意図的な過少申告と税務調査
赤字の個人事業主はむしろ狙われている|どうやって生活しているの?
「赤字だから大丈夫」は嘘。むしろ税務署に狙われています
「個人事業主で赤字申告をしていれば、税務調査の対象にはならない」
もしあなたが、このように考えているのであれば、その認識は根本的に誤りです。むしろ、赤字申告をしている個人事業主こそ、税務署から厳しい視線を向けられているという現実を知る必要があります。
税務署は、提出された確定申告書に不自然な点がないかを確認しています。そして、個人事業主の「赤字」は、申告内容を確認するうえで注目されやすい要素になり得ます。
この記事は、意図的に売上を少なくしたり、プライベートな支出を経費に計上したりして赤字申告をしてしまった結果、「もしバレたらどうしよう…」という深い不安を抱えているあなたのために執筆しました。
なぜ赤字申告が危険なのか、その本当の理由と、最悪の事態を回避するために今すぐ何をすべきか。この記事を読み終える頃には、その答えが明確に見えているはずです。
税務調査官は「どうやって生活しているの?」と見ています
赤字の個人事業主に対して税務調査が来ないというのは嘘で、むしろ狙われています。なぜなら赤字の個人事業主の生活費について税務調査官が疑問を持つからです。
ここで理解すべき重要な点は、法人における赤字と、個人事業主における赤字では、その意味が全く異なるということです。
法人の赤字は、生活費である役員報酬を控除した後での赤字もあり得ます。役員報酬を控除後で赤字の法人は、その役員報酬が生活費となります。またもし法人のお金が足りなくなれば、役員が役員借入金として法人にお金を入れれば法人が倒産することも防げます。
しかし、個人事業主の「事業所得の赤字」は、まさに生活費がマイナスということになります。個人事業主の貯金を切り崩して生活している、または家族からの援助を受けていなければ生活できないはず、と税務調査官は考えます。
そうすると税務調査官は、個人事業主の確定申告書における赤字は偽りで、実は不正をしてお金を貯めているのではないかと考えるわけです。
具体的には、個人事業主の売上が低いため赤字の場合は、売上を除外しているのではないかと税務署は考えます。個人事業主の経費が多いため赤字の場合は、架空経費を計上しているのではないか、私的な支出を経費にしているのではないかと税務署は考えます。またそもそも、適当ないい加減な確定申告書を提出しているのではないかと税務署は考えます。
赤字申告は、生活費の原資や申告内容の整合性について確認されるきっかけになり得ます。
調査で指摘される不正行為と重加算税のリスク
税務調査において、単なる計算ミスや解釈の違いであれば、過少申告加算税や延滞税といったペナルティで済みます。しかし、意図的に税金を免れようとした「隠蔽仮装」行為が認定された場合、最も重いペナルティである重加算税が課されることになります。
赤字申告の背景にある以下のような行為は、まさに「隠蔽仮装」そのものと判断される典型的なケースです。
- 売上除外:取引先からの入金の一部を事業用の口座ではなく個人口座に入金する、現金売上を申告しないといった行為です。売上除外している場合はうっかりミスと言い訳して重加算税を回避することは困難であるため、税務調査前に修正申告書を提出することで重加算税を回避できる可能性を高めることが重要と考えます。
- 架空経費の計上:実際には存在しない取引をでっち上げ、架空の請求書や領収書を用いて経費を水増しする行為です。架空経費を計上している場合は、架空の請求書や領収書の存在が明らかであるため、言い訳して重加算税を回避することは困難です。税務調査前に修正申告書を提出することで重加算税を回避できる可能性を高めることが重要と考えます。
- 私的経費の計上:家族との食事代や旅行費、趣味の物品購入費など、明らかにプライベートな支出を事業経費として計上する行為です。個人事業主が私的プライベートな経費を計上することにより課税逃れをしていても重加算税が賦課されなかった国税不服審判所裁決事例が存在します(令和3年3月24日裁決)。しかし一方で、会社経営者の個人的な交際費を法人の経費にしていたということで重加算税が賦課された裁判例が存在します(東京地裁令和2年3月26日判決、その後の東京高裁令和3年1月28日判決でも同様の結論)。したがって、個人事業主が私的プライベートな経費を計上することにより課税逃れをしている場合も、税務調査前に修正申告書を提出することで重加算税を回避できる可能性を高めることが安全と考えます。
また、売上も経費もいい加減な数字で申告しているケースも多く存在します。この場合であっても「忙しかったから正確な計算ができなかった」というような言い訳は通用しません。税務調査前に修正申告書を提出することで重加算税を回避できる可能性を高めることが重要と考えます。
まだ、間に合います。重加算税のリスクを下げるために検討すべき対応
ここまで読んで、絶望的な気持ちになっているかもしれません。ただし、状況によっては最悪の事態を免れることができる可能性が残されています。
有力な対応の一つは、「税務調査の通知が来た後であっても、税務調査開始日の前日までに正しい内容の修正申告書を提出すること」です。
なぜなら、たとえ調査通知後であっても、調査によって更正されることを予知する前に行った修正申告であれば、重加算税を回避できる可能性があるからです。
やましいことに心当たりがある状態でそのまま税務調査を受けることは、最も避けるべき選択です。不安を抱えながら日々を過ごすのではなく、不安をすぐに解消することにより、今後の結果を改善できる可能性があります。
正当な赤字の場合にすべきこと
もちろん、全ての赤字が不正によるものではありません。創業期で先行投資がかさんだり、大規模な設備投資を行ったりと、正当な理由で赤字になるケースも当然あります。
もしあなたがこれに該当する場合、税務署に無用な疑念を抱かせないための工夫が有効です。具体的には、青色決算書や白色申告における収支内訳書の本年における特殊事情の欄を活用して、理由を説明することが、税務調査を省略させるために有効と考えます。
この説明があるだけで、調査官の心証は大きく変わり、不要な税務調査を回避できる可能性が高まります。
一人で抱え込まず、今すぐ専門家にご相談ください
修正申告の重要性はご理解いただけたかと思います。しかし、過去の申告内容を遡って正確に計算し直し、法的に正しい申告書を作成するのは、精神的にも技術的にも非常に困難な作業です。
特に、税務調査を意識した修正申告には、専門的な知識と経験に基づくスピードが不可欠です。改めて、どこまでが経費として認められ、どのような説明を準備すべきか。その判断を誤れば、せっかくの修正申告が意図した効果を発揮しない可能性すらあります。
当事務所は、納税者様の未来を守るため、最後まで重加算税回避の可能性を諦めません。一人で抱え込まず、まずは現在の申告内容やご不安な点をご相談ください。
初回のご相談は無料です。下記よりお気軽にお問い合わせください。
隠ぺい仮装や無申告を指摘された納税者の税務調査中の後出し簿外経費が不可に
結論
・事前自主修正申告(事前自主期限後申告)をせずに隠蔽仮装状態又は無申告状態のまま税務調査を受けた納税者は、原則的に間接経費の計上が認められず、例外的に証拠能力の高い資料を提示して認められた場合にのみ間接経費の計上が認められるという通常では考えられない不利な状況となることが明文化されました。これが後出し簿外経費不可と呼ばれています。
・学説等によれば、後出し簿外経費については納税者側に立証責任があるとされていたものの、実務では税務署が税務調査において大量に提出された後出し経費を精査するという理不尽を税務署が負っていたようです。
・R5年(2023年)分以後については、事前自主修正申告(事前自主期限後申告)をせずに隠蔽仮装状態又は無申告状態のまま税務調査を受けた納税者の経費主張はまず拒否されることとなります。
・当該規定に該当する場合は隠蔽仮装行為に関わる経費だけでなくそのた申告済みの経費についても適用があり、原則的に疑われることとなります。
・反対を言えば、事前自主修正申告(事前自主期限後申告)をすれば当該規定の適用はない、となります。
・適用時期は、個人事業主については令和5年(2023年)分以後の所得税について適用され、法人については令和5年(2023年)1月1日以後開始する事業年度について適用されます。
以下で詳細を記述します。
後出し簿外経費不可とは
後出し簿外経費不可という文言は正式な用語ではないと思われます。
・国税庁ホームページの法人税法において「証拠書類のない簿外経費についての損金不算入措置」という文言は見つけることができました。(国税庁ホームページ:令和4年6月24日付課法2-14ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明)
・国税庁のホームページの所得税法においては「証拠書類のない簿外経費についての必要経費不算入措置」という文言は見つけることはできませんでした。(2025年8月8日現在)
・財務省トップページ 税制 毎年度の税制改正 税制改正の概要 令和4年度 令和4年度 税制改正の解説 所得税法等の改正 詳解、において「証拠書類のない簿外経費」という文言が見受けられました(財務省トップページ 税制 毎年度の税制改正 税制改正の概要 令和4年度 令和4年度 税制改正の解説 所得税法等の改正 詳解)
・財務省トップページ 税制 毎年度の税制改正 税制改正の概要 令和4年度 令和4年度 税制改正の解説 法人税法等の改正 詳解、において「証拠書類のない簿外経費」という文言が見受けられました(財務省トップページ 税制 毎年度の税制改正 税制改正の概要 令和4年度 令和4年度 税制改正の解説 法人税法等の改正 詳解)
以上を総合勘案すると、
証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置の規定について、誰かが「後出し経費不可」と言い出し、それが広まったのではないか
と推測されます。
以下においては、証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置、後出し経費不可、の文言のいずれも使用いたします。
財務省資料において当該改正の正式名称が記述されてます
・令和4年度 税制改正の解説 所得税法等の改正 詳解においては、「五 家事関連費等の必要経費不算入等の改正」とあります。
・令和4年度 税制改正の解説 法人税法等の改正 詳解においては、「二 不正行為等に係る費用等の損金不算入制度の改正」とあります。
根拠規定
根拠規定:法人税法55条3項
3 内国法人が、隠蔽仮装行為に基づき確定申告書(その申告に係る法人税についての調査があつたことにより当該法人税について国税通則法第25条(決定)の規定による決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかつた場合には、これらの確定申告書に係る事業年度の第22条第3項第1号(各事業年度の所得の金額の計算の通則)に掲げる原価の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として政令で定める額を除く。)、同項第2号に掲げる費用の額及び同項第3号に掲げる損失の額(その内国法人が当該事業年度の確定申告書を提出していた場合には、これらの額のうち、その提出した当該確定申告書に記載した第74条第1項第1号(確定申告)に掲げる金額又は当該確定申告書に係る修正申告書(その申告に係る法人税についての調査があつたことにより当該法人税について更正があるべきことを予知した後に提出された修正申告書を除く。)に記載した同法第19条第4項第1号(修正申告)に掲げる課税標準等の計算の基礎とされていた金額を除く。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する当該原価の額、費用の額又は損失の額については、この限りでない。
一 次に掲げるものにより当該原価の額、費用の額又は損失の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかつたことをその内国法人において証明した場合を含む。)
イ その内国法人が第126条第1項(青色申告法人の帳簿書類)又は第150条の2第1項(帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定めるところにより保存する帳簿書類
ロ イに掲げるもののほか、その内国法人がその納税地その他の財務省令で定める場所に保存する帳簿書類その他の物件
二 前号イ又はロに掲げるものにより、当該原価の額、費用の額又は損失の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(同号に掲げる場合を除く。)であつて、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
根拠規定:所得税法45条3項
3 その年において不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務を行う居住者又はその年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分の当該雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が300万円を超えるものが、隠蔽仮装行為(その所得の金額又は所得税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいう。)に基づき確定申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかつた場合には、これらの確定申告書に係る年分のこれらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として政令で定める額を除く。以下この項において「売上原価の額」という。)及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額(その居住者がその年分の確定申告書を提出していた場合には、これらの額のうち、その提出した当該確定申告書に記載した第120条第1項第1号(確定所得申告)に掲げる金額又は当該確定申告書に係る修正申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について更正があるべきことを予知した後に提出された修正申告書を除く。)に記載した国税通則法第19条第4項第1号(修正申告)に掲げる課税標準等の計算の基礎とされていた金額を除く。)は、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額及び雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する当該売上原価の額又は費用の額については、この限りでない。
一 次に掲げるものにより当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかつたことをその居住者において証明した場合を含む。)
イ その居住者が第148条第1項(青色申告者の帳簿書類)又は第232条第1項若しくは第2項(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定めるところにより保存する帳簿書類
ロ イに掲げるもののほか、その居住者がその住所地その他の財務省令で定める場所に保存する帳簿書類その他の物件
二 前号イ又はロに掲げるものにより、当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(同号に掲げる場合を除く。)であつて、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
適用時期
・個人事業主については令和5年(2023年)分以後の所得税について適用されます。
・法人については令和5年(2023年)1月1日以後開始する事業年度について適用されます。
財務省の解説
令和4年度 税制改正の解説 所得税法等の改正 詳解p82-83より
・所得課税においては、裁判例によって示されているように「所得金額」や「必要経費の存否及び額」については、原則として課税当局の側に立証責任があるとしつつ、「簿外経費」については、納税者側に立証責任があると解する場合が多いとされています。しかしながら、実際の事案として、所得税の税務調査において家事関連費の計上を発見した後に、納税者が簿外経費の存在を後から主張し、課税当局が多大な事務量を投入してその簿外経費が全て存在しないことを立証して更正に至ったという悪質な事案があります。
・これを踏まえ、納税者が事実の仮装・隠蔽がある年分又は無申告の年分において主張する簿外経費の存在が帳簿書類等から明らかでなく、課税当局による反面調査等によってもその簿外経費の基因となる取引が行われたと認められない場合には、その簿外経費は必要経費に算入しないこととする措置を講ずることとされました。
・ また、(期限内申告済みの)場合であっても、隠蔽仮装行為に関連する額のみが本措置による必要経費不算入の対象となるのではなく、隠蔽仮装行為に関連しないものも含めてその年分の全て(直接費用、販売費、一般管理費等)の額が本措置による必要経費不算入の対象となります。
財務省の解説のさらに要点解説
・R5年(2023年)分より前であっても、簿外経費については納税者に立証責任があるはずであった。しかし実務上は、税務調査において納税者が後出しで証拠能力の薄い、根拠の乏しい経費を主張してきた場合でも税務署は拒否できずに精査する時間コストを強いられてきた。
・R5年(2023年)分以後においては、隠蔽仮装納税者や無申告納税者といった不誠実な納税者に対しては簿外経費を税務署が拒否できる法整備がされた。
・当該規定は、隠蔽仮装に関連しない経費にも影響を及ぼす規定である。
根拠規定の要約解説
根拠規定を要約します。
・対象者は事前自主修正期限後申告せずに税務調査を受けた個人事業主及び法人は、原則として経費計上が認められません。
・しかし、(原則として経費を認めないことは厳しすぎるため)仕入経費に関する帳簿資料が存在する場合には計上を認めますが、後からとってつけたような手書きの伝票による経費は基本的には認めないし、当該経費計上の可否判定のための反面調査の手間コストはかけない、と税務署が主張できるようになった。
税法における立証責任について
申告納税方式においては、納税者が期限内申告をしていれば原則的にまずは全面的に納税者を信頼し、その申告内容が尊重されます。しかし意図的な過少申告者や無申告者は、まず信頼されない、まず尊重されないということになります。
代表的な事例を想定:相手方からの請求書や領収書が存在しないが確かに存在した外注費を納税者自らが作成した手書きの伝票で外注費の存在を主張する、場合など
〇事例1:ある売上を除外していたが、それに伴う外注費が存在しているが当該外注費の証拠能力が乏しい過少申告者Aに調査通知があった場合
・税務調査前に事前自主修正申告せずに調査を受けると、売上除外は売上計上を認定されるが、外注費は否認される、という可能性が高まります。
・税務調査前に事前自主修正申告すれば、売上計上と共に証拠能力が乏しい外注費の存在についてもまずは尊重されることになります。
〇事例2:帳簿資料がほとんど残っていない無申告者Bに調査通知があった場合
・税務調査前に事前自主期限後申告せずに調査を受けると、売上経費ともに税務調査官主導で決定していき、納税者の意見は尊重されなくなります。
・税務調査前に、記憶やメールやメモ帳や手帳から推測される売上や経費により金額を算出し、事前自主期限後申告すれば、当該申告書はまずは尊重されることになります。
証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置改正の経緯
証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置の改正の経緯としては、
・隠蔽仮装をしていた納税者の簿外経費の主張として事後的に提出された書類の確認に多大な事務量を要した事例
・無記帳・無申告の者に対する推計課税事案
のような事例が、かつてより問題視されていたためです
簿外経費の主張として事後的に提出された書類の確認に多大な事務量を要した事例(第6回 納税環境整備に関する専門家会合(2021年8月10日)資料一覧)
【事案の概要】
●調査対象者は翻訳業務を行う個人事業者。調査の過程で、多額の家事関連費(自宅や親族宅の家賃、飲食代、衣料品代等が数億円)が費用計上されていることを把握。
●上記問題点を指摘したところ、計上漏れ経費がある旨の申立てがあった。後日、家事関連費とほぼ同額の外注費として1,000枚超の領収書(支払先数百名分)が提出され、全て現金手渡しでの支払いであったと主張。領収書記載の外注先は、大半が海外居住者であり、国内居住者の大部分についても居住実態が確認できない者だった。
●調査官は、上記領収書の解明及び居住等調査に加え、反面調査等により事実関係を確認した結果、領収書記載の取引が虚偽であると認定。必要経費として認容しないこととして更正処分を行ったが、上記の調査に当たっては約1,000人日の事務量を投下。
【問題点】
●後出し的な簿外経費の主張であっても、当局側が多大な事務量を投下してその真偽を確認しなければならない。特に現金払いの簿外経費については、銀行取引明細等による確認ができないため、支払の事実を確認する負担が大幅に増加する。
連年事業を行うも無記帳・無申告の者に対する推計課税事案(第6回 納税環境整備に関する専門家会合(2021年8月10日)資料一覧)
【事案の概要】
●調査対象者は防水工事を営む個人事業者。明らかに事業を営んでいるが連年無申告。
●再三にわたって連絡票を差し置いたにもかかわらず、納税者から一切連絡がなかったため、近隣の銀行や取引先に対する反面調査を実施。
●反面調査により把握した売上金額(実額)と、同業者の経費率から算出した必要経費を用いて所得金額を推計し、決定処分を行った。【調査期間:6ヵ月、重加算税の賦課なし。】
【問題点】
●「無記帳の者」、「帳簿書類の保存(提示)をしない者」であっても、推計課税により、同業者と同程度の必要経費が認められる。
● 一般の事業者が果たしている、「記帳」や「帳簿書類の保存(提示)」の義務を果たさなくても「仮装隠蔽」には当たらないことから、重加算税(ペナルティ)を受けない。
影響大と推測される業種(弊所独自の推測)
・資産を仕入て販売譲渡を行う、卸売業、小売業、製造業を除くサービス業が全般的に影響が大きいと推測されます。
・外注費が多額と見込まれる、建設業や一人親方の大工などが全般的に影響が大きいと推測されます。
・ユーチューバーは、直接経費が少ないので影響が大きいと推測されます。
影響大と推測される業種(事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種を参考に)
・経営コンサルタント←直接仕入経費が少ないサービス業と解されます。
・タイル工事←外注費が高額と解されます。
・冷暖房設備工事←外注費が高額と解されます。
・バー←ヘルプホスト、ヘルプホステスなどの外注費が高額と解されます。
・電気通信工事←外注費が高額と解されます。
・システムエンジニア ←直接仕入経費が少なく、外注費が高額と解されます。
・商工業デザイナー←直接仕入経費が少なく、外注費が高額と解されます。
・不動産代理仲介←直接仕入経費が少ないサービス業と解されます。
・外構工事←外注費が高額と解されます。
・型枠工事←外注費が高額と解されます。
・一般貨物自動車運送←直接仕入経費が少ないと解されます。
影響大と推測される業種(法人税、不正発見割合の高い10業種を参考に)
・土木工事←外注費が高額と解されます。
・職別土木建築工事←外注費が高額と解されます。
・一般土木建築工事←外注費が高額と解されます。
・管工事←外注費が高額と解されます。
・その他の道路貨物輸送←直接仕入経費が少ないと解されます。
・バー・クラブ ←ヘルプホスト、ヘルプホステスなどの外注費が高額と解されます
影響大と推測される業種(法人税、不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種を参考に)
・運輸附帯サービス←直接仕入経費が少ないと解されます。
・その他の対事業所サービス←直接仕入経費が少ないサービス業と解されます。
・その他の不動産←直接仕入経費が少ないサービス業と解されます。
・情報サービス、興信所←直接仕入経費が少ないサービス業と解されます。
当該規定を回避するための策
事前自主修正期限後申告をすれば当該規定の適用はない、となります。
まとめ
・隠ぺい仮装を行った者は、重加算税が賦課されることに加えて、後出し簿外経費も認められなくなりました。
・無申告者が重加算税が課税されにくいことに対する批判の影響もあり、無申告者に対する厳罰化として後出し簿外経費が認められなくなりました。
田中信男税理士事務所は、「過去を責めない」という理念のもと、税務調査という困難に直面した納税者の皆様が、安心して事業を継続できるよう、最後の砦として全力でサポートいたします。適切な対策を講じることで、税務調査への備えが整い、不安の軽減や事業運営の安定につながる可能性があります。ご不明な点やお困りの際は、当事務所までご相談ください。
修正申告書作成については通常の確定申告書作成とやや異なります
結論
個人事業主
・個人所得税及び個人消費税
○令和元年分(7年前)←手書き又は民間の税務ソフトが必要←個人所得税は第5表を作成
○令和2年分(6年前)←手書き又は民間の税務ソフトが必要←個人所得税は第5表を作成
○令和3年分(5年前)←確定申告書作成コーナーで作成可能←個人所得税は第5表を作成
○令和4年分(4年前)←確定申告書作成コーナーで作成可能←個人所得税は第5表は廃止で第1・2表で修正
○令和5年分(3年前)←確定申告書作成コーナーで作成可能←個人所得税は第5表は廃止で第1・2表で修正
○令和6年分(2年前)←確定申告書作成コーナーで作成可能←個人所得税は第5表は廃止で第1・2表で修正
○令和7年分(1年前)←確定申告書作成コーナーで作成可能←個人所得税は第5表は廃止で第1・2表で修正
法人
・法人消費税←手書き又は民間の税務ソフトが必要
・法人税←手書き又は民間の税務ソフトが必要←前期事業税の認容処理が必要
つまり無申告解消のための期限後申告は通常の確定申告と作成方法は同じですが、修正申告はやや独特の作成方法となります。
以下で詳細を記述します。
個人事業主
確定申告書作成コーナーで個人消費税の修正申告書する手順
・前提条件
○令和3年分消費税
◎当初売上12,000,000、経費8,000,000、所得4,000,000、納付消費税国税283,600、納付消費税地方税79,900
○令和3年分消費税の修正額
◎修正後売上14,000,000、経費8,000,000、所得4,000,000
・作成手順
確定申告書作成コーナー、新規に更正の請求書・修正申告書を作成する、印刷して提出、利用規約に同意して次へ、作成する更正の請求書・修正申告書の年分を選択してください・令和3年分、消費税の更正の請求書・修正申告書・作成開始、データを利用して作成、r3syouhi.data、保存データを読み込み、次へ進む、事業所得・内容訂正、売上(収入)金額(雑収入を含む)を12,000,000から14,000,000へ変更、次へ、修正申告により新たに納付すべき税額は181,800円です。と算出される、コンビニ納付用QRコードを作成する 、次へ、帳票表示・印刷、入力データを保存、終了、となります。
・作成されたものは下記となります。

・修正後売上14,000,000、納付消費税国税425,400、納付消費税地方税119,900
・納付消費税国税差額=425,400-283,600=141,800
・納付消費税地方税差額=119,900-79,900=40,000
・修正申告による納付消費税=141,800+40,000=181,800
となります。
確定申告書作成コーナーで個人所得税の修正申告書する手順(令和3年以前)
・前提条件
○令和3年分所得税
◎当初売上12,000,000、経費8,000,000、所得4,000,000、納付所得税282,300
○令和3年分所得税の修正額
◎修正後売上14,000,000、経費8,000,000、所得6,000,000
・作成手順
確定申告書作成コーナー、新規に更正の請求書・修正申告書を作成する、印刷して提出、利用規約に同意して次へ、作成する更正の請求書・修正申告書の年分を選択してください・令和3年分、所得税の更正の請求書・修正申告書・作成開始、データを利用して作成、r3syotoku.data、保存データを読み込み、次へ進む、追加訂正等項目の選択・事業所得をチェック、入力終了次へ、青文字の事業所得(営業等、農業)をクリック、収入金額を14,000,000へ修正・所得金額を6,000,000へ修正、入力終了次へ、請求額・申告額を計算する、OK、修正申告により新たに納付すべき税額は、408,400円です。と算出される、入力終了次へ、OK、修正申告によって異動した事項の入力・所得の種類(全角10文字以内)・事業所得・収入金額
(半角13桁以内)2,000,00と入力・必要経費(半角13桁以内)0と入力・入力終了次へ、次へ、帳票表示・印刷、入力データを保存、終了、となります。
・作成されたものは以下となります。

・修正後売上14,000,000、経費8,000,000、所得6,000,000、納付所得税額690,700
・納付差額所得税額=690,700-282,300=408,400
となります。
確定申告書作成コーナーで個人所得税の修正申告書する手順(令和4年以降)
・前提条件
○令和4年分所得税
◎当初売上12,000,000、経費8,000,000、所得4,000,000、納付所得税282,300
○令和4年分所得税の修正額
◎修正後売上14,000,000、経費8,000,000、所得6,000,000
・作成手順
確定申告書作成コーナー、新規に更正の請求書・修正申告書を作成する、印刷して提出、利用規約に同意して次へ、作成する更正の請求書・修正申告書の年分を選択してください・令和4年分、所得税の更正の請求書・修正申告書・作成開始、データを利用して作成、r4syotoku.data、保存データを読み込み、次へ進む、追加訂正等項目の選択・事業所得をチェック、入力終了次へ、青文字の事業所得(営業等、農業)をクリック、収入金額を14,000,000へ修正・所得金額を6,000,000へ修正、入力終了次へ、請求額・申告額を計算する、OK、修正申告により新たに納付すべき税額は、408,400円です。と算出される、入力終了次へ、OK、修正申告によって異動した事項 (各欄全角50文字以内、合計全角100文字以内)・売上漏れ2,000,000円と記入・入力終了次へ、次へ、帳票表示・印刷、入力データを保存、終了、となります。
・作成されたものは下記となります。

・修正後売上14,000,000、経費8,000,000、所得6,000,000、納付所得税額690,700
・納付差額所得税額=690,700-282,300=408,400
となります。
法人
・法人消費税は確定申告書コーナーでは作成できないため、手書き又は民間の税務ソフトが必要となります。またその税務ソフトの操作性を勉強する必要があります。
・法人税は、国が無料のソフトを提供しておりませんので、手書き又は民間の税務ソフトが必要となります。またその税務ソフトの操作性を勉強する必要があります。また法人税は、翌期において前年度の事業税の認容、という作業が発生するなど、難易度が高い作業となります。
まとめ
・無申告解消のための期限後申告は通常の確定申告と作成方法は同じですが、修正申告はやや独特の作成方法となります。
・修正申告をスピーディーに行うためには、過去の税務会計ソフト及びその操作性や税務知識が必要となり、そのすべてを備えているのは税理士事務所、特に税務調査専門の税理士事務所である、と解されます。
うっかりミスと言い訳すれば重加算税は回避できるか
結論
税務調査の連絡を受け、過去の申告にやましいことに心当たりがある方がうっかりミスと言い訳し続けて重加算税を回避することは困難であると言わざるを得ません。
意図的な売上除外や架空経費の計上といった行為を、単なる「うっかり」で押し通すことは極めて困難です。例えば、通帳には多額の売上入金記録があるにもかかわらず、申告額が著しく少ない。あるいは、実態のない外注費や人件費を計上している。これらの客観的な事実を前に、「うっかりしていました」という弁明が説得力を持つでしょうか。
確かに何が「隠蔽・仮装」にあたるかは曖昧です。したがって、その曖昧さを利用して言い訳し続ける選択肢もあるかもしれません。しかし、納税者自身が「これはまずい」という自覚、つまり「やましいことに心当たり」を持っているのであれば、それは隠蔽仮装に該当すると考えることが妥当します。実際に当事務所にご相談に来られる方の多くは、ご自身の行為が隠蔽・仮装にあたるとご自身でお認めになられた前提でご相談に来られます。
仮に調査の場で「うっかりミス」だと主張し続け、修正申告に応じなかったとしましょう。納税者には修正申告の勧奨を拒否する権利があります。しかし、その場合、税務署は「更正処分」という形で、強制的に重加算税を課してきます。実は一般的に税務調査官は、更正処分することは修正申告を勧奨する場合と比べて手間及び負担がかかるため嫌がるとされています。しかし重加算税が絡む案件では、調査官は威信にかけて躊躇なく更正処分を行うでしょう。
この更正処分に納得できない場合は、「国税不服審判所」へ不服申立てを行うことができます。しかし、弊所の分析によれば、重加算税の賦課処分に対して納税者が勝訴する確率は、わずか15%程度に過ぎません。これは重加算税が賦課処分があった場合において、その取り消しを争う場合の見通しが厳しいことを示す一つの参考データです。
税理士費用を惜しむあまり、税務調査専門税理士への相談をせず、安易な言い訳で乗り切ろうとする自己判断は、事態を悪化させる極めて危険な選択です。
税務調査官は「客観的な事実」で故意性を見抜く
なぜ「うっかりミス」という主張が否認されるのでしょうか。それは税務調査官は、「外部からもうかがえる特段の行動」があったかどうかという「総合勘案による重加算税の賦課処分」が認められているからです。調査官は、納税者が行ったやましい行為について順番に質問していき、納税者が明確に回答できない場合は、状況を総合勘案して重加算税の賦課処分を行うことが可能です。
調査官は、以下のような「うっかり」では到底説明がつかない事実を探し出します。
- 二重帳簿の作成: 税務署提出用と内部管理用の異なる帳簿が存在すれば、それは意図的な利益操作の最も強力な証拠となります。
- 帳簿書類の破棄・隠匿: 調査に不都合な書類が「紛失」したり、意図的に隠されたりしていれば、それは隠蔽行為そのものと判断されます。
- 取引先との口裏合わせ: 反面調査(取引先への調査)によって、請求書や領収書の金額が改ざんされていたり、取引の実態がなかったりすることが判明すれば、言い逃れはできません。
- 不自然・不合理な取引: 実態のない会社への外注費や、役務提供の事実が確認できないコンサルティング料など、合理的な説明ができない支出は仮装行為と見なされます。
調査官はこれらの客観的な事実を一つひとつ固め、「これだけの状況証拠があれば、過失(うっかり)ではなく故意(意図的)と判断するのが合理的である」という論理を構築します。納税者がいくら「そんなつもりはなかった」と主張しても、客観的な証拠の前ではその言葉は力を失うのです。
「隠蔽・仮装」と「うっかりミス」を分ける境界線
では、重加算税の対象となる「隠蔽・仮装」と、過少申告加算税で済む「うっかりミス」を分ける具体的な境界線はどこにあるのでしょうか。
具体的な事例で比較してみましょう。
ケース1:売上の計上漏れ
- うっかりミス: 例えば、決算期末の請求書発行が翌期にずれ込み、売上の計上時期が1期ズレてしまった(期ズレ)。これは経理処理上の誤りであり、意図的な操作とはいえません。
- 隠蔽仮装: 受領した現金売上の一部を意図的に帳簿に記載せず、別の口座に入金したり、手元に保管したりしていた。これは売上を過少に見せかけるための積極的な行動です。
ケース2:経費の計上
- うっかりミス: 例えば事業主がプライベートな飲食代の領収書を、誤って事業用の経費として処理してしまった。これは公私混同による単純なミスです。
- 隠蔽仮装: 実際には取引のない知人の会社に外注費を支払ったことにして請求書を作成させ、経費を水増しした。これは存在しない経費を捏造する積極的な行動です。
このように、単なる計算間違いや解釈の違い、処理の誤りは「うっかりミス」の範疇ですが、利益を圧縮するための偽装工作や隠蔽工作といった「特段の行動」が加わった瞬間に、それは「隠蔽・仮装」と認定されるのです。
重加算税を課されることの本当の恐ろしさ
重加算税が課されることのダメージは、単に追徴税額が増えるという金銭的な問題に留まりません。その影響は事業の根幹を揺るがす、より深刻なものとなります。
まず、税率は過少申告加算税(10%~15%)とは比較にならない35%(無申告の場合は40%)という極めて重いものになります。これは、本来納めるべきだった税金に加えて、ペナルティだけでその3分の1以上を追加で支払うことを意味します。
しかし、本当の恐ろしさはその先にあります。
- 調査対象期間の延長: 通常、税務調査の対象は過去3年分(場合によっては5年分)ですが、偽りその他不正の行為があったと判断されると、偽りその他不正の行為があった場合、更正・決定は原則として法定申告期限から7年まで可能となります。7年分の申告漏れに対する本税、延滞税、そして重加算税が大きく増加し、資金繰りを一気に圧迫、最悪の場合は事業継続が困難になるケースも少なくありません。
- 金融機関からの信用失墜: 税務調査で重加算税を課されたという事実は、金融機関の評価に深刻な影響を及ぼします。融資審査において「コンプライアンス意識の低い企業」と見なされ、新規融資や借換えの審査で不利に評価されるリスクがあります。
- 税務署のブラックリスト入り: 一度でも重加算税を課されると、その納税者は「不正計算の蓋然性が高い」として税務署のシステムに記録されます。これにより、将来にわたって過去の調査結果が税務当局の情報として管理され、将来の調査選定や確認事項に影響する可能性があります。
「うっかりミスと言い訳して税務調査を乗り切ろう」という安易な考えが、事業の未来そのものを危険に晒す引き金になり得るのです。
それでも残されている、有力な選択肢
ここまで厳しい現実をお伝えしてきましたが、絶望する必要はありません。たとえ状況が不利であっても、今から打てる最善手は存在します。それは、一刻も早く税務調査専門の税理士に相談することです。
税理士費用を惜しんで、自力で調査官と対峙しようと考えるのは最も避けるべき選択です。専門知識と交渉経験のないままでは、調査官の指摘に的確に反論できず、本来なら重加算税の対象とならない部分まで不正と認定され、結果として傷口を広げることになりかねません。
しかしながら税務調査専門の税理士といっても魔法使いではありません。支援可能な範囲は状況のタイミングにより変化します。ここで税務調査開始前であるか、税務調査開始後であるかという状況の差において大きく異なる支援可能な範囲についてお伝えします。
税務調査開始前の状況であれば、税務調査初日の前日までに自主的な修正申告書(自主的な期限後申告書)の提出により重加算税を回避する可能性を高める支援をいたします。
一方で税務調査開始後において税務調査専門税理士が支援可能な範囲は以下となります。
- 事実関係の整理と法的根拠に基づく主張: 納税者の状況を客観的に分析し、どこまでが「うっかりミス」で、どこからが「隠蔽・仮装」と指摘されうるのかを冷静に切り分けます。
- 不当な指摘への反論: 調査官の解釈が事実と異なる場合や、法的な根拠が薄い指摘に対して、専門家として論理的に反論し、納税者の権利を守ります。
申告内容にやましい点があり、強い不安を感じている今だからこそ、独りで抱え込んではいけません。税務調査専門税理士という盾を得て、冷静に、そして戦略的に税務調査に臨むこと。それが将来の事業への影響を抑えるための有力な選択肢です。
税務調査前の修正申告のメリットについて
税務調査の連絡を受け、やましいことにお心当たりのある方へ
税務署から突然連絡を受け、過去の申告内容に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。売上の一部を除外してしまった、あるいは架空の経費を計上してしまった……。もし、そうした「やましいこと」に心当たりがある中でこの連絡を受けたのであれば、そのご心労は計り知れないものとお察しいたします。
「このままでは重加算税を課されるのではないか」「何年分も遡って追徴課税されたら、事業が立ち行かなくなるかもしれない」
このような不安と焦りで、夜も眠れない日々を過ごされているかもしれません。しかし、どうか一人で抱え込まないでください。この段階でも、状況に応じて検討できる対応策はあります。重加算税などのリスクを軽減できる可能性があるため、早めに対応方針を整理することが重要です。
この記事は、まさに今、あなたのような状況に置かれた方のためだけに執筆しました。この記事を最後までお読みいただければ、あなたが取るべき行動を見つけることができると存じます。
【結論】調査開始前の修正申告で重加算税は回避できる可能性が高い
まず、最もお伝えしたい結論から申し上げます。税務調査の連絡を受けた後であっても、調査により更正があるべきことを予知する前に自主的な修正申告を行えば、最も重いペナルティである「重加算税(税率35%)」を回避できる可能性があります。
これは国税通則法という法律に明記されている、納税者に与えられた正当な権利です。税務署の調査により更正があるべきことを予知する前に行った修正申告であれば、重加算税ではなく過少申告加算税で済む可能性が残されています。
つまり現時点でも、最悪の事態を免れることができる可能性が残されているということです。
税理士が解説する、調査前修正申告の4つのメリット
それでは、具体的に調査開始前に修正申告を行うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、数多くの税務調査案件を手掛けてきた当事務所の経験に基づき、4つの実践的なメリットを解説します。
メリット1:重加算税(35%)を回避し、加算税を大幅に軽減できる
最大のメリットは、やはりペナルティの軽減にあります。もし調査で隠蔽や仮装といった不正行為が認定されれば、本来納めるべき税額に対して35%という極めて高い税率の重加算税が課されます。
しかし、調査により更正があるべきことを予知する前に自主的に修正申告を行えば、この重加算税を回避できる可能性があります。代わりに適用されるのは「過少申告加算税」であり、その税率は原則として5%(※)です。35%と5%、この差が納税額にどれほど大きな影響を与えるかは、言うまでもありません。
(※新たに納める税額のうち、当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)
この差額は、事業の存続を左右するほどのインパクトを持ちます。今行動を起こすことが、未来のキャッシュフローを守ることにつながるのです。
メリット2:調査対象期間が7年から5年に短縮される可能性が高い
不正行為、すなわち隠蔽や仮装があったと判断された場合、税務調査は法律上、最大で7年分遡って行われる可能性があります。もし10年間、毎年売上除外を続けていたとしたら、7年分の追徴課税を受けるリスクがあるということです。
一方で、調査開始前に自主的に過去5年分の修正申告書を提出した場合、どうなるでしょうか。法律的には実は、7年分の調査が行われる可能性は残りますが、実務上は、その5年分の修正申告をもって調査が完了するケースが非常に多いのです。
この理由については、弊所の憶測となりますが、やましいことを行った納税者については重加算税で懲らしめなければならないという考えがある一方、労働人口が減少している現在において納税者を懲らしめさせすぎて再起不能にするよりは、納税者を働かせるほうが将来的に見れば税収が増える、という考えがあると思われます。
メリット3:税理士への依頼で税務調査の早期終了が期待できる
ここからは、専門家である税理士に依頼した場合の付加価値についてお話しします。税務調査の通知を受けてから調査開始日までは、非常に短い期間しかありません。その中で正確な修正申告書を作成し、提出することは極めて困難です。
税理士が代理人として作成・提出した修正申告書は、税務署からの信頼性が格段に高まります。私たちが責任をもって内容を精査し、計算したものであるため、税務署もその内容を尊重する傾向があります。その結果、申告内容に大きな不備がなければ、その後の実地調査における確認事項が整理され、対応が円滑に進むケースがあります。
ご自身で対応するよりも、専門家が介入することで、精神的な負担を軽減し、事態をよりスムーズかつ有利に収束させることが期待できます。
メリット4:その後の税務署からのマークを回避しやすくなる
これは長期的な視点での非常に重要なメリットです。一度、税務調査で重加算税を課された納税者は、残念ながらその後数年間、税務署から「要注意先」としてマークされ、将来的に再び調査対象となるリスクが高まると言われています。
しかし、調査前に税理士主導で適切に修正申告を行い、重加算税を回避できた場合はどうでしょうか。さらに、その税理士が事後も顧問として関与し、適正な申告を継続していくことで、税務署からの信頼を回復することが可能です。
これは、将来の税務調査リスクを低減し、事業運営に必要な税務管理体制を整えることにつながります。
税務調査専門税理士が語る、修正申告の本当の価値
ここまで、調査前の修正申告が持つメリットを解説してきました。ここで明確にしておきたいのは、これらの解説は当初の申告で意図的な不正、つまり「やましいこと」を自覚されている方向けのものです。やましいことに心当たりがない方は、もちろん自主的に修正申告をする必要はありません。
私たちは、これまで多くの「やましいことに心当たりがある」という納税者の方々と向き合ってきました。例えば、10年間にわたり売上除外を続けていた個人事業主様が、ある日突然、税務署から調査通知を受けたケース。このままでは最大7年分の追徴課税と重加算税が課され、事業の存続が危ぶまれる状況でした。
私たちは直ちに、調査開始日までの限られた時間で過去5年分の修正申告書を作成し、提出しました。結果として、重加算税は課されず、調査もその5年分で終了。その後の顧問契約を通じて適正申告を続けることで、税務署との信頼関係も再構築できました。これこそが、私たちが提供する価値です。
巷では「調査前に修正申告をすると、かえって調査が厳しくなる」「特急対応だから税理士報酬が高い」「急いで計算するから納税額が多くなり損をする」といった意見を耳にすることがあります。しかし、当事務所はこれらの意見について同意できません。
私たちの経験上、自主的な修正申告は調査を厳しくするどころか、むしろ早期終結に導きます。報酬についても、納税者様が被る可能性のある甚大な不利益(重加算税や7年遡及)と比較すれば、決して高くはないはずです。そして、私たちは、過大な納税額とならないよう、限られた時間の中でも資料を確認し、可能な限り正確な計算を行います。
調査前の修正申告は、過去の申告内容を是正し、重加算税や調査対象期間の拡大といったリスクを軽減するための重要な対応策です。
今すぐご相談ください。私たちが最後まで伴走します。
税務調査の対応では、調査開始日までの限られた時間で方針を整理する必要があります。一日、一時間でも早くご相談いただくことが、より有利な結果、そしてあなた自身の心の平穏につながります。
「何から手をつけていいかわからない」「こんなことを相談していいのだろうか」と躊躇される必要は一切ありません。私たちは、そうした不安な気持ちに寄り添い、状況を整理し、今あなたができる最善の策を具体的にご提案するために存在します。
当事務所では、調査通知後の緊急事態に対応するための「重加算税回避・特急プラン」をご用意しており、全国どこにお住まいの方からのご相談にも対応可能です。不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、必要な対応を整理することをおすすめします。
私たちは、あなたが再び前を向いて事業に集中できるよう、最後まで責任を持って伴走することをお約束します。まずは、下記より無料相談にお申し込みください。ご相談内容を確認したうえで、必要な対応を具体的にサポートいたします。
税務調査前の修正申告はデメリットがあるからやめておくべきは本当か
税務調査の通知…修正申告すべきか悩むあなたへ
税務署から一本の電話、あるいは一通の書面。「税務調査に伺います」―。この連絡を受け、過去の申告内容に少しでもやましいことに心当たりがあるとしたら、今、あなたは計り知れない不安の中にいることでしょう。インターネットで情報を探せば、「調査前の修正申告はデメリットがある」といった真偽不明の情報が飛び交い、何を信じ、どう行動すべきか、混乱しているのではないでしょうか。
この記事では、税務調査前の修正申告の重要性について解説します。
当事務所が、これまで数多くの税務調査に立ち会ってきた税務調査専門税理士としての視点から、核心的な問い「税務調査前の修正申告は、デメリットがあるからやめておくべきか?」に真正面からお答えします。
結論から申し上げます。やましいことに心当たりがある場合においては、調査前の修正申告にデメリットは無いと言い切ってよいと考えます。この記事では、その理由について解説します。
調査前の修正申告「デメリットがある」は本当か?
税務調査の通知後に修正申告することについてネットで検索すると「デメリットがある」という意見も散見されます。しかし、弊所としては当該意見について同意することはできません。ここでは、「税務調査前に修正申告することはデメリットがあると主張する税理士」が主張するデメリットを、当事務所の視点から検討します。
【税務調査の専門家である当事務所の見解】デメリットがあるという意見を徹底検証
「税務調査前の修正申告にはデメリットがある」という意見の根拠として、主に以下の3点が挙げられます。
- 税理士へ依頼すると報酬が高くなる
- 調査対象期間が通常の3年から5年に拡大される
- 重加算税が課されない分、調査が厳しくなる
これらの主張は一見もっともらしく聞こえます。しかしここで、仮に「10年間連続して毎年売上除外をしていた」という極めて悪質なケースを想定して、これらのデメリットが本当なのかを検証してみましょう。
まず、「税理士報酬が高くなる」という点。確かに、調査前の限られた時間で過去の申告内容を精査し、修正申告書を作成・提出するには相応の税理士報酬が必要です。しかし、調査対応や追徴税額のリスクを抑えるために必要な費用と考えられます。もし修正申告をせず、調査で7年分の不正が発覚し、重加算税を含む多額の追徴課税を命じられた場合、その金額は税理士報酬を遥かに上回るでしょう。税理士報酬を惜しんだ結果、何倍もの税金を支払うことになるのでは、本末転倒です。
次に、「調査対象期間が5年に拡大される」という懸念。そもそも、10年連続で売上除外を行っているようなケースでは、調査対象期間は原則の3年でも5年でもなく、不正行為があったとして7年間に遡及される可能性が極めて高いのが実態です。
ここで実は、納税者が自主的に申告書を提出できる期間は過去5年分と定められており、自主的に過去7年分を提出することができません。そうすると、10年連続で売上除外を行っているようなケースで自主的に5年分修正申告しても、6年前、7年前について調査官は法的にはその調査を行うことができます。
しかし実務上において我々が経験してきた多くの事案では、調査前に自主的に5年分の修正申告書を提出することで、調査官も「納税者自身がここまで是正した」と判断し、結果的に調査範囲が5年で済むケースが多いです。つまりデメリットどころか、むしろダメージを最小限に抑えることができる可能性を秘めています。
最後に、「調査が厳しくなる」という意見。これは「調査官が、重加算税を課せないなら、他の経費を否認してでも税額を取ろうとするはずだ」という推測に基づくものです。しかし、この推測は外れています。確かに税務調査官は、重加算税を賦課するチャンスを狙っています。これは税務調査官の評価につながるからと言われています。そうすると、やましいことに心当たりのある状態で税務署からの電話を受けた納税者が、税務調査開始までに自主的に修正申告をすれば重加算税を賦課できないことになります。ただ、このようなケースにおいて多くの場合、追徴本税が数百万円となります。実際に当事務所が支援する納税者に課される追徴本税は500万円~1,000万円のケースが多いです。そうすると調査官は既に追徴本税において成果を得ているため、重加算税賦課にこだわることも少ないです。
以上のことから、調査前の修正申告にまつわる「デメリット」という批判について弊所は同意できません。
修正申告で得られる4つの大きなメリット
デメリットが誤解であることをご理解いただいた上で、改めて調査前に修正申告を行うことの決定的なメリットを4つお伝えします。
- 重加算税という最悪の事態を回避できる可能性
最大のメリットは、やはり重加算税という極めて重いペナルティを回避できる可能性が生まれることです。 - 調査対象期間7年の回避の可能性
調査対象期間が7年ではなく5年で済む可能性が高いことです。 - 延滞税も最小限に抑えられる
実は重加算税を賦課されるような案件においては、実務上、延滞税も負担が大きくなる制度設計となっています。 - 精神的な負担の劇的な軽減
これが最も見過ごされがちな、しかし極めて重要なメリットです。調査当日まで「どこまでバレるだろうか」「いくら請求されるだろうか」と怯え続ける日々は、経営者にとって耐え難い苦痛です。事前に誤りを整理し、税理士の支援を受けて調査に臨むことで、不安を軽減し、当日の対応を準備しやすくなります。
【状況別】あなたが今、取るべき行動の判断基準
修正申告の重要性は理解できても、「自分の場合はどうすべきか?」という具体的な疑問が残るはずです。ここでは、あなたが自身の状況に当てはめて判断できるよう、具体的な基準を提示します。
判断の分かれ道①:修正申告を「する」か「しない」か
まず、修正申告に踏み切るべきか否か。その判断基準は明確です。
【修正申告を強く推奨するケース】
- 売上の一部を除外した(現金売上を抜いたなど)
- 架空の経費を計上した(実態のない外注費など)
- プライベートな支出を事業経費に含めた
上記のように、意図的な不正(隠蔽・仮装)の心当たりがある場合は、迷わず修正申告を行うべきです。これらは重加算税の対象となる典型例であり、調査で指摘されれば極めて厳しい結果が待っています。リスクを軽減するため、自主的な修正申告を検討する必要性が高いと考えられます。
【税務調査前に自主的に修正申告すべきと明確に判断できないケース】
- 単純な計算ミスや勘違いで、金額も少額
- 税法の解釈が分かれるグレーゾーンな経費処理
悪意のない単純な誤りであれば、調査官にその旨を説明し、指摘を受けてから修正するという選択も考えられます。しかし、その判断をご自身で行うのは危険です。必ず税理士に相談し、客観的な見解を踏まえて方針を決定してください。
判断の分かれ道②:修正申告を「何年分」行うべきか
修正申告を行うと決めたら、次に「何年分遡って申告すべきか」を判断する必要があります。
税務調査の対象期間について、多くのケースにおいて調査官が宣言する期間は、直近3年分です。しかし、法的な原則としては調査対象期間は5年分です。過去10年にわたって連続してやましいことに心当たりがあるにも関わらず、調査官が宣言した期間は3年分であるから3年分だけ自主的に修正申告しようという判断は誤りであると言えます。当事務所の見解としては、「自主的に5年分修正しておくべき」です。
重加算税を回避できた場合の過少申告加算税はいくら課されるのか?
過少申告加算税の税率は、修正申告を行うタイミングで以下のように変動します。
- 調査通知の「前」に自主的に修正申告した場合
→ 0%(課されません) - 調査通知の「後」〜調査開始の「前」に修正申告した場合
→ 5%(※期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%) - 税務調査で指摘を受け、「後」に修正申告した場合
→ 10%(※期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%)
ご覧の通り、一日でも早く行動することが、金銭的な負担を直接的に軽減するのです。
一人で悩まないで。税理士はあなたの「味方」です
ここまで読み進めてこられたあなたは、税務調査前の修正申告がいかに重要であるか、そして、「一般的に言われる税務調査前の自主的な修正申告のデメリットは本当なのか?」についての疑問が解消できたと思われます。
しかし、知識として理解することと、実際にたった一人でこの難局に立ち向かうことの間には、大きな隔たりがあります。
限られた時間の中で過去の帳簿を遡り、正確な修正申告書を作成し、税務署と対峙する。これは、税務の専門家でさえ多大なエネルギーを要する作業です。強い不安とプレッシャーの中で、あなたが一人で抱え込む必要は全くありません。
重大な不利益を避けるためには、早い段階で専門家に相談し、状況に応じた対応方針を検討することが重要です。一人で悩み、貴重な時間を失う前に、どうか私たちにご相談ください。あなたの味方として、全力でサポートすることをお約束します。