税務調査全般に関する知識
税務調査の結果が遅いのはなぜ?長期化する理由
結論
・重加算税賦課案件は税務調査の結果が遅くなります。
・税務調査官の処理能力が低いと税務調査の結果が遅くなります。
・税務調査官が引き継ぐ案件は税務調査の結果が遅くなります。
・国税において何か特殊な事情が発生した場合は税務調査の結果が遅くなります。
・事前自主申告した場合でも資料不足の経費の計上をチャレンジした場合は税務調査の結果が遅くなります。
・事前自主申告した場合かつ資料が揃っている場合は税務調査の結果が早くなります。
以下で詳細を記述します。
重加算税賦課案件は税務調査の結果が遅くなります
一昔前の書籍やネット記事を見ていると、税務調査官は根拠もなく嫌がらせのように重加算税賦課処分してくるというような記述が見受けられます。しかし弊所が実際に経験している近年の税務調査から考えればこれらの意見には同意できません。近年の税務調査官は、重加算税案件であることを察知すると、納税者に対して厳しくかつ丁寧に「なぜそのようなことが起こったのか」について質問してきます。そして納税者の回答内容を十分審査したうえで重加算税の根拠を明示して重加算税賦課処分をします。実際に税務調査官は納税者に対して「事実と違うと反論があるのであれば反論してください」とまで伝えてきます。つまり近年における重加算税賦課処分の案件は非常に慎重に扱われていることになります。したがって、重加算税賦課案件は税務調査の結果が遅くなります。
税務調査官の処理能力が低いと税務調査の結果が遅くなります
弊所が近年の税務調査において実際に体験することとして、若手の税務調査官が担当となるケースが多いです。理由は人手不足の影響です。公務員はかつて大人気で公務員試験の倍率も高倍率でした。大昔は倍率10倍、平均的に5倍程度でした。国税専門官の現在の倍率はなんと2倍であり、一次試験である筆記試験は1.4倍のようです。したがって、筆記試験ではほとんどみんな合格し、面接試験でよほど問題が無ければ合格させているようです。これは、税務調査官の現在の30代から40代の人数がそもそも少ないうえに退職者が多いため、現場へ出る調査官が人手不足であることが原因のようです。
若手の調査官で経験が浅ければ納税者はラッキーと思うかもしれません。しかし実は大きな落とし穴があります。弊所が税務調査を支援させていただく場合は、問題点や論点を丁寧に提示して、調査官はそれを判断するだけという言わばお膳立てをしております。しかしながら、処理能力の低い調査官の場合は、その勘所を見落としてモタモタと時間をかける傾向にあります。このように税務調査官の処理能力が低いと税務調査の結果が遅くなります。
税務調査官が引き継ぐ案件は税務調査の結果が遅くなります
税務署は7月が人事異動となります。つまり6月に着手した案件が長引いた場合は、7月の人事異動後の調査官へ引き継がれる場合があります。この点について一昔前のネット記事や書籍では、6月に着手した案件について税務調査官は、6月末までに何とか終わらせようとする傾向にあるとの情報が散見されました。しかし弊所が実際に現場で感じていることとしては、仮に6月末までに調査が終わらなければ7月の人事異動後の調査官に事務的に引き継がれる、ということです。特に焦って何とか6月末までに終わらせようとしているとは感じておりません。
この引き継がれた場合に問題なのは、うまく内容が引き継がれておらず、納税者側からまた同じ内容を説明しなければならない、ということもあります。このように税務調査官が引き継ぐ案件は税務調査の結果が遅くなります。
国税において何か特殊な事情が発生した場合は税務調査の結果が遅くなります
例えば、令和5年10月当時においてはインボイス制度の導入に向けて国税が周知活動をしたり、全国の納税者からの質問への対応のために税務署職員のマンパワーのリソースが奪われた場合は、税務調査の結果が遅くなったことがありました。さすがにもうあまりそのようなことは発生しないであろう、と弊所は考えていましたが、令和8年10月においてまさに発生しました。令和8年9月24日におけるKSK2導入によりシステムの不具合が発生しました。そのことにより令和8年10月の現在において、明らかに税務調査の結果が遅くなっております。こちらのページもご参考ください。
まさか!?KSK2導入でむしろ令和8年秋調査が滞っている!?
事前自主申告した場合でも資料不足の経費の計上をチャレンジした場合は税務調査の結果が遅くなります
弊所が実際に経験した事例です。一人親方の職人が、銀行口座からの振込みではなく、銀行口座から一旦現金を引き出し、外注先へ現金で手渡ししており、領収書や請求書が一切存在しないケースにおいて外注費の経費該当性が論点となりました。弊所は、納税者様から聞取りをした結果、当該外注費は存在の蓋然性が高いということで積極的に所得税法上の経費としました。しかし、税務調査日以後の調査官とのやり取りにおいて、外注先の氏名、電話番号、住所を求められることとなりました。この場合において、工事台帳におけるメモのような記述から人物を書き起こして提出することで外注費を認めてもらえることとなりました。このような場合は、税務調査の結果が遅くなります。
まとめ
反対を言えば、事前自主申告した場合かつ資料が揃っている場合は税務調査の結果が早くなります。
税務調査が10年以上来ない個人は安心?時効・過去何年分・次に来るサイン
結論
・個人事業主に対して10年以上税務調査が来ない理由は、税理士がついているからなど様々な理由が考えられます。
・個人事業主の税金の時効は7年と言えるので資料の保存期間は過去7年分となります。
・次に来るサインというのが無く、ある日突然パトロールの意味で税務調査が来る可能性もあります。
・今から、今日からでも良いですので資料の保存を開始しましょう。
以下で詳細を記述します。
個人事業主に対して10年以上税務調査が来ない理由
個人事業主に対して10年以上税務調査が来ない理由については以下が考えられます。
・そもそも個人事業主の税務調査の確率が0.7%程度であること
・開業時から税理士と契約している場合
・申告漏れが多い業種に該当しない場合
・年商が1,000万円以下である場合
・所得税計算上の所得金額が生活費として理論上妥当している場合又は妥当していない場合でも生活費の支援者が考えられる場合
・原始資料を確認せずとも確定申告書のみでも判明するような明らかな誤りが存在しない場合
順番に解説します。
そもそも個人事業主の税務調査の確率が0.7%程度であること
ここが最大の理由となりますが、個人事業主の税務調査の確率は低いこととなります。弊所が実際にお問合せいただいた納税者様でも、20年で初めて、15年で初めてという方々がおられます。
開業時から税理士と契約している場合
弊所は税理士事務所であるために、弊所の税務顧問サービスをアピールするためと思われるかもしれませんが、弊所が開業時から関与させていただいている納税者様において税務調査が発生する確率は本当に低いです。ただ一方で弊所が独自に取得した情報によると、調査官の年間税務調査件数が30件であった場合、税理士が契約している納税者と税理士と契約していない納税者の割合は半々である、という実態のようです。
申告漏れが多い業種に該当しない場合
国税庁は、個人事業主に関して「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」を発表しています
・風俗業
・キャバクラ
・バー
・建築建設工事業
これらの業種は毎年の常連となります。税務調査官はこのような業種へ優先的に調査に行くため、反対にこれらの業種に該当しない場合は、税務調査が10年以上来ないケースもあり得るでしょう。
年商が1,000万円以下である場合
まず弊所のこれまでの経験からすれば、年商が1,000万円以下であっても税務調査が発生したケースもあるので一概に言えないことが前提となります。ただ年商が低いことはすなわち所得が低い可能性が高いため、調査官としては追徴の成果を得ることができないため、一旦は避ける傾向にあるでしょう。
所得税計算上の所得金額が生活費として理論上妥当している場合又は妥当していない場合でも生活費の支援者が考えられる場合
よく言われるのは、個人事業主で赤字を続けているとどうやって生活しているのか、という観点から税務調査が来やすいというお話です。そこで、生活費としてぎりぎり妥当するような金額の所得が続いている場合には、理論上は生活が可能ということで10年以上税務調査が来ない可能性があります。また納税者本人の所得が赤字や低額であったとしても、親や配偶者からの支援があるために生活が理論上可能な場合は、10年以上税務調査が来ない可能性があります。
原始資料を確認せずとも確定申告書のみでも判明するような明らかな誤りが存在しない場合
弊所がこれまで実際に見た税理士をつけずにご自身で申告されてこられた方の申告書の控えを見て、原始資料を確認せずとも確定申告書のみでも判明するような明らかな誤りについては以下です。
・所得税確定申告書の提出において収支内訳書(白色申告)又は青色決算書を添付していない。
・白色専従者控除を受けつつ配偶者控除を受けている。
・ずっと国内に住所の有る配偶者が国外となっている。
・障がい者控除の区分が毎年、一般障がい者や特別障がい者で毎年変わる。
このような場合は、税務調査を誘発する原因となります。一方で、上記のような明らかな誤りが無い場合は、10年以上税務調査が来ない可能性があります。
個人事業主の税金の時効は7年と言えるので資料の保存期間は過去7年分となります
まずここで税務調査は時効ではなく除斥期間であることをお伝えいたします。こちらのページをご参考ください。
無申告でも税務調査は来る?バレる理由と時効、今すぐすべきことを解説
端的にまとめますと、以下です。
・除斥期間とは法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度
・賦課権とは賦課することによって新たに税金を確定することができる権利=除斥期間が適用される=除斥期間は5年と定められています
・除斥期間は「偽りその他不正の行為」によって税金を免れた場合には7年に延長されます
以上から個人事業主は資料を最大7年間保存すべきとなります。
次に来るサインというのが無く、ある日突然パトロールの意味で税務調査が来る可能性もあります
ここで10年以上税務調査が来なかった個人事業主に対して税務調査が来るサインがあるのか、についてはとても難しいのですが、この場合はある日突然パトロールの意味で税務調査が来る可能性が考えられます。
資料を捨てておられる方は今日からでも良いので保存しましょう
弊所にご相談に来られる納税者様の中には、これまで資料を捨ててこられた方々がたくさんおられます。まずは本日からでも良いので保存を開始しましょう。
税務調査で税務署が自宅に来るのはなぜ?個人宅で見られるものと当日の対応
税務署は調査のために個人宅へ来るのか、国税の調査で家に来た経験がある人はいるのか、税務署が家に来る理由はあるのか、税務署がいきなり訪問で自宅にくるのか、と不安な方々がおられるかもしれません。この点について弊所の経験から以下で記述いたします。
結論
・無予告調査の場合は税務署が個人の自宅へやってきます。
・事前に通知の有る税務調査の場合はむしろ調査場所について色々と選択できます。
・税務調査前に自主的に申告した場合の税務調査官の滞在時間は3時間程度の可能性があります。
以下で解説します。
無予告調査の場合は税務署が個人の自宅へやってきます
無予告調査の場合は、遺憾ながら税務署が個人の自宅へやってきます。無予告調査についてはこちらのページをご参考ください。
改めて弊所がお伝えしたいことは以下です。
・無予告調査であっても日程変更は可能です。
・無予告調査がきた場合はすぐに税務調査専門の税理士へ連絡しましょう。
元デリヘルを経営されていた方が無予告調査を受けた当時のことについてyoutube動画で発信されておりました。その方は、ある日突然、個人宅及びデリヘル店舗事務所へ同時に税務調査官がやってきたと言います。そして、決してマルサではないということですが、まるでマルサのようにあちこち引出しをあけられて、段ボールに書類を入れて持ち帰った、というお話でした。
事前に通知の有る税務調査の場合はむしろ調査場所について色々と選択できます
一方で、事前に通知のある税務調査については、税務調査の場所は色々と選択できます。
・納税者の個人宅
・納税者の事業所事務所
・税務署へ訪問して税務署の室内で
・顧問税理士の税理士事務所で
・オンラインで
上記のように色々と選択肢があります。これがあくまで税務調査は任意の調査であることを示す理由となっております。納税者に配慮するという基本方針となっております。しかしながら、納税者の個人宅は税務調査に必要な書類やパソコンが置いている可能性が高く、結果として個人宅で税務調査が行われる可能性が高くなります。個人宅以外での調査を望む場合は、税務調査官が望むであろう資料を事前に移動させるなどの準備が必要となります。これは大きなデメリットとなります。
税務調査前に自主的に申告した場合の税務調査官の滞在時間は3時間程度の可能性があります
弊所が主として受任する税務調査案件は、税務調査前の自主的な申告を伴うケースが多いです。自主的な期限後申告はもちろん、自主的な修正申告であっても、納税者様のレシートや領収書や請求書といった原始資料を一から確認します。そうすることで、申告書を作成するにあたっての手順や資料が発生します。こちらを税務調査官に提示しながら説明すれば、税務調査が当日の午前中の3時間程度で終了するケースを多く経験しております。
まとめ
無予告調査の場合は、税務調査官は個人宅にやってきて、半ば強制的に税務調査が開始される可能性があります。一方で、予告の有る税務調査は、税務調査の場所については様々選択可能です。
机上調査とは?実地調査との違い・対象になるケース・対応方法を解説
このページをご覧の方は、税務調査の種類で机上調査と聞いたことがあるが、実地調査との違いはなんであるかと、不安に思われておられるかもしれません。弊所のこれまでの税務調査の経験から解説いたします。
結論
・机上調査とは、出された申告書や資料に加えて、銀行調査で取得した通帳や、プラットフォーム事業者から得た情報から、税務署内で下調べすることを言います。
・机上調査も税務調査に含まれるとされています。したがって机上調査で更正の予知が発生する可能性があります。
・実際に机上調査で更正の予知が発生した裁決事例が存在します。
・税務調査前の帳簿提出のお願いは更正の予知を発生させる意図があるもののその意図は限定的と考えます。
以下で詳細を記述します。
机上調査とは税務署内で下調べすることを言います
机上調査とは、「調査官が税務署内の自分の席上で納税者の申告書をチェックし、申告書に誤りや税務署保有資料との不一致があった場合に、電話や文書で質問したり、説明資料の提出を求めたりするもの」と言われています。かつてより、税務調査官が銀行調査(金融機関調査)で納税者の通帳を勝手に取得することは有名でした。
近年においては、プラットフォーム事業者へ情報提供を求めることができる法律が整備されました。またこれは弊所の推測も含まれますが、当該法律により携帯電話番号から所有者の開示請求もできるようになり、今後夜職の従事者に対する税務調査の確率が上がるのではないか、と考えます。こちらのページをご参考ください。
令和2(2020)年からメルカリやヤフオクや暗号資産の無申告がバレやすくなりました
風俗嬢やホステスホストのみなさま令和2(2020)年から無申告等がバレやすくなった可能性が高いです
机上調査で更正の予知が発生する可能性があります
机上調査が税務調査に含まれるかどうかは明確な規定はありません。そこで裁決や裁判例を参考とすると、税務調査は机上調査を含む広い概念であることを示した「国税不服審判所平成26年7月28日裁決」が存在します。当該裁決において、「実地調査の他、机上調査や税務署内部の準備調査も税務調査に含まれる」と明示しています。
ここで重要なのが机上調査により更正の予知が発生する可能性があるということです。実際に机上調査による支払調書の下調べにより、税務調査官が更正の予知を発生させて、税務調査前の自主的な修正申告を防がれてしまった事例が存在します。こちらのページをご参考ください。
衝撃!?税務調査前の自主申告でも重加算税を回避できない場合がある!?(令和5年12月7日公表裁決)
ただこれは弊所独自の研究結果ですが、机上調査及び納税者への非違事項指摘等が発生した場合に限り、更正の予知が発生すると考えます。
税務調査前の帳簿提出のお願いは更正の予知を発生させる意図があるもののその意図は限定的と考えます
令和8年において国税庁が「税務調査前の帳簿提出のお願い」を正式に公表しました。これは、税務調査の効率化という文言を建前に、税務調査官が納税者に対して税務調査日がまだ来ていない段階で、事前に帳簿等の提出を求めることです。これも弊所独自の見解ですが、当該お願いの意図の中には、税務調査前に帳簿データを取得することで更正の予知を発生させるという目的も含まれていると考えます。
しかしながら当該意図は限定的と考えます。なぜなら、当該公式発表後においても事前提出は「あくまでお願い」であり、強権的には行わないと宣言しています。また当該公式発表以前においても、「事前提出は質問検査権に含まれるので、御願いしようとすればいつでもできた」となります。しかしながらこれまで、当該事前提出のお願いが実施されることは稀でした。こちらのページをご参考ください。
税務調査等における帳簿等データの提出依頼に関する取組等について|国税庁
【緊急アナウンス】国税庁が実地調査前の帳簿等データ提出に関するQ&Aを公表しました
R8年に国税庁が発表した税務調査日前の帳簿提出の真意について分析しました
まとめ
納税者及び税理士が、税務調査官が机上調査を行うことを防ぐことはできません。しかし、やましいことに心当たりがある状態で税務調査通知が来たとしても、税務調査前の自主的な申告による重加算税回避を諦めないことは変わらないこととなります。
京都で税務調査に強い税理士を探すには?
結論
・恐れながら申し上げますと、税務調査案件に対して真剣に注力している京都における一番の税理士は弊所であるとの自負はございます。
・現在はネット社会ですので京都の納税者様が他府県の税務調査専門税理士へ問合せされることも選択肢として存在します。
・しかし時間のロスが許されない税務調査案件については誤ったお問合わせによる時間ロスにお気をつけください。
以下で詳細を記述します。
現状において京都における税務調査専門税理士の1番手である自負はございます
ネット検索で「税務調査 税理士 京都」やAIに「京都で税務調査に強い税理士」と検索お願いいたします。そうすると、恐れながら申し上げますと、「税務調査通知後においての問合せで税務調査日までに自主的な申告を提案している京都の税理士事務所」は本当に少ないのではないでしょうか。
現状においては、まとめサイトのようなサイトが検索上位を占めているとなっております。また広告枠における税務調査専門税理士は、京都府以外の他府県の税務調査専門税理士が出稿していると分析しております。
弊所は、自然検索で選んでいただけるようにHP更新やyoutube更新に努めておりますが、遺憾ながらまだまだという結果となっております。そこで広告費を投じて、広告枠に出稿しております。
これが弊所が京都において税務調査案件に対して真剣に向き合っている証拠としてお伝えいたします。
現在はネット社会ですので京都の納税者様が他府県の税務調査専門税理士へ問合せされることも良いと存じます
しかし、当然ですが、決して弊所がすべての納税者様にとってベストな選択であるかと言えばそうではございません。京都の納税者の方が、他府県の税務調査専門税理士へ依頼することも選択肢として視野に入れるべきでしょう。
税務調査案件について遠方の税理士を選択するかどうかについてはこちらのページをご参考ください。
遠方の税理士に税務調査対応を依頼する場合のデメリットはあるのか
時間のロスが許されない税務調査案件については誤ったお問合わせによる時間ロスにお気をつけください
弊所にご相談いただいた納税者の方々から以下のような経験談をお聞きしております。
・問合せから初回面談までの間隔があり、時間をロスしてしまった。
・問合せ窓口が一旦コールセンターのような場所につながり、質問については決まりきった文言の回答しかもらえなかった。
・税務調査専門の税理士ではない税理士が一旦受任してくれたが、いざ帳面を見てもらい損益がデタラメであることが判明すると受任を断られてしまい、時間をロスした。
税務調査案件についての時間ロスはとても大きな影響を受けますので、お気をつけいただくことお願い申し上げます。
R8年に国税庁が発表した税務調査日前の帳簿提出の真意について分析しました
結論
税務調査日前の帳簿提出の真意について、税務調査当日における帳面の概要把握をスムーズにする目的が5割、帳簿資料持ち帰りの留目置きをスムーズにする目的が4割、更正の予知を発生させる目的が1割と分析しました。
以下で詳細を記述します。
全ては税務調査件数が減少していることが起因していると考えます
令和における法人の税務調査確率は約2%、個人の税務調査確率は約0.8%などと言われています。かつては、法人の税務調査確率が約8%、個人の税務調査確率が約2%、という時代もあったようです。実は平成25年以前は、事前通知の基準が明確でなかったり、無予告調査の基準が明確でなかったりと、めちゃくちゃな時代がありました。平成25年以後においては税務調査の手続きが厳格となりました。そしてSNS時代が到来し、公務員である税務調査官がもし仮に法律に沿わない調査や態度をとれば、すぐに批判される時代となりました。このようにして税務調査の件数が下がっていったため、国税は何とかして調査件数を上げるために、税務調査日前の帳簿提出を発表したと考えます。
いくら経験を積んだ税務調査官でもある納税者の帳面をすぐに理解できるわけではない
まず当該論点については、税理士事務所である弊所が税務調査官の肩を持つわけではありませんが、いくら経験を積んだ税務調査官でもある納税者の帳面を一瞬で見抜くことは不可能です。会計には簿記や仕訳などがありますが、納税者は損益を属人的、独創的に算出しているケースがあります。なぜこの数字が算出されたのか、納税者本人から聞き取らなければ理解できないわけです。そうすると、個人事業主の税務調査の1日目の6割くらいの時間が、納税者への経歴の聞取り及び帳面の聞取りで消化されてしまいます。そして本題に入るころには、残り2時間程度となり、結局調査が1日で終わらず2日や3日かかることが頻発することになります。
もし仮に、税務調査前に納税者の帳簿データを調査官が受け取っていたとしたら、当該時間を短縮できることになります。
帳簿資料持ち帰りの留目置きをスムーズにする目的
税務調査官が、税務調査の現場から納税者の帳簿資料を持ち帰ることを留目置きと呼んでいます。この留目置きの作業は、税務調査の現場において非常にもたもたします。まず調査官は、すべての資料を持ち帰るわけにはいかないため、選別することに時間がかかります。また預かると決めた資料については預かり証という書類を作成して発行します。この手順について、慣れていない新人の調査官の場合は、1時間程度かかる場合もあります。もし仮に、税務調査前に納税者の帳簿データを調査官が受け取っていたとしたら、当該時間を短縮できることになります。留目置きについてはこちらのページをご参考ください。
税務調査日前の帳簿提出で更正の予知を発生させる意図もあるかもしれません
更正の予知についてはこちらのページをご参考ください。
重要なのは、更正の予知がある状態で自主的に申告しても重加算税回避はできない、ということです。実際に、現場における臨場調査の前に、いわゆる机上調査で既に更正の予知が発生していた、という納税者及び税理士の税務調査通知後の自主的な修正申告による重加算税回避を防がれたしまった裁決事例が存在します。
衝撃!?税務調査前の自主申告でも重加算税を回避できない場合がある!?(令和5年12月7日公表裁決)
しかしながら弊所の考えとしまして、税務調査日前の帳簿提出で更正の予知を発生させる意図については限定的であり、あくまで副産物として考えている、と分析します。
理由は、実は「税務調査日前の帳簿提出については質問検査権(税務調査)に含まれるため、R8年国税の発表以前も存在していた」ということです。つまり、「税務調査官はやろうと思えば税務調査日前の帳簿提出をいつでも要求できた」となります。しかしながら「R8年における国税庁が発表した税務調査日前の帳簿提出のお願い」についてもあくまで強制ではなく、御願い、に留めております。ここを法律改正で必須化すればよいものの、それはしていないことになります。
以上より税務調査日前の帳簿提出で更正の予知を発生させる意図は低いと考えるのが妥当します。
まとめ
税務調査日前の帳簿提出の真意について、税務調査当日における帳面の概要把握をスムーズにする目的が5割、帳簿資料持ち帰りの留目置きをスムーズにする目的が4割、更正の予知を発生させる目的が1割と分析しました。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種とは
結論
・国税庁が毎年11月頃に公表する「所得税及び消費税調査等の状況」において「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」という明確なデータがあります。
・上記から導いた税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種の圧倒的な1位及び2位はキャバクラ及び風俗業となりました。
・その他の常連の業種も存在します。
以下で詳細を記述します。
国税庁が毎年11月頃に公表する「所得税及び消費税調査等の状況」において「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」が最も確かな情報と考えます。
弊所は、平成26事務年度から令和6事務年度における「所得税及び消費税調査等の状況」において「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」をまとめて調査しました。弊所の調査結果は以下となります。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング
・1位:キャバクラ
・2位:風俗業
・3位:経営コンサルタント
・4位:システムエンジニア
・5位:ブリーダー
・6位:バー
以下でさらに分析します。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング1位はキャバクラ
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種については、キャバクラと風俗業が群を抜いており、両者についてはほとんど差がありません。風俗業は、コロナによる影響で令和2年事務年度以後ランキング外であるため、キャバクラを1位としました。
弊所が、キャバクラを1位とした根拠は以下です。
・平成26事務年度(キャバレーとして)=順位:1位=申告漏れ割合:89.1%
・平成27事務年度(キャバレーとして)=順位:1位=申告漏れ割合:89.1%
・平成28事務年度(キャバレーとして)=順位:2位=申告漏れ割合:93.9%
・平成29事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:93.7%
・平成30事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:92.9%
・令和元年事務年度=順位:3位=申告漏れ割合:非公開
・令和2年事務年度=順位:4位=申告漏れ割合:非公開
・令和6年事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:非公開
まず、順位が基本的に1位又は2位です。令和3~5年事務年度がランキング外なのは、コロナ禍であったためです。反対にコロナ禍でなければ恐らく1位又は2位だったでしょう。もう1点が、申告漏れ割合が約90%であるとかつて公表されていた点です。つまり、個人事業主担当の税務調査官からすれば、キャバクラに調査に行けば90%の確率で申告漏れを指摘できるということになります。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング2位は風俗業
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種については、キャバクラと風俗業が群を抜いており、両者についてはほとんど差がありません。風俗業は、コロナによる影響で令和2年事務年度以後ランキング外であるため、風俗業を2位としました。
弊所が、風俗業を2位とした根拠は以下です。
・平成26事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:83.2%
・平成27事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:92.4%
・平成28事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:81.0%
・平成29事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:89.7%
・平成30事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:91.5%
・令和元年事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:非公開
まず、順位が基本的に1位又は2位です。令和2年事務年度以降がランキング外なのは、コロナ禍であったためでしょう。反対にコロナ禍でなければ恐らく1位又は2位だったでしょう。もう1点が、申告漏れ割合が約85%であるとかつて公表されていた点です。つまり、個人事業主担当の税務調査官からすれば、風俗業に調査に行けば85%の確率で申告漏れを指摘できるということになります。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング3位は経営コンサルタント
まず経営コンサルタントという業種について、弊所独自の見解ですが、「何かよくわからない職業の方」も経営コンサルタントに含まれている可能性が高いです。また「脱税指南コンサル」「不正補助金コンサル」のような違法なコンサルタントも含まれていると考えます。
弊所が、経営コンサルタントを2位とした根拠は以下です。
・平成30事務年度=順位:3位=申告漏れ割合:28.4%
・令和元年事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:非公開
・令和2年事務年度=順位:7位=申告漏れ割合:非公開
・令和3年事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:非公開
・令和4年事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:非公開
・令和5年事務年度=順位:1位=申告漏れ割合:非公開
・令和6年事務年度=順位:4位=申告漏れ割合:非公開
まず、順位が安定的に10位以内です。また令和3~5年事務年度において1位である点です。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング4位はシステムエンジニア
弊所が、システムエンジニアを4位とした根拠は以下です。
・平成29事務年度=順位:4位=申告漏れ割合:53.2%
・平成30事務年度=順位:4位=申告漏れ割合:60.6%
・令和元年事務年度=順位:5位=申告漏れ割合:非公開
・令和3年事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:非公開
・令和6年事務年度=順位:10位=申告漏れ割合:非公開
システムエンジニアは上位かつ頻繁に10位以内にランクインしているためです。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング5位はブリーダー
弊所が、ブリーダーを5位とした根拠は以下です。
・令和3年事務年度=順位:3位=申告漏れ割合:非公開
・令和4年事務年度=順位:3位=申告漏れ割合:非公開
・令和5年事務年度=順位:5位=申告漏れ割合:非公開
・令和6年事務年度=順位:8位=申告漏れ割合:非公開
ブリーダーは近年において上位かつ頻繁に10位以内にランクインしているためです。
税務調査の対象となりやすい個人事業主の業種ランキング6位はバー
弊所が、バーを6位とした根拠は以下です。
・平成26事務年度=順位:3位=申告漏れ割合:63.3%
・平成27事務年度=順位:8位=申告漏れ割合:67.8%
・平成29事務年度=順位:9位=申告漏れ割合:71.7%
・平成30事務年度=順位:2位=申告漏れ割合:92.9%
・令和4年事務年度=順位:9位=申告漏れ割合:非公開
・令和6年事務年度=順位:6位=申告漏れ割合:非公開
バーはかつては上位の常連であり、不正発見割合が60%以上でした。またコロナ禍以後の令和4年事務年度において再びランクインしております。また、法人税の調査事績において「バー・クラブ」は不正発見割が高い業種の圧倒的1位です。
まとめ
これらの業種の経営者の方は、常に税務調査について意識していただければと存じます。
税務署からの封筒が届いたらどうする
結論
・近年は税務署も郵送コストのカットを意識して封筒を送って来なくなりました。
・ある日突然税務署から身に覚えのない封筒が届いたらそれは簡易な接触と呼ばれる行政指導であるお尋ねの可能性が高いです。
・ごくまれに封筒で税務調査の事前通知がされるケースも存在します。
以下詳細を記述します。
近年は税務署も郵送コストのカットを意識して封筒を送って来なくなりました
かつて税務署が封筒で郵送してきたが現在郵送してこなくなった代表的な資料は以下となります。
・個人の所得税及び消費税の申告書のひな型
・法人の法人税及び消費税の申告書のひな型
現在も税務署が郵送してくる封筒で代表的なものは以下となります
・年末調整関係諸用紙(11月後半)
・予定納税の申告書と納付書
・法人の法人税及び消費税確定申告のお知らせ
現在も税務署が郵送してくるはがきで代表的なものは以下
・個人の所得税及び消費税確定申告のお知らせ(2月頃)
・個人の所得税還付金振込のお知らせ
ある日突然税務署から身に覚えのない封筒が届いたらそれは簡易な接触と呼ばれる行政指導であるお尋ねの可能性が高いです
個人事業主や法人の代表者が受け取った身に覚えのない税務署からの封筒、サラリーマン(給与所得者)が受け取った身に覚えのない税務署からの封筒は、お尋ねの可能性が高いです。税務署は近年、簡易な接触=行政指導=お尋ねの件数を増やしています。
・平成26事務年度=672,394件
・平成27事務年度=584,415件
・平成28事務年度=576,906件
・平成29事務年度=549,684件
・平成30事務年度=537,076件
・令和元事務年度=371,812件
・令和2事務年度=478,494件
・令和3事務年度=568,340件
・令和4事務年度=591,517件
・令和5事務年度=557,549件
・令和6事務年度=689,440件(過去最高)
お尋ねについてはこちらのページをご参考ください。
税務署から「お尋ね」が届いた際の適切な対処法|実地調査を未然に防ぐコツ
コロナ禍がお尋ねの件数を伸ばしたと言われています
コロナ禍において税務調査官が実地調査を実施できなかったために、お尋ねに力を入れたと言われています。
国税が導入したAIがお尋ねの件数を伸ばしたと言われています
近年はAIを使用しているためにお尋ねの件数が伸びていると言われています。
KSK2はお尋ねの件数を伸ばすと言われています
KSK2で税務調査が厳しくなる、税務調査の件数が増えるという意見があります。ただ弊所は、KSK2でお尋ねの件数が増えるという見解に同意します。KSK2というのはあくまで納税者を横断的にデータ管理するシステムとなります。これまでは、税務署が取得済みのデータのみで怪しい納税者を抽出することに限界がありました。しかしKSK2導入後は税務署が取得済みのデータで怪しい納税者を抽出し、お尋ねで納税者と接触する方向性と考えます。なぜなら調査官の人数自体は大きく増えていないためです。
ごくまれに封筒で税務調査の事前通知がされるケースも存在します
ごくまれに書面で税務調査の通知がされるケースもあるのでご注意ください。しかし、弊所のこれまでの経験衣おいては書面で税務調査の通知がきた経験はございません。
まとめ
税務署からの身に覚えのない封筒はお尋ねの可能性が高く、回答期限もあるためご注意ください。
税務調査で資料を持ち帰られる留置きとは?返却までの期間
結論
・税務署は税務調査で資料を持ち帰ることを留置きという独特の用語で呼んでいます。
・返却までの期間は通常は税務調査終了宣言後ですが、その前に返却を受けるケースもあります。
・調査官はわざわざ資料を持ち帰るもののすべてをチェックしているとは思えないです。
・とにかく留置きするための預かり証の作成作業は税務調査当日において最もモタモタします。
・当該モタモタを解消するために税務調査前の帳簿提出のお願いを始めたのではないかというのが弊所独自の見解です
以下で詳細を記述します。
税務署は税務調査で資料を持ち帰ることを留置きという独特の用語で呼んでいます
留め置きとは要するに、税務調査官が納税者の資料を預かって税務署に持って帰ることを言います。税法において、提出された物件の「留置き」とは、当該職員が提出を受けた物件について国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の庁舎において占有する状態をいう、と定められているため、仰々しく「留置き」と呼んでいるにすぎません。
返却までの期間は通常は税務調査終了宣言後ですが、その前に返却を受けるケースもあります
調査官は資料を持ち帰り、税務署で資料の突合せ作業を行います。当該突き合せチェックが完了することがすなわち税務調査終了でもあるわけですので、基本的には税務調査終了宣言後に返却を受けることになります。一方で、弊所が実際に経験した事例として、交際費について細かく聞取りを行ないたいから、一度交際費に関わるレシートなどを納税者に返却して、その後聞取りを行ないたいという、税務調査終了宣言前に返却の打診を受けたケースがあります。
調査官はわざわざ資料を持ち帰るもののすべてをチェックしているとは思えないです
調査官は、3年分や5年分の資料を一度に持ち帰ることになります。その場合、例えば現金払いのレシートの綴りなどは大量の資料となります。ここで弊所独自の税務調査官から得た情報で、持ち帰った資料の突き合せ作業についてはその調査官一人でするのか、それとも他の税務職員の作業の支援があるのかというと、支援は無く担当した調査官一人で突合せを行うようです。そうすると、担当調査官一人でレシートや領収書の1枚1枚をすべて突合せするとは考えにくいです。弊所が経験した実際の事例として、調査官が、レシートが大量に入った封筒を持ち帰ったが、空けた形跡がないまま返却された、という事例が存在します。
とにかく留置きするための預かり証の作成作業は税務調査当日において最もモタモタします
税務調査官は調査現場で資料を持ち帰る時に、納税者や税理士に留置きの許可を得るために「預かり証」というものを作成します。この預かり証ですが、作成手順としては、税務調査当日に提示した資料に、調査官がオリジナルの名称をつけて複写の紙に明記し、控えを納税者に渡すというものです。例えば、確定申告書の控えであれば、確定申告書の控え一部・一束・一綴り、などネーミングするわけです。これがとても時間がかかります。例えば、弊所が独自に作成した資料についてはそのネーミングに悩み、またどれを一括りにするのかなどに悩みます。また、レシートの束を一束、とネーミングするのですが、当該レシートの束にレシートが100枚貼り付けてあったとしても一束となります。つまりその100枚のうち1枚が紛失していたとしても記録が残っておらず、証明できないこととなります。
以上より、この預かり証は厳密に言えばそこまで意味が無いように思われます。しかし調査官は決まりに従って、丁寧に預かり証を作成します。これが非常に時間がかかり、モタモタする原因です。
恐らく税務署はこれまで納税者と「資料紛失トラブル騒動」と戦ってきたと予想します
なぜこれほど調査官が留置きに時間をかけるかというと、納税者の資料を預かるということはすなわち資料紛失のリスクを負うことになるからです。恐らく、納税者から税務署に対して「資料を紛失したのではないか」とトラブルになったことが過去何度もあったのであろうと予想します。そして実は納税者が勘違いしていた、というケースもあったでしょう。しかし税務署は一度このようなクレームを受けると、それを無視することもできずに対応に追われていたと想像します。
実際にこの資料はそのままいただける資料ですか、それとも返却希望ですか、と調査官がよく聞いてきますが、返却希望ですと伝えると調査官は残念そうな顔をします。
当該モタモタを解消するために税務調査前の帳簿提出のお願いを始めたのではないかというのが弊所独自の見解です
令和8年10月において国税庁が、税務調査前の帳簿提出の御願いについて公式の見解を発表しました。こちらのページをご参考ください。
【緊急アナウンス】国税庁が実地調査前の帳簿等データ提出に関するQ&Aを公表しました
この方針の真の目的のうちの一つについて弊所は、調査官が預かる資料を減らすための考えも含まれていると予想しております。なぜなら、税務調査日前に事前にデータで帳簿をもらえれば、当日の預かり証作成の時間も短縮できるうえ、資料紛失のリスクも避けられるためです。
まさか!?KSK2導入でむしろ令和8年秋調査が滞っている!?
結論
・KSK2導入で令和8年秋調査がむしろもたついていることは事実のようです。
・令和8年秋調査の調査件数はむしろ例年より減るのではないかとすら感じます。
・しかしこの反動は令和9年春調査へ影響するだろうというのが弊所の私見です。
以下で詳細を記述します。
税の専門家たちは異口同音に「KSK2導入で令和8年秋の税務調査が厳しくなる」と述べていました
KSK2と検索してみてください。様々な専門家、評論家たちが、KSK2の導入で令和8年の税務調査から厳しくなる、件数が多くなる、効率化がアップする、やばいです、などの意見が述べられています。
しかしながら弊所が令和8年10月中に実際に体験している事例は全く異なっております。
KSK2を導入したシルバーウィーク後から発生した税務署でのできごと
国税がアナウンスした、KSK2導入後に国税が発生させた不具合のアナウンスをまとめます。
・マイナポータル経由のログイン不可
・インターネットバンキングによる納付の完了表示の不具合
・インターネットバンキングによる手数料納付不可
・e-Taxの一部機能の利用不可
・e-Taxソフトでバージョンアップが正常に認識されない不具合
・e-Govホームページ経由のインターネットバンキング納付不可
極めつけは以下です。
10月2日には本人以外の贈与税申告書等が閲覧できる状態になっていたことが発表
公式発表は無いが弊所が実際に税務調査において体験している現象
弊所が令和8年秋の税務調査を対応していて実際に体験した現象は以下となります。
・税務調査日前に税務代理権限をe-taxで単独送信したにも関わらずそれが届かなくなった
・シルバーウィーク前までは、税務調査官とオンラインで面談できたが、その後オンラインでのやり取り開始を申出ても電話や郵送でしかやり取りを認めてくれなくなった。
・税務調査日以後に調査官から求められる資料を提出し、通常であれば1週間程度で税務調査終了宣言がされるであろうところ、システムの不具合により税務調査終了の手続きが完了できないため税務調査が終了しない。
・税務調査前の自主的な申告による本税の納付書が、提出から通常は1か月程度で交付されるところ、なかなか交付されない。
このような状態では、税務調査官はなかなか新規の税務調査案件に着手できないのではないでしょうか。
例えば、通常は、Aの案件に関する資料を持ち帰り資料を確認しながら、Bの案件に着手しつつ、Cの案件に着手する頃には、Aの案件の資料は返却しているというような流れと思います。
しかし、調査が完了しなければ資料を返却できずに、どんどんAの資料、Bの資料、Cの資料と税務署に溜まってしまい、これも税務署が資料を預かるにあたっての大きなリスクとなります。
そうすると、なかなか調査官は次の調査の案件に着手しづらいのではないか、と推測します。
以上から弊所の私見
税務署は、KSK2で令和8年秋の税務調査の調査実績件数を増加させようと意気込んでいたところ、むしろ足を引っ張られて調査件数が伸び悩んでる可能性があります。
納税者の皆様、怖いのは令和9年春調査です
ここまでを聞くと、「なんだ税務署も大したことないな」と思われるかもしれません。しかし、それは誤りです。KSK2の不具合は永遠ではありません。KSK2はいま現在、もたついているだけです。令和9年春調査においては完全実装されているかもしれません。
そうすると令和9年春調査においては、令和8年秋調査の遅れを取り戻そうと必死で調査官は税務調査件数を増やす努力をするかもしれません。
まとめ
KSK2導入で不具合を発生させている国税の動きを他人事と考えて、税務署も大したことないと安易に考えることは非常に危険です。