確にする、法人の通帳口座が開設されるタイムラグの発生する間は、個人事業主が売上金を仮受金として処理する等、会計税務処理で誤りが発生する可能性が高いです。この点を税務調査官は狙っています。
- 急激な売上増加と利益率の変動: 設立後、短期間で売上が急増しているにもかかわらず、利益率が同業他社と比較して著しく低い、あるいは赤字が続いているようなケースは、税務署の目が向きやすくなります。
- 同業他社と比較して突出した経費計上: 特定の経費(交際費、旅費交通費、消耗品費など)が同業他社の平均値と比べて異常に高い場合、その内容が適正であるかどうかが厳しくチェックされます。
- 役員報酬の不自然な設定: 例えば、売上増加にもかかわらず赤字であったり、役員報酬を0円に設定したまま赤字が続いているようなケースは、役員の生活費はどうしているのかと税務署が疑問を抱く論点です。
- 消費税の還付申告: 消費税の還付申告は、税務署が特に重点的に確認する項目の一つです。設立当初に多額の設備投資を行い、消費税の還付を受けている新設法人は、その内容の適正性を確認するために調査の対象となりやすい傾向があります。
これらのケースに心当たりのある経営者様は、税務調査に備えて、今一度自社の会計処理や申告内容を確認することをお勧めいたします。
「赤字法人だから大丈夫」は誤解!赤字でも税務調査は来る
「うちの会社は赤字だから、税務調査は来ないだろう」――このように考えている経営者様は少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。赤字申告の法人であっても、税務調査の対象となることは十分にあり得ます。
このセクションでは、赤字法人が税務調査の対象となる理由と、その際の税務署の主な目的について詳しく解説します。
約3分の2の法人は赤字の申告
申告書を提出した法人のうち約3分の2は赤字申告というデータがあります。日本の景気はここまで悪いのかと思われませんが、実はそれだけではありません。
日本の法人の多くが同族会社による同族経営です。そうするといわゆるファミリー経営による利益調整が行われ、例えば法人に利益が出そうな場合はとにかく役員や家族従業員に給与を支払おうとします。これが原因で、損益トントンのギリギリや、少し赤字程度の損益に調整しがちとなります。
このような法人は、経営ひっ迫している赤字法人というよりは、一般的な法人と同様に扱うべきと考えられて十分に調査の対象となります。
赤字法人へ狙いを定める場合は「消費税の還付」
赤字法人に対する税務調査において税務署が注目するのは、消費税の還付です。
- 消費税の還付: 赤字法人の場合で課税売上げよりも課税仕入れの方が多い場合は、消費税の還付を受けることが可能です。従って、課税仕入れを過大に申告することで不正に消費税の還付を受ける企業が存在します。そのため、税務署は赤字申告により還付申告を行う法人に対して警戒します。
架空経費や売上除外の疑いも調査対象となる
また赤字申告であり、その赤字が架空経費の計上や売上除外といった不正行為によって作り出されたものであれば、税務調査の対象となります。税務署は、申告された帳簿や資料だけでなく、銀行口座の入出金履歴、取引先からの情報、同業他社のデータなど、さまざまな角度から不正の有無をチェックします。
架空経費とは、実際には発生していない費用を計上することであり、売上除外とは、本来計上すべき売上を意図的に申告から外す行為です。これらの不正が発覚した場合、重加算税という非常に重いペナルティが課されることになります。さらに、悪質なケースではマルサによる強制調査の対象となる可能性も否定できません。
以上から仮に赤字であったとしても税務署にとっては様々なチェックポイントがあります。赤字法人だから税務調査の可能性は低いと安易に考えるのではなく、常に税務署にチェックされていると備えることが、将来的なリスクを回避する唯一の道と言えるでしょう。
法人の税務調査を円滑に進める初動対応と税理士の役割
税務調査の通知が法人に届いた際、どのように対応すべきか、不安を感じる経営者様は少なくないでしょう。特に、顧問税理士がいない場合は、その不安は一層大きくなるかもしれません。このセクションでは、税務調査の通知が来てからの初動対応と、税理士が果たす重要な役割について解説します。
税理士不在の法人は税務署に狙われやすい理由
税務調査の対象選定において、税理士の関与の有無は重要な要素の一つとなり得ます。法人の申告では税理士が関与している割合が高く、財務省公表データでは法人税申告の約9割が税理士関与であると示されています。
このような状況下で、もし貴社に顧問税理士がいない場合、税務署からは「税務の専門家がチェックしていないため、申告内容に誤りがある可能性が高いのではないか」「税務に関する知識が不足しているため、指導が必要なケースではないか」と見なされ、税務調査の対象として狙われやすいと考えてよいでしょう。
税理士が関与していれば、日頃から適正な会計処理が行われ、法令に則った申告がなされていると税務署も判断しやすくなります。しかし、税理士が不在であれば、税務署が調査に踏み切る可能性が高まるのです。
顧問税理士がいない場合の「スポット依頼」の有効性
「これまで顧問税理士を頼んでいなかったけれど、税務調査の通知が来てしまった」という場合でも、諦める必要はありません。税務調査対応に特化した税理士事務所では、税務調査時のみの「スポット依頼」を受け付けています。
顧問税理士がいない状況で税務調査に臨むことは、非常に大きなリスクを伴います。税法の専門知識がないまま調査官と直接やり取りを行うことは、不利な状況を招きやすく、不当な指摘を受け入れてしまう可能性も否定できません。また、精神的な負担も計り知れないものとなるでしょう。
そこで、税務調査の経験豊富な税理士にスポットで依頼することには、以下のような大きなメリットがあります。
- 調査官との交渉をスムーズに進める: 税理士が間に入ることで、専門用語を用いた円滑なコミュニケーションが可能となり、調査がスムーズに進行します。
- 不当な指摘から会社を守る: 調査官の指摘が法的に正しいものか、根拠があるものかを税理士が厳しくチェックし、不当な要求や指摘に対しては毅然と反論します。
- 経営者の精神的負担を軽減する: 調査対応の窓口を税理士が務めることで、経営者様は本業に集中でき、精神的なストレスを大幅に軽減できます。
- 追徴税額の最小化を目指す:税務調査開始前の自主的な申告を実施することにより加算税率の軽減や重加算税回避の可能性を高めます。
税務調査の通知を受けた際は、一人で抱え込まず、速やかに税務調査に強い税理士に相談することをお勧めいたします。顧問契約のない法人様からのスポット対応も承っております。対応可否や費用については、事前の面談やご相談のうえで個別にご案内いたします。
税務調査に強い税理士選びのポイント
税務調査対応を依頼する税理士を選ぶ際は、いくつかの重要なポイントがあります。
- 税務調査前の自主的な修正申告、自主的な期限後申告の知識を有しているか:税務調査前の自主的な修正申告、自主的な期限後申告により重加算税回避の可能性を高める選択肢を明示してくれるかどうかは重要です。
- 迅速かつ柔軟な対応が可能か: 税務調査は時間との戦いです。もし調査通知後から調査当日までに自主的な申告書を提出する場合は、土日祝日や深夜でも対応してくれるような機動力のある税理士でなければ間に合わないでしょう。
- 納税者に寄り添う姿勢があるか: 過去の申告にやましいことがある場合でも、決して非難せず、リカバリーを共に考えてくれる税理士を選びましょう。
当事務所は、税務調査対応に特化し、事前の自主的な修正申告の相談・対応に関する経験が豊富な税理士事務所です。状況に応じた対応方法については、個別の事案に基づき判断いたします。土日祝日や時間外の対応については、事前の調整で対応致します。
料金については対応内容や作業量により異なりますので、個別のお見積りでご案内いたします。税務調査でお困りの際は、ぜひ当事務所にご相談ください。
まとめ|法人の税務調査は事前準備と専門家への相談が鍵
法人の税務調査は、いつ、どのような形で来るか予測が難しいものです。新設法人や赤字法人であってもいつやってくるかわかりません。
税務調査の不安を解消し、円滑に進めるためには、日頃からの適切な会計処理と、いざという時の専門家への迅速な相談が不可欠です。特に、顧問税理士が不在の法人様は、税務署から「狙われやすい」という現実を踏まえ、税務調査対応に強い税理士へのスポット依頼を真剣に検討されることをお勧めいたします。
田中信男税理士事務所は、税務調査の「最後の砦」として、納税者の皆様が困難を乗り越え、前向きに将来を歩み出すための支援に尽力しております。過去を責めず、未来のための最善策を共に追求する姿勢で、皆様のお力になります。税務調査に関するご不安やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
「どうしよう」を「安心」に変えるために。
税務調査の通知は、ある日突然やってきます。「何を聞かれるのか」「ペナルティはあるのか」と不安になるのは当然です。
当事務所は、税務調査に特化した専門家として、あなたの味方となり迅速に対応します。現状を丁寧にヒアリングし、最適な解決ルートを明快にご提示。
費用やサポート内容も事前に正直にお伝えします。手遅れになる前に、まずは一度ご相談ください。