支払明細書と支払通知書の違い
まず支払明細書と支払通知書に共通することは、買手側が売手側に「いくら払うか」を明示する資料となります。2つの違いは、支払明細書は支払済みの内容の明細書で、支払いが完了した後に発行されます。支払通知書は、支払う予定の明細書で、支払いの前に発行されます。また支払明細書は企業や個人を問わず幅広く発行されます。一方で、支払通知書は企業間取引でおもに使用されます。
消費税法では、仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類という文言を使用しており、支払明細書、支払通知書という文言は使用しておりません。そのため国税庁は支払明細書と支払通知書をまとめて「仕入明細書等」として文言を使用しております。
以上より、支払明細書及び支払通知書及び仕入明細書等はほとんど同じ意味と考えてよさそうです。ここで弊所においては、便宜上、支払明細書と呼ぶこととします。
ここでインボイスとは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものであると言われています。つまり売手が買手に対して発行するものと言い換えることができるでしょう。
売手が買手に対して請求書等を発行しにくい、できない取引が存在する
しかし世の中には、売手が買手に対して請求書等を発行しにくい、できない取引が存在します。例えば、印税や原稿料です。印税や原稿料を作家側(売手)が出版社側(買手)に対して金額を算定して請求する方法が困難なケースがほとんどです。その多くが、出版社側(買手)が印税や原稿料を計算した結果、作家側(売手)へ通知して支払うという方法がなじむように解されます。
一方で近年導入されたインボイス制度は、買手が売手から受けたインボイス(請求書等)を根拠に仕入税額控除する制度です。そうすると出版社側(買手)が作家側(売手)からのインボイス(請求書等)の発行を受けることができないため、仕入税額控除ができない不都合が生じます。
このような場合に、出版社側(買手)が作家側(売手)へ通知する支払明細書をインボイス(請求書等)として取り扱うという、通常とは反対の構造となる仕組みが認められています。
以上から、漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)が出版社(買手)から印税や原稿料が支払われた場合には支払明細書が送付されることが多いと考えられます。この支払明細書には源泉徴収された税額が明記されているはずです。
デザイン料については売り手が買い手に請求書を発行できる、発行しやすい
一方でデザイン料については漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)が出版社(買手)へ請求書を発行して請求します。この場合における注意点としては、漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)が作成する請求書には源泉徴収税額を明記することを推奨いたします。
支払調書は対税務署への資料です
最後に支払調書ですが、まず支払調書は「税務署に報告・提出するために義務付けられている書類」であり、出版社(買手)が漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)に送付する義務はありません。しかし、漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)が出版社(買手)へ依頼すれば、貰える可能性があります。支払調書は、出版社(買手)が漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)に対して年間に支払った報酬額と年間の源泉徴収税額が記載されているため、漫画家・同人作家・イラストクリエーターさん(売手)さんが確定申告する際に重宝します。
支払調書と源泉徴収と税務調査
意図的な過少申告に心当たりがある状態で調査通知を受けた漫画家・同人作家・イラストクリエーターさんが調査日までに事前自主修正申告書を提出する際に、支払調書の再発行などの論点が発生する可能性もございます。また支払調書の再発行が間に合わない場合はどのように対処すべきなのかの論点もございます。
また無申告に心当たりがある状態で調査通知を受けた漫画家・同人作家・イラストクリエーターさんが調査日までに事前自主期限後申告を提出する場合も上記と同様の悩みが発生する可能性がございます。
支払調書と源泉徴収と税務調査のことも含めて弊所にご相談いただければと存じます。
この記事の監修者

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