法人の税務調査

税務調査の対象となりやすい法人の業種は

2026-10-26

結論

・国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」において不正発見割合の高い10業種という明確なデータがあります。
・上記から導いた税務調査の対象となりやすい法人の業種の圧倒的な1位はバー・クラブとなりました。
・その他の常連の業種も存在します。
・不正発見割合の高い10業種の経営者様、令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業すれば追徴滞納税金を免れる」は通用しません

以下で詳細を記述します。

国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」において不正発見割合の高い10業種が最も確かな情報と考えます。

弊所は、平成26事務年度から令和6事務年度における、「法人税等の調査事績の概要」において不正発見割合の高い10業種のランキングをまとめて調査しました。弊所の調査結果は以下となります。

税務調査の対象となりやすい法人の業種ランキング
・1位:バー・クラブ
・2位:外国料理
・3位:その他の飲食
・4位:土木工事
・5位:美容

以下でさらに分析します。

税務調査の対象となりやすい法人の業種ランキング圧倒的1位はバー・クラブ

まず国税庁における「バー・クラブ」の定義は明確ではありません。そこで、日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月改定)を利用していると仮定すると、「バー;スナックバー;キャバレー;ナイトクラブ」と考えられます。

弊所が、バー・クラブを1位とした根拠は以下です。

・平成26事務年度=順位:1位=不正発見割合:57.1%
・平成27事務年度=順位:1位=不正発見割合:66.3%
・平成28事務年度=順位:1位=不正発見割合:62.5%
・平成29事務年度=順位:1位=不正発見割合:66.4%
・平成30事務年度=順位:1位=不正発見割合:70.3%
・令和元年事務年度=順位:1位=不正発見割合:63.5%
・令和2年事務年度=順位:1位=不正発見割合:53.7%
・令和5年事務年度=順位:1位=不正発見割合:59.0%
・令和6年事務年度=順位:1位=不正発見割合:62.3%

まず、順位が常に1位です。令和3年事務年度、令和4年事務年度がランキング外なのは、コロナ禍であったためです。反対にコロナ禍でなければ恐らくずっと1位だったでしょう。もう1点が、不正発見割合が常に50%超えであることです。つまり、法人担当の税務調査官からすれば、バー・クラブに調査に行けば半分の確率で重加算税を賦課できるということになります。

税務調査の対象となりやすい法人の業種ランキング2位は外国料理

まず国税庁における「外国料理」の定義は明確ではありません。そこで、日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月改定)を利用していると仮定すると、「フランス料理店;イタリア料理店;スパゲティ店;朝鮮料理店;印度料理店;カレー料理店;エスニック料理店;無国籍料理店」と考えられます。

弊所が、外国料理を2位とした根拠は以下です。

・平成28事務年度=順位:2位=不正発見割合:45.3%
・平成29事務年度=順位:2位=不正発見割合:48.1%
・平成30事務年度=順位:2位=不正発見割合:46.7%
・令和元年事務年度=順位:3位=不正発見割合:42.3%
・令和2年事務年度=順位:2位=不正発見割合:52.0%
・令和5年事務年度=順位:3位=不正発見割合:38.8%
・令和6年事務年度=順位:3位=不正発見割合:40.2%

まず、順位が常に3位以上です。令和3年事務年度、令和4年事務年度がランキング外なのは、コロナ禍であったためです。反対にコロナ禍でなければ恐らく3位以上だったでしょう。もう1点が、不正発見割合が常に35%超えであることです。つまり、法人担当の税務調査官からすれば、外国料理に調査に行けば1/3の確率で重加算税を賦課できるということになります。

税務調査の対象となりやすい法人の業種ランキング3位はその他の飲食

まず国税庁における「その他の飲食」の定義は明確ではありません。そこで、日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定)を利用していると仮定すると、「大福屋;今川焼屋;ところ天屋;氷水屋;甘酒屋;汁粉屋;甘味処;アイスクリーム店;サンドイッチ専門店;フライドチキン店;ドーナツ店;ドライブイン(飲食店であって主たる飲食料品が不明なもの)」と考えられます。

弊所が、その他の飲食を3位とした根拠は以下です。

・平成29事務年度=順位:4位=不正発見割合:36.2%
・平成30事務年度=順位:4位=不正発見割合:42.7%
・令和元年事務年度=順位:2位=不正発見割合:42.9%
・令和3年事務年度=順位:5位=不正発見割合:28.4%
・令和4年事務年度=順位:1位=不正発見割合:36.2%
・令和5年事務年度=順位:2位=不正発見割合:42.3%
・令和6年事務年度=順位:2位=不正発見割合:45.2%

まず、順位が常に5位以上です。令和2年事務年度以外はずっと上位です。もう1点が、不正発見割合が常に25%超えであることです。つまり、法人担当の税務調査官からすれば、その他の飲食に調査に行けば1/4の確率で重加算税を賦課できるということになります。

税務調査の対象となりやすい法人の業種ランキング4位は土木工事

まず国税庁における「土木工事業」の定義は明確ではありません。そこで、日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定)を利用していると仮定すると、「一般土木建築工事業に属さないで,主として堤防・護岸・水利・床固・山腹工事などによる河川・砂防・海岸・治山施設工事,ダム工事,各種の貯水池,用水池などの建設工事,各種の水路工事,かんがい排水施設工事,防波堤,岸壁・桟橋などの港湾施設工事,埋立工事,干拓工事,開墾工事,軌条敷設・停車場・鉄道土工・伏せどい・溝橋などの鉄道施設工事,地下鉄・地下工作物工事,ドック建設工事,高架道路・高架施設工事,橋りょう工事(鋼橋上部工事を除く),ずい道工事,水源施設・浄水施設・送水施設・配水施設などの上水道工事,下水管きょ・ポンプ施設・下水処理場などの下水道工事,道路工事,駐車場工事,飛行場・水上飛行場工事,運動競技場・競馬場・競輪場工事,宅地造成工事などのすべて又はいずれかを行うことによって,土木施設を完成する事業所をいう」と考えられます。

弊所が、土木工事を4位とした根拠は以下です。

・平成26事務年度=順位:7位=不正発見割合:26.2%
・平成27事務年度=順位:6位=不正発見割合:27.4%
・平成28事務年度=順位:6位=不正発見割合:28.9%
・平成29事務年度=順位:5位=不正発見割合:30.0%
・平成30事務年度=順位:6位=不正発見割合:28.4%
・令和元年事務年度=順位:7位=不正発見割合:30.4%
・令和3年事務年度=順位:4位=不正発見割合:28.7%
・令和4年事務年度=順位:4位=不正発見割合:28.1%
・令和5年事務年度=順位:4位=不正発見割合:31.5%
・令和6年事務年度=順位:8位=不正発見割合:30.4%

まず、順位が10年間ずっとランクインしており8位以上です。もう1点が、不正発見割合が常に25%超えであることです。つまり、法人担当の税務調査官からすれば、土木工事に調査に行けば1/4の確率で重加算税を賦課できるということになります。

税務調査の対象となりやすい法人の業種ランキング5位は美容

まず国税庁における「美容」の定義は明確ではありません。また、美容業、ではなく美容、という点にも着目します。

日本標準産業分類(平成25年[2013年]10月改定)の中分類、洗濯・理容・美容・浴場業、において、「その他の洗濯・理容・美容・浴場業」があり、ソープランド業が含まれます。

このソープランド業が順位を押し上げていると考えます。

弊所が、美容を5位とした根拠は以下です。

・令和元年事務年度=順位:10位=不正発見割合:28.3%
・令和2年事務年度=順位:3位=不正発見割合:37.5%
・令和3年事務年度=順位:7位=不正発見割合:28.0%
・令和4年事務年度=順位:10位=不正発見割合:25.0%
・令和5年事務年度=順位:5位=不正発見割合:30.8%
・令和6年事務年度=順位:4位=不正発見割合:34.5%

まず、順位が令和元年事務年度以降連続でランクインしています。もう1点が、不正発見割合が常に25%超えであることです。つまり、法人担当の税務調査官からすれば、美容に調査に行けば1/4の確率で重加算税を賦課できるということになります。

不正発見割合の高い10業種の経営者様、令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業すれば追徴滞納税金を免れる」は通用しません

こちらのページをご参考ください。

令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業すれば追徴滞納税金を免れる」は通用しません

法人で、「バー・クラブ、外国料理、その他の飲食、土木工事、美容(特にソープランド業)」を経営されておられる、経営者の皆様、くれぐれも「法人を潰して廃業すれば追徴滞納税金を免れる」というようなお考えはおやめいただきますことお願い申し上げます。

法人が無申告だとどうなるのか

2026-10-25

結論

・法人が無申告で逃げ切ることは不可能と考えてください。
・無申告法人に対する無申告重加算税の割合は増加しています。
・なぜわざわざ法人を設立してまで無申告なのか令和6年以前は謎でしたがある仮説が浮かび上がりました。
・令和7年1月1日以後は法人を廃業させても滞納税金を免れるこができなくなりました。

以下で詳細を記述します。

法人が無申告で逃げ切ることは不可能と考えてください

法人は設立するにあたって登記申請します。つまり国へその存在を知らせるわけです。国へその存在を知らせながらあえて法人で無申告を貫くという考えは、税の専門家である弊所としては考えられないこととなります。無申告を貫いている法人とは例えばどのような法人があるのでしょうか。ここで国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」がとても貴重な資料となります。

国税庁が公表する「法人税等の調査事績の概要」「Ⅱ主要な取り組み3無申告法人に対する取組」という項目において、令和元事務年度から令和5事務年度においてのみ無申告法人の事例を具体的に例示してくれていました。しかし遺憾ながら令和6事務年度においては再び明示してくれなくなりました。

弊所の分析結果は以下です。

・平成26事務年度~30事務年度までの「法人税等の調査事績の概要」「Ⅱ主要な取り組み3無申告法人に対する取組」では無申告法人の具体例の例示は無かった。
・令和元事務年度~令和5事務年度において具体例の例示があった。
・令和6事務年度以降は再び例示が無くなった。

国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」より無申告法人の具体例

ここで令和元事務年度から令和5事務年度における「法人税等の調査事績の概要」「Ⅱ主要な取り組み3無申告法人に対する取組」という項目で例示された無申告法人の具体例を見ましょう。

●令和元年事務年度の具体例
具体例1:調査法人A社は、店舗での営業で多額の収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、請求書等を破棄するとともに、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:多額の不動産売却収入について、契約書等を破棄するとともに売却代金を現金で受け取ることで取引を隠蔽
具体例3:建設機材の組立ての請負で得た多額の収入について、請求書等を破棄することで取引を隠蔽

●令和2年事務年度の具体例
具体例1:調査法人A社は、店舗での営業で多額の収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、請求書等を破棄するとともに、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:接待を伴う飲食店における多額の収入について、売上げに係る書類を破棄することで取引を隠蔽
具体例3:不動産コンサルタント業務で得た収入について、領収証等を破棄することで取引を隠蔽

●令和3事務年度の具体例
具体例1:調査法人A社は、事業を行い収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、代表者名義の預金口座に売上代金を振り込ませることで取引を隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:人材派遣業で得た収入について、代表者名義の預金口座に売上代金を振り込ませることで取引を隠蔽
具体例3:不動産業で得た収入について、取引に係る書類を破棄することで取引を隠蔽

●令和4事務年度の具体例
具体例1:調査法人は、事業を行い収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、また、書類を破棄するとともに、取引内容に関するデータを削除することで取引を隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:婦人服の製造業で得た収入について、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、書類を破棄することで取引を隠蔽
具体例3:太陽光発電のコンサルティング業で得た収入について、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませることで取引を隠蔽

●令和5事務年度の具体例
具体例1:調査法人は、事業を行い収入を得ており、申告義務があることを認識しながら、現金売上げは代表者の預金口座に、カード売上げは知人の預金口座に入金させ、また、書類を破棄することで、売上げの全てを隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:申告をすると納税額が発生してしまうことから、新たに口座を開設し、売上げをその預金口座に振り込ませることで取引を隠蔽し、納税を免れていた。
具体例3:関与税理士には何も伝えず、別の代表を立て、売上げは借名口座を利用し回収を行い、書類は一切を破棄することで取引を隠蔽し、納税を免れていた。

上記の具体例を分析すると、現金売上を除外、他の口座に入金させて売上を除外、書類を破棄により取引を隠蔽、という個人事業主の隠蔽仮装と変わりないことを実行していると感じます。したがって、法人は個人事業主よりもよりバレやすいにも関わらず、個人事業主と同レベルの隠蔽工作を行い、それがバレているように見受けられます。

国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」より無申告法人に対する無申告重加算税が賦課された割合を算出

国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」より無申告法人に対する無申告重加算税が賦課された割合を、過去10年間分析すると以下となります。

・26年事務年度→9.2%
・27年事務年度→12.2%
・28年事務年度→13.8%
・29年事務年度→16.7%
・30年事務年度→18.1%
・令和元年事務年度→21.1%
・2年事務年度→19.6%
・3年事務年度→21.9%
・4年事務年度→22.3%
・5年事務年度→24.1%
・6年事務年度→25.2%

直近では、無申告法人に対する無申告重加算税が賦課された割合が25%となり10年前の約3倍弱と増加しております。

なぜわざわざ法人を設立してまで無申告なのか令和6年以前は謎でしたがある仮説が浮かび上がりました

繰返しますが、法人の無申告は個人事業主の無申告よりバレやすいです。それは法人は国へ登記するために、その登記情報から税務署は法人の情報を取得できるからです。それにも関わらず、無申告法人として調査されている法人は、国税庁が公表した情報によれば、個人事業主と変わらない手口で無申告を実行しているというものでした。なぜわざわざこのようなリスクを冒して法人無申告を実行するのか謎でした。

しかし、令和6年年度改正において令和7年1月1日以後より適用されるある法律により気が付くことができました。令和6年以前は、税金を滞納させたまま法人を廃業したとしてもその代表者はその滞納した税金の支払いを免れることができる点について問題視されていました。

そこで令和7年1月1日以後は、不正を行った法人が滞納した税金について、代表者が第二次納税義務を負うとする改正が行われました。

つまり、これまで無申告法人が発生していた原因の一つとして、法人を設立して無申告を実行し、税務調査で追徴税額が発生したとしても代表者が法人を廃業させるというスキームを目的として、無申告法人を稼働させようとする悪質な納税者が存在していたのではないか、という仮説を立てました。こちらのページをご参考ください。

令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業すれば追徴滞納税金を免れる」は通用しません

まとめ

・法人の無申告はばれます。
・また法人の無申告がばれても廃業して滞納税金を免れるというスキームは、令和7年1月1日以後は通用しなくなりました。

令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業して追徴滞納税金を免れる」は通用しません

2026-10-24

結論

・無申告法人に対する税務調査は年間2,000件程度発生しています。
・法人は登記情報により国にその存在を把握されます。
・法人の有限責任制を利用した法人廃業による滞納税金回避スキームが存在していたと分析しました。
・令和7年1月1日以後は法人廃業による滞納税金回避スキームは穴ふさぎされたと考えます。

以下で詳細を記述します。

無申告法人に対する税務調査は年間2,000件程度発生しています

国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」によれば過去10年における、無申告法人に対する実地調査の状況、は以下となります。

・26年事務年度→2,719件
・27年事務年度→2,555件
・28年事務年度→2,623件
・29年事務年度→2,593件
・30年事務年度→2,683件
・令和元年事務年度→1,962件
・2年事務年度→1,416件
・3年事務年度→1,482件
・4年事務年度→1,632件
・5年事務年度→1,773件
・6年事務年度→2,089件

このデータから毎年約2,000件程度、無申告法人に対して税務調査が発生しています。

法人は登記情報により国にその存在を把握されます

法人は設立にあたって、法人設立登記を行います。従ってその存在を国に知らせることとなります。この点が個人事業主と全く異なっています。個人事業主は、基本的に開業した場合は開業届出を提出するルールとなっておりますが、開業届出を出さない個人事業主もいます。従って、開業届出を出さなければ事業所得者にならないわけではありません。そのため、ある個人が何らかの形で事業収入を得ていたとしても申告をしないという、個人事業主の無申告は発生しやすくなるわけです。また株式会社、合同会社は、営利を目的として設立することが基本であるため、わざわざ設立したにも関わらず営利活動をしないというのもおかしな話となります。ではなぜ、法人を設立してあえて無申告であるという法人が発生するのでしょうか。

法人の有限責任制を利用した法人廃業による滞納税金回避スキームが存在していたと分析しました

まず株式会社、合同会社の有限責任制について解説します。有限責任制とは、法人の出資者はその法人が倒産した場合でも、その出資者は出資額の金額以上の金額は請求されない、という原則となります。

ここで法人の借入金で説明します。法人が借り入れた借金を返せなくなった場合でも、当該借金に対して代表者が代表者連帯保証を付けていなければ、代表者は当該借金を返さなくてもよいことになります。では、法人が税金を滞納した場合に、代表者が当該税金を納付する義務があるかどうかについて疑問が湧きます。

令和6年以前における法人が税金を滞納した場合における、代表者の第二次納税義務について、ネットでは誤った記述が散見されます。弊所の分析結果としては以下となります。

令和6年以前における法人が税金を滞納した場合の、代表者の第二次納税義務は、元代表者である清算人が、税金を滞納している法人から財産の分配を受けている場合は、分配された財産の額を限度として第二次納税義務を負う、と分析しました。反対に、元代表者である清算人が残余財産の分配を受けておらずに、その法人が税金を滞納しながら廃業した場合は、元代表者である清算人は第二次納税義務を負わないことになります。

そうすると、このスキームを利用すれば、無申告法人で得た収益を何らかの方法でどこかに隠し、無申告法人には税金を支払う財産が無いということで廃業すれば、当該無申告法人の代表者は、当該滞納税金を免れることができた、と考えられます。

令和7年1月1日以後は法人廃業による滞納税金回避スキームは穴ふさぎされたと考えます

財務省の令和6年度改正関係資料(納税環境整備関係)において、不正申告を行った株式会社の役員等に対する徴収手続の整備が説明されています。

【改正の背景】
・法人が財産を散逸させた上で廃業する等により納税義務を免れようとする事案が散見されており、調査や滞納処分を行う段階では、既にその法人の財産が残存していない場合が多く、滞納国税の徴収が困難となっており、こういった事案への対応が課題とされていた。
・従前は、代表者等が簿外財産や不正還付金といった不正行為に係る財産を創出し、自らが当該財産の移転を受けた場合や、自ら実行して法人外部へ移転(散逸)させた場合でも、代表者等に追及できなかった。

このような背景を受けて、不正行為により国税を免れた法人の財産の移転が行われており、かつその国税を滞納している場合には、その代表者に対して当該移転された財産を限度額として、第二次納税義務が課されることになりました。

まとめ

令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業して追徴滞納税金を免れる」は通用しません。

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