税務調査全般に関する知識
税法における更正という文言を正しく理解しましょう
結論
・税法の更正は、更生ではなく更正です。
・更正の請求をするための更正の請求書や添付書類や手続きは他の申告と異なります。
・更正の請求の立証責任は納税者が負っていると解されます。
・隠蔽仮装行為に基づく更正の請求も重加算税賦課の対象となりました。
以下で詳細を記述します。
まず、更生ではなく更正です
ネット記事等で、更正とすべきところを更生と誤変換の誤字で記述している場面が散見されます。これはパソコン等の変換がまず更生がでてきることに起因していると解されます。
更生:生き返ること、よみがえること、精神的、社会的に、また物質的に立ち直ること、となります。
また更正の予知、更正の予知なし、という言葉も存在します。これを、更生の余地、としてしまうと、
更生の余地がない:改善や立ち直る見込みがない状態
となり、語感はそっくりだが全く意味は違うこととなりますので、ご注意ください。
税法における更正とは
まず前提としては、税務申告書の内容が誤っていた場合となります。
この場合において納税者が税務署に対し申告内容を正す手続きが、訂正申告、修正申告、更正の請求となります。
これに対して税務署側が納税者に対して行う手続きが、更正または決定になります。
なお更正と決定の違いに触れておきますと、更正とは「期限内」の申告に対して税額を正す処分であり、税額が増える場合も減る場合も、いずれも「更正」となります。税額が増えるものを「増額更正」、減るものを「減額更正」といいます。(税務調査においては追徴が目的であるため基本的に「増額更正」であると考えられます。)これに対して決定は、「期限後」の申告の税額を正したり、無申告の相手に税金を課したりする処分です。
・期限内申告に対する税務署からの指摘=更正
・期限後申告又は無申告者に対する税務署からの指摘=決定
更正の請求は納税者が税務署へ減額更正してくださいと請求することと言い換えることができるかもしれません
更正の請求の定義は下記となります。
「更正の請求」とは,納税義務者が申告した税額が計算誤り等により過大であることを知った場合に,納税義務者が自ら申告内容の是正(税額の減額)を課税庁に請求できる権利です。
(京都市情報館ホームページより)
更正の請求の仕組み
提出する申告書からみる更正の請求の特殊性
まず下記の違いについてご理解お願いいたします。
・期限内申告において計算した結果税金還付となった場合=通常の申告書の税額欄に△(さんかく)又は―(マイナス)を記述すれば提出及び還付を受けることが可能
・期限後において税金計算の修正により税金還付が算出された場合=修正申告書の税額欄に△(さんかく)又は―(マイナス)を記述しても提出不可=更正の請求書で提出しなければならない=税務ソフトにおける修正申告書作成機能を利用して更正の請求を試みることは誤っております
添付資料等からみる更正の請求の特殊性
・更正の請求の根拠となった資料の添付が必要となります。
・税務署から添付した資料に加え、追加資料を求めてくる場合もあります。
・更正の請求が認められず、更正の請求に対してその請求をすべき理由がない旨の通知書、が通知される場合もあります。
・つまり更正の請求については納税者に立証責任があると解されます。
更正の請求と重加算税
・令和6年度(2024年度)改正により隠蔽・仮装したところに基づき「更正請求書」を提出した場合を重加算税の賦課対象に加えることとなりました。
・令和7年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用であるため、個人事業主については令和6年度(2024年度)申告からとなります。法人については12月末が休日扱いになるため、1月最初の税務署営業日が申告期限となる令和6年(2024年)10月決算法人から対象となります。
・改正の経緯としては、申告後に隠蔽・仮装したところに基づき「更正請求書」を提出した場合であったとしても、重加算税を賦課することができない制度が問題視されていたためとなります。
まとめ
税法における「こうせい」は「更正」であり「更生」ではありません。更正の請求は納税者が立証責任を負います。隠蔽仮装に基づく更正の請求について重加算税の対象となりました。
特別調査・一般調査・着眼調査・簡易な接触とは
結論
・簡易な接触は行政指導と同様の性質のものである、ということをズバリ結び付けた解説が国税庁及び財務省においても明示されていないため、状況を複雑にしていると解されます。
・特別調査・一般調査・着眼調査は「実地調査」であり、いわゆる税務調査となります。
・しかしまず国税庁は税務調査件数データの資料において簡易な接触と行政指導を結び付けて説明しておりません。
・国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け):問2」においては税務調査以外にも行政指導が存在するという説明はあるが簡易な接触と結びつけていません。
・財務省は「文書・電話による行政指導や来署依頼による面接等により、納税者に対して申告額等の適否の確認や非違事項の是正を行った簡易な接触」として、簡易な接触と行政指導を横並びの性質のものとして解説しています。
・以上より簡易な接触は行政指導と同様の性質のもので税務調査に該当せず、調査通知や事前通知にも該当しないはずです。したがって簡易な接触における加算税は無申告加算税のみであるはずです。
・上記のように、簡易な接触についての意義が周知されておらず、弁護士会から「簡易な接触という名を借りた税務調査はしてはいけない」と要請された事実が存在します。
以下において解説いたします
調査と行政指導の違い
所得税法人税相続税における実地調査簡易な接触非違割合書面添付割合税理士関与割合平均比較20260122
国税庁は税務調査件数データの資料において簡易な接触と行政指導を結び付けて説明しておりません
・「(国税庁発表資料)令和4事務年度所得税及び消費税調査等の状況」←(参考3)簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。←「簡易な接触とは行政指導であるとの文言無し」
・「(国税庁発表資料)令和4事務年度法人税等の調査事績の概要」←(注1)簡易な接触とは、税務署等において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するものです。←「簡易な接触とは行政指導であるとの文言無し」
・「(国税庁発表資料)令和4事務年度における相続税の調査等の状況」←実地調査を適切に実施する⼀⽅、⽂書、電話による連絡⼜は来署依頼による⾯接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの接触(以下「簡易な接触」といいます。)の⼿法も効果的・効率的に活⽤し、適正・公平な課税の確保に努めています。←「簡易な接触とは行政指導であるとの文言無し」
上記より、簡易な接触と行政指導を結び付けた解説がありません。
国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け):問2」においては税務調査以外にも行政指導が存在するという説明はあるが簡易な接触と結びつけていません
問2 税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けましたが、これは調査なのでしょうか。
調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査のほかに、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。このような行政指導に基づき、納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課されます。)。
なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。
・調査のほかに行政指導が存在することは明示しています。
・しかし、簡易な接触=行政指導であることを結び付けた説明がありません。
・ただ、調査のほかに行政指導が存在し、いずれに当たるかを明示する、ということは説明があります。
財務省は「文書・電話による行政指導や来署依頼による面接等により、納税者に対して申告額等の適否の確認や非違事項の是正を行った簡易な接触」として、簡易な接触と行政指導を横並びの性質のものとして解説しています
令和4事務年度国税庁実績評価書 業績目標1-4-1(適正申告の実現及び的確な調査・行政指導の実施)のp97より
「調査等の件数」の内書きは、個人課税課、資産課税課において、文書・電話による行政指導や来署依頼による面接等により、納税者に対して申告額等の適否の確認や非違事項の是正を行った簡易な接触を除いた件数です。という説明があります。
上記から財務省は、行政指導と簡易な接触を同様の性質なものとして横並びで解説しています。
以上より簡易な接触は行政指導と同様の性質のもので税務調査に該当しないと解されます。
以上より簡易な接触は行政指導と同様の性質のもので税務調査に該当せず、調査通知や事前通知にも該当しないはずです。したがって簡易な接触における加算税は無申告加算税のみであるはずです。
上記のように、簡易な接触についての意義が周知されておらず、弁護士会から「簡易な接触という名を借りた税務調査はしてはいけない」と要請された事実が存在します。
日弁連総第61号、2017年(平成29年)2月15日において、日本弁護士連合会の会長である中本和洋から、国税庁長官である迫田英典へ、税務調査における適正手続保障に関する要請書として、「行政指導」を名目とする納税義務者の呼び出しが,課税当局の言う「簡易な接触」による事実上の「税務調査」を可能にしている、として税務調査における適正手続保障に関する要請書、が提出されました。
まとめ
・簡易な接触は行政指導であり調査ではありません。
・そもそもまず、調査か行政指導か、を税務署側は明示しなければいけません。
税務調査官はノルマがありそれが出世に影響するは本当か?
結論
・税務調査官は、まず年間件数ノルマ達成のために素早く処理したいと考えている
・税務調査官は、素早く処理する中で追徴税額が多くとれればなおよいと考えている
・税務調査官は、素早く処理する中で不正を発見すること(重加算税を課すこと)があればさらに良いと考えている
・税務調査官は、上記が評価されて出世できればうれしいと考えている
・上記の考えはあくまで国税内部で秘めておく考えであって、世間には公表しない、したくないと考えている。
弊所が導き出した結論の根拠は以下となります。
情報源
・書籍
・ネット
・事実として発生した事件
・事実として毎年公表されている調査の実績
なお遺憾ながら弊所は国税OB税理士は所属しておらず、直接的な体験談を語ることは出来かねます。
書籍の情報
・飯田真弓「税務署はやっぱり見ている」株式会社日経BP(2023年3月17日)より
〇p164-165、国税の組織の中では「税金をたくさん取ってきた者が出世するかという質問の答えはそうとは限らない」
〇p165、実務能力が出世に関係ないかというとそうとも言い切れない
〇p165、税務署でキャリアアップするためにはこの税務大学校で定められた研修をうける必要がある
〇p165、研修を受けるためには選考試験に合格しなければなりません
〇p166、研修を受けられるかどうかの選考の際は、記述試験だけではなく、仕事に対する取り組み方も評価の対象に入ると予想できます。その意味では、たくさん税金を取ってきた職員のほうが評価がいいとなるかもしれません。出世に必須となる研修を受けられるかどうかの選考の際に、税務調査のでの成績も加味されるとすれば増差税額の多寡も出世に関係すると言えなくもない。
・大村大次郎「税務署対策最強の教科書」株式会社ビジネス社(2020年1月1日)より
〇p16、税務調査の本当の目的はそうではありません。本当の目的は追徴税を稼ぐことです。実は税務署の調査官というのは、追徴税をどれだけ稼ぐかで仕事が評価されます。
〇p19、私が現場にいたのは10数年前くらいなので、今は変わっているかもしれないとも思ったのですが、後輩の調査官に聞くと今も昔もまったく変わらないようです。国税庁は正式には税務署にはノルマなど課していないと言っていますが、追徴税をたくさんとってきたものが出世しているという現実がありますから、事実上ノルマはあると言えるのです。
・秋山清成「厳しい税務調査がやってくる続間違いだらけの相続税対策」中央経済社(2021年1月25日第1版)p50より
勤務評定といいますのは、上司がこの職員はこんないい行動をしたとか、調査で何件も不正を見つけたとか、勤務の姿勢を1年間観察した結果をペーパーにまとめるんです。つまり税務署の昇任は、警察官みたいに昇任試験ではなくて、上司の人物評価で決まります。この勤務評定はもちろん日頃の勤務姿勢も大事なんですけど、税務署は税金を徴収するのが仕事ですから、一番重要なのは調査の成果なんです。調査の成果といいますのは、調査でどれだけ不正を見つけたとか、どれだけ使いの税金ととれたかというところなんですけど、しかし、税務調査官には会社の営業員さんみたいにノルマはないんです。(省略)くどいですが税務調査官にノルマはありません。しかし例えば、相続税の調査事案でしたら1年間に約8件から10件くらいが割り当てられますからこれを期間内に処理しなければなりません。これには相当なプレッシャーを受けますから、1つの事案にあまり時間をかけたくないというのも本音です。
・久保憂希也「社長、御社の税金は半分にできる!」(2012年1月30日第1刷)p125より
国税調査官にはノルマがあります。こう書くとやっぱり追徴税額でノルマがあるんだなと思われがちですが、違うのです。国税調査官のノルマは税務調査の件数です。この半年や1年で○○件の税務調査をやりなさいというノルマなのです。(省略)ノルマが税務調査の件数だけならあれほど追徴税を欲しがらなくてもいいのではと思われるかもしれませんが、国税調査官にはノルマとは別に評価があるのです。国税調査官の評価はズバリ増差所得です。(省略)ほかの国税調査官よりも多くの誤りや不正を見つけたら評価が高い=出世するという単純な構造なのです。
ネット上の情報
増差金額及び追徴税額にノルマは無いが、調査件数にノルマはある、という記述が多く見受けられました。
調査官が「脱税行為を指摘すれば評価が上がり出世できると思った」と話した広島国税局・偽課税通知書作成事件
・2008年5月広島国税局の若手調査官が、企業が脱税行為などをしたように装った文書を捏造(ねつぞう)し、必要のない課税をしたとして、虚偽公文書作成・行使の疑いで広島地検に書類送検された。
・調査官は「脱税行為を指摘すれば評価が上がり、出世できると思った」と話している
・発覚しないよう、各企業に送った重加算税などを求める偽の通知書を「誤送付だった」と回収していた。重加算税など計約33万円は自分で納付していた。
実際の現場の調査官が出世目的で重加算税案件を偽装した事件となります。
事実として毎年公表されている調査の実績
国税庁は毎年
・調査の件数
・追徴税額の金額等
を公表しています。国税としては当然ながら見栄えの良い成績を公表したいことでしょう。そうすると調査件数及び追徴税額金額を目標としていると考えられます。しかしその目標と出世の関係性については読み取ることはできませんでした。
上記より導いた弊所独自の見解
税務調査官が目指す成績
極端な例を挙げれば以下となります。
・税務調査達成件数1件で追徴税額1億円(1件×1億)の成績の調査官A
・税務調査達成件数100件で追徴税額1億円(100件×100万円)の成績の調査官B
税務署の調査官は「上記のB」を目指していると考えられます。偶然処理することができた1件の高額追徴税額よりも、効率よく件数をさばき、さらに高額追徴税額を達成した調査官が評価されるのは当然でしょう。
今後の税務調査について
近年の税務調査においては、追徴税額が過去最高額を更新したり、一件当たりの追徴税額が過去最高額を更新したりと追徴税額については確実に増加しております。しかし税務調査件数については税務調査手続きが厳格化されて以降は確実に減少しております。組織というものは常に改善した目標を掲げてそれを実行するものですから、今後は調査件数の増加に着手すると考えます。事実として税務調査のオンライン化が導入されています。
まとめ
・税務調査官は調査件数のノルマがある可能性が高いです。
・書籍によればノルマと出世の関係性も存在するようです。
守秘義務が課されるはずの税務調査がなぜ報道されるのか
結論
・守秘義務が課されるはずの税務調査がなぜ報道されるのか、については現在においても原因は不明です。
・国税がリークしているという説、本人を含む関係者が漏らしているという説があるようです。
・弊所は、関係者から漏れてしまっているという説、が有力のように思います。
以下で詳細を記述します。
書籍やネットにおける見解
・久保憂希也「元国税調査官が斬る税務調査の真実」マトマ出版(2012年2月10日)からの情報
・ある税理士法人のブログ記事からの情報
・元国税調査官のブログからの情報
・元国税職員、さんきゅう倉田氏の情報
上記を参考といたしました。
久保憂希也「元国税調査官が斬る税務調査の真実」マトマ出版(2012年2月10日)からの情報
久保憂希也「元国税調査官が斬る税務調査の真実」マトマ出版(2012年2月10日)p20より
しかし国税庁が明言するわけではありませんが、修正申告をした事実がマスコミに漏れるのは国税庁がマスコミにリークしているからです。それはなぜか?有名な企業や芸能人が国税によって修正申告をした事実を知らしめることで、ほかの多くの納税者が「やっぱり国税は怖い」「国税はなんでもわかるんだ」ということを印象付けるためです。これが国税庁が組織的に行っている一罰百戒なのです。
ある税理士法人のブログ記事からの情報
ある税理士法人のブログにおいては以下のように記述されていました。
・調査官には守秘義務があり絶対に外に情報がもれることはありませんと説明しています。
・脱税事件で裁判となったり、国税当局の処分が不服で裁判を行っている場合であれば、新聞報道もわかりますが、普通の税務調査で申告もれの場合はわからないはずであり、マスコミは、独自の調査と述べています。
・記者が企業等を取材して確認しているらしいが、内容が詳細であり、不思議である。
・記者が国税局の担当官に最近の調査状況を聞きにいきます。担当官は、直接は調査先の名前は言いませんが、記者の質問になんらかの反応をしているらしい。
・また、記者会見の時等に実名の資料も置いておき、勝手に見られたようにしているらしい。
以上より、なぜ報道されるのか不思議、とのことでした。
元国税調査官のブログからの情報
ある元国税調査官のブログにおいては以下のように記述されていました。
・国税局の広報などが情報を公開していることはない。そもそも国税局や、税務署の職員は、国家公務員なので、厳格な守秘義務を課せられています。
・どうも、報道される内容の大半は、報道された本人や関係者が話しているようです。
以上より、本人や関係者が漏らしているという説、でした。
元国税職員、さんきゅう倉田氏のブログ情報
元国税職員、さんきゅう倉田氏のブログにおいては以下のように記述されていました。
・管轄の税務署や東京国税局の職員が個人的にリークすることはありません。守秘義務が課せられているし、そんなことをする動機もない。複数の国税OBの税理士さんに確認したところ、「誰がリークするのかわからない。法的根拠もわからない」という回答でした。
・推測になってしまいますが、国税庁の審議官、課税部長、調査査察部部長、徴収部長から話を聞いたり、国税の張り付き記者が総務課長から話を聞いたりしたのかもしれません。
以上より、国税張り付き記者が総務課長から聞いた、との見解でした。
2024年5月15日(水) 11:41配信ヤフー記事「巨人・有名野球選手1億円申告漏れ」、元国税職員、さんきゅう倉田氏コメントより
一般に、納税者の税務調査に関する情報が公表されることはありませんが、脱税として告発される場合や申告漏れの金額が大きい場合は新聞などで報道されています。 記事内で東京国税局のさる関係者はこう言っています。 「○○選手は、毎年の確定申告で銀座や六本木の高級クラブなどの飲食費を必要経費として計上していました。金額にして年間およそ2000万円。直近の5年をさかのぼって調べたところ、(中略)総額で約1億円もの過大な経費の計上が確認されたのです」 国税局の職員には守秘義務がありますし、週刊誌からもらえる謝礼が些少であることを考えると、○○選手に対する税務調査の情報を職員個人が週刊誌に話す可能性は低く、社会的波及効果や牽制効果などを狙った組織的なリークだと考えられます。
さんきゅう倉田氏は
・国税張り付き記者が総務課長から聞いた、と記述されているときもあります。
・一方で職員個人が週刊誌に話す可能性は低く組織的なリーク、と記述されているときもあります。
まとめ
以上をまとめた弊所の見解は以下となります。
・国税職員、税理士、税務調査を受けた対象者は、税務調査について外部に漏れぬよう細心の注意を払っていると考えます。
・しかし税務調査を受けた対象者が大企業であったり影響力の強い事業者である場合は、その対象者の関係者が多く存在します。その多くの関係者のなかからどうしても現代の情報技術の発達によって漏れてしまうのではないかと考えます。
税務調査前に事前自主修正期限後申告することを強制しているわけではなく基本スタンスとしております
結論
・弊所は税務調査開始前の自主的な修正申告を基本スタンスとしております。
・弊所は税務調査開始前の自主的な期限後申告による無申告解消を基本スタンスとしております。
・したがって自主的な申告を強制しているわけではありません。
・しかし事前自主申告はメリットデメリットがあるという意見もあります。
・ただこの近年の傾向としては事前自主申告することを基本スタンスとする考えの傾向が浸透してきていると感じます。
以下で詳細を記述します。
税務調査開始前の事前自主申告による重加算税回避可能性は国税通則法に明記されています
・当初申告においてやましいことに心当たりがある状態で税務調査通知が来たとしても、税務調査開始前に自主的に修正申告すれば重加算税を回避できる可能性があることは、国税通則法68条1項において定めがあります。
・無申告に自覚がある状態で税務調査通知が来たとしても、税務調査開始前に自主的に期限後申告すれば無申告重加算税を回避できる可能性があることは、国税通則法68条2項において定めがあります。
しかし事前事前自主申告はメリットデメリットがあるという意見もあります
以下で分析します。
メリットとして加算税が軽減されるというコメントを分析
無申告加算税、過少申告加算税、延滞税が軽減できるというメリットは法的に明らかであるため、弊所も同意します。
メリットとして重加算税が回避できる、できる可能性が高まるというコメントを分析
事前自主申告による重加算税回避の可能性は法的に明記されているため、弊所も同意します。
デメリットとして税理士報酬が高くなるというコメントを分析
当該コメントについて、弊所はやや疑問を感じます。
調査開始日までの事前自主申告は、期限までに複数年分の確定申告書を完成させるという作業量が多くかつリスクの高い業務を請け負っていることになります。確かに税務調査対応税理士の報酬相場については難しいのですが、高額となる傾向は仕方のない部分も大きいと考えます。
例えば1年分の所得税及び消費税の申告書作成が20万円であったとしてそれを5年分だから報酬100万円という見積も、不適切な見積であるとは言い切れません。
デメリットとして、税務調査官の調査が厳しくなる、嫌がらせされる可能性が高まるというコメントに対する分析
当該コメントについて、弊所はやや疑問を感じます。
・無申告、意図的な過少申告のままの調査はむしろ厳しいものになると解されます。
・税務調査官にあら捜しをされる、重箱の隅をつつかれる、調査がきつくなるなどがありますが、弊所の経験からお伝えしますと、事前自主申告があり調査官は重加算税賦課は諦め、高額な本税に満足して調査を早期に切り上げる傾向があります。
・税務調査開始前に、事前に自主申告することは法的に認められており、仮に税務調査官から嫌がらせされたとしても法的に提出は可能となります。
デメリットとして調査対象期間が3年分で終わるはずが5年分の修正が必要となり負担が増える、税理士報酬が高額となるというコメントに対する分析
当該コメントについて、弊所はやや疑問を感じます。
・法的に原則の調査期間は5年とされており、例外的に3年が慣行となっているにすぎません。
・仮に4年前、5年前に誤りがある場合は修正すべきと考えられます。
・上記より税理士報酬が高額かどうかは状況、内容によると解されます。
デメリットとして、短期間で複数年修正申告書を作成を試みることにより、適正な申告書が作成できないのではないか、というコメントを分析
当該コメントについては一部納得でき、一部疑問が生じます。
・確かに、短期間で複数年作成することによる集計ミス、判断ミス、時間をかければもっと正確であった可能性のある数字との乖離、は否定できません。
しかし、
・過少申告の場合で、納税者の隠蔽仮装行為に対する心当たりがあるならば、当該心当たりを中心に修正すれば効率的に修正が可能となります。
・無申告の場合、無申告の場合の厳罰化がすすんでいることから、短時間による作成リスクはあるものの事前自主期限後申告に意義がある可能性が高いと考えます。
まとめ
弊所は事前自主申告のメリットが大きいと感じており、基本スタンスとしております。
納税の猶予と換価の猶予の違い
結論
・いずれの猶予制度においても税務署長等に認めてもらうスタンスとなります。
・納税の猶予と換価の猶予の最大の違いは猶予期間における分納計画の考え方です。
・実務においては分納が2年も超えることも多く、嘆願による分納が行われています。
以下で解説します。
いずれの猶予制度においても税務署長等に認めてもらうスタンス
納税の猶予は国税通則法46条において「税務署長等は、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができる」とあります。
換価の猶予は国税徴収法151条において「税務署長は、滞納処分による財産の換価を猶予することができる」とあります。
いずれも税務署長等に認めてもらうスタンスとなります。
納税の猶予とは
納税の猶予のルールは以下となります。
次の①から③の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる場合があります。
① 次のAからFのいずれかに該当する事実があること
A 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難に遭ったこと
B 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
C 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと
D 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと
E 納税者に上記AからDに類する事実があったこと
F 本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
② 猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められること
③ 申請書が提出されていること(上記「①F」の場合は納期限までの提出)
納税の猶予を改めて簡易にまとめると以下です。
①災害や病気や損失等のやむを得ない事業が発生した場合に認められる可能性がある
②税務調査前の自主的な修正申告(期限後申告)の提出と同時に納税の猶予申請書を提出した場合に、認められる可能性がある
税務調査における追徴税額と納税の猶予の関係性については以下です。
①税務調査のタイミングで災害や病気や損失等が発生する可能性が低く利用できない可能性が高い
②制度としては、税務調査前の自主的な修正申告(期限後申告)の提出と同時に納税の猶予申請書を提出した場合に認められる可能性があるものの、税務署長等が認めない可能性が高く利用できない可能性が高い
換価の猶予とは
換価の猶予のルールは以下となります。
次の①から④の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合があります。
① 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
② 納税について誠実な意思を有すると認められること
③ 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
税務調査における追徴税額と換価の猶予の関係性については以下です
①税務調査における追徴税額において納税の猶予が認められるケースは少ない
②従って多くの場合、換価の猶予を利用することになる
納税の猶予と換価の猶予の最大の違いは猶予期間における分納計画の考え方
猶予の申請の手引き(国税庁)P3より
換価の猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付する必要があります。
猶予の申請の手引き(国税庁)P28より
納税の猶予を受けた国税について、申請者の財産や収支の状況に応じて、猶予期間中に分割して納付する方法によることを、税務署長が定めることがあります。
つまり以下と考えます。
換価の猶予→猶予期間中の分割納付が原則
納税の猶予→猶予期間中は納付自体が猶予される可能性があるが、税務署長が分割納付をお願いしてくる可能性もある
実務においては分納が2年も超えることも多い
納税の猶予、換価の猶予、いずれも最大猶予期間は2年となります。しかし実務上は2年で完済できないケースも多く、嘆願により税務署との交渉により独自のルールで分割納付するケースも多いと考えます。
まとめ
・税務調査の追徴税額について納付の猶予が利用される可能性は低い。
・税務調査の追徴は換価の猶予及び嘆願により分割納付して完済することになる。
税務調査による追徴税額が払えないとどうなるか
結論
・税務調査の追徴税額は一括納付が原則ですが、一括納付できるケースの方が少ないです。
・税務調査の追徴課税を一括納付できない場合の実務としては、換価の猶予、嘆願による分割納付、により残りの人生において完済するまで支払っていくことになります。
・教科書的な考えである、財産の差押え、取立て・公売については実務上は発生しにくいと考えられます。
・個人事業主の滞納税金は自己破産しても免れることはできません。
・法人は破産すれば滞納税金は免れることができておりましたが、法改正により偽りその他不正行為により国税を免れた場合には代表者に対して第二次納税義務が発生することになりました。つまり重加算税賦課の場合は第二次納税義務が発生する可能性が高まります。
・以上から税務調査による追徴税額が払えない場合は、分納して返済していくことになります。
以下で解説いたします。
国税を滞納した場合の教科書的な取り扱いと実務的な取り扱い
まず以下の2点の観点があります。
①滞納処分の取り扱いについて
②滞納処分を回避するための取り扱いについて
国税庁が解説する教科書的な取り扱い
国税庁が解説する滞納処分の教科書的な取り扱いについて
国税を滞納すると、以下の①~⑤の手順が発生すると解説されています。
①督促状送付(※ 納期限を過ぎても納付がない場合、督促状が送付されます。)
②財産調査(※ 金融機関や取引先などに対し財産の調査を行います。※財産調査の一環として、徴収職員が居宅や事務所などの捜索を行う場合があります)
③財産差押え{※ 動産(貴金属等)、債権(売掛金・預金等)、不動産などの財産の差押えを行います}
④取立て・公売(※ 差し押さえた債権の取立てを行います。※ 動産や不動産等は、入札等による公売を行います。)
⑤滞納国税に充当(※ 取り立てた債権や公売による売却代金を滞納国税に充てます。)
国税庁が解説する滞納処分を回避するための教科書的な取り扱いについて
・納税の猶予により1年納付を猶予してもらう、状況によりもう1年猶予も可能、つまり最長2年間猶予可能
・納税の猶予に該当しない場合は、換価の猶予により1年納付を猶予してもらう、状況によりもう1年猶予も可能、つまり最長2年間猶予可能
まとめると、国税は最長でも2年以内に納付しなければ、財産の差押えが発生するというルールを読み取ることができます。
実務における取り扱い
実務上における滞納処分の取り扱いについて
・仮に持ち家を有していたとしても不動産が差押えられることは少ないと考えます。なぜなら国は不動産より現金を収めてほしいと考えるからです。
・滞納後に納税者が取得した売掛金や売上金を差し押さえられることも少ないと考えます。なぜなから仮に1か月分の売掛金、売上金を差し押さえて納税者が生活できなければ結果として滞納税金を回収できなくなるためです。
実務上における滞納処分を回避するための取り扱いについて
・税務調査における追徴税額について納税の猶予が認められる可能性は低いことになります。
・そうすると換価の猶予で2年間で分割納付することになります。
・しかし2年でも分割納付完済できない場合も多いので、税務署に嘆願して完済まで分割することになります。
・なお個人事業主の滞納税金は自己破産しても免れることはできません。法人は破産すれば滞納税金は免れることができておりましたが、法改正により偽りその他不正の行為により国税を免れた場合には代表者に第二次納税義務が発生することになったことは注意です。つまり重加算税賦課の場合は第二次納税義務が発生する可能性が高まります。
納税の猶予と換価の猶予の違いについて
納税の猶予と換価の猶予の違いを簡潔にまとめると以下となります。
●納税の猶予
・災害等を受けた、という限定的な条件の場合のみ対象となる
・制度上は税務調査前の事前自主修正期限後申告と同時に納税猶予申請すれば対象だが税務署長が認めない可能性が高い
・猶予期間中は原則的に納付そのものが猶予されつつ、税務署長が状況を見て猶予期間中の分納を求めてくる可能性もあるというスタンス
●換価の猶予
・納税の猶予を受けることができなかった納税者が対象となる
・猶予期間中は原則として分割納付の予定計画を申請して税務署長に認めてもらうというスタンスであり、納付そのものが猶予されるスタンスではない
税務署への嘆願による分納とは
換価の猶予による2年を超えてもなお分納完済できない場合は、税務署が個別に判断して分納を認めることが実務のようです。上記の記述のように税務署は、不動産・売掛金を差し押さえるより、納税者が獲得した売上金から生活費を差し引いたものを分納してもらうほうがメリットが大きいと考えています。
まとめ
税務調査による追徴税額が払えない場合は、分納して返済していくことになります。
調査通知と事前通知の違い|調査通知と事前通知を同時発生させない対応
税務署からの電話、2つの「通知」が混乱を招く
税務署から一本の電話。「税務調査に伺いたい」――。この突然の連絡に、冷静でいられる方はいらっしゃらないでしょう。特に、過去の申告について何らかのやましいことに心当たりがある場合、その不安は計り知れません。
「税務署からの電話、税務署からの連絡、税務調査の連絡」、実はこれらの法的な正式名称は、調査通知と言います。しかし、世間のみなさんは、これを事前通知と認識していたりと、正しい理解が広がっているとはいいがたい状況となります。
「調査通知」と「事前通知」。この2つの言葉の違いを正確に理解している納税者はほとんどいません。混乱したまま、相手のペースで話が進み、気づけば調査日程が確定してしまっている。これが、多くの納税者が陥る典型的なパターンです。
調査通知と事前通知の違いを知ることも重要ですが、最も重要なことをお伝えします。それは税務調査の日程を、その場で安易に決めてはなりません。実は、日程を保留することは法的に全く問題はないのです。
この記事では、なぜ税務署からの最初の電話で日程調整に応じてはいけないのか、その理由を法的な観点と実務的な観点の両面から徹底的に解説します。そして、「調査通知」と「事前通知」が同時に発生してしまう状況を避け、不利な対応を避けるための具体的な対応策を提示します。
調査通知と事前通知、似て非なる2つの連絡
まず、混乱の原因となっている2つの「通知」について、その法的な違いを正確に理解することから始めましょう。どちらも国税通則法という法律に基づいていますが、その役割と伝えられる内容は明確に区別されています。
調査通知:調査開始を告げる第一報
「調査通知」とは、税務署が納税者に対して「あなたが実地調査の選定対象となった旨」を伝える通知となります。法律上、この通知で伝えなければならない項目は以下の3つに限定されています。
- ① 実地調査を行う旨
- ② 調査の対象となる税目(例:所得税、法人税、消費税など)
- ③ 調査の対象となる期間(例:過去3年分など)
ここで最も重要な点は、「調査通知」の項目には、調査日時という項目が存在しないということです。あくまで「近いうちに調査をさせてくださいというお願い」の連絡に過ぎません。
事前通知:調査日時などを具体的に伝える連絡
一方、「事前通知」は、調査の具体的な内容を伝えるための連絡です。法律では、以下の項目などを納税者に通知することが定められています。
- ① 調査を開始する日時
- ② 調査を行う場所
- ③ 調査の目的
- ④ 調査の対象となる税目
- ⑤ 調査の対象となる期間
- ⑥ 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
- ⑦ その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
ご覧の通り、「調査通知」にはなかった「① 調査を開始する日時」が含まれています。つまり法律上の正式な手順としては、「調査通知」で調査を行う旨を伝えて、その後、納税者と日程を調整した上で、確定した日時を「事前通知」で伝える、という二段階の手続きが想定されているのです。
なぜ調査通知と事前通知は同時に発生するのか?
法律上は明確に区別されているはずの2つの通知。しかし、現実の税務調査の実務では、最初の電話でこれらが同時に行われるケースが後を絶ちません。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。当事務所では、これは調査官が主導権を握るための「作戦」であると考えています。以下で理由を考えます。
ここで調査通知が導入された背景について弊所は以下のように考えます。
現在の税制においては、「通知」の前後によって加算税賦課の有無や減額が定められております。事前通知においてはその「調査日時」が項目に存在します。「調査日時」とは調査官と納税者が合意しなければ定められないものとなります。
そうすると、「調査日時が決定しなければ事前通知が完了しない、すなわち事前通知という通知が永遠に完了しない、そのため加算税の税率が切り替わる基準点を明確にできない」ということは不都合が生じることになります。そのため日時項目を除く調査通知という通知が導入されたと解されます。
そうすると本来であれば、税務署はまず調査通知を行い、納税者に日程調整をお願いする旨を伝えて日程を調整してもらい、後日に日程を決めるとともに事前通知が行われるはずです。しかし実務上はそのように行われていません。この理由について考えます。
この理由について考えますと、まず税務調査官は税務調査件数のノルマを課されています。一方で税務調査は任意の調査であるため、納税者が日程調整に合意してくれなければ調査が開始できません。また、調査通知において日程を調整して後日税務署へ連絡する旨を伝えても、連絡しない納税者も多いと思われます。そこで税務署は、調査通知の段階で日程調整を迫り、勢いに任せて半ば強制的に日程を決めさせる傾向にあります。このような仕組みから、納税者は税務署に主導権を握られて誘導されています。したがって調査通知において納税者は、日程調整は保留すべきと考えます。
やましいことに心当たりが無い納税者は、税務調査官が提示する3週間後あたりの日程で同意しても良いかもしれません。しかし、当初申告においてやましいことに心当たりがある納税者は、税務調査前に修正申告書を作成するための時間を確保すべきです。また無申告に心当たりがある納税者も、税務調査前に期限後申告書を作成するための時間を確保すべきです。
以上より、法律上においては「調査通知」と「事前通知」は明確に異なるにも関わらず、現状の実務においては調査通知と事前通知が区別されずに同時に発生しています。その理由は、調査官が電話をかける立場であるという有利な立場を利用して誘導しているからとなります。税務調査官が初回の電話である調査通知の段階で日程調整しようとした場合は、納税者は日程を一旦保留とすることにより、調査通知と事前通知を同時に発生させないことが重要と考えます。
同時発生を避けるための基本的な対応策
では、税務署のペースに巻き込まれず、自らを守るためにはどうすればよいのでしょうか。その対応策は、驚くほどシンプルです。
税務署からの最初の電話口で、日程調整は「一旦保留する」。
これだけです。調査官から日程を打診されても、その場で即答してはいけません。「調査通知と事前通知を同時に発生させない」ための、唯一かつ最も重要な行動です。
なぜなら、この「保留」によって得られる時間が、調査開始前に自主的な修正申告や期限後申告を行うための準備期間となるからです。調査通知「後」であっても、調査により更正・決定があることを予知する前に行った修正申告(期限後申告)であれば、重加算税を回避できる可能性があります。この貴重な時間を確保するためにも、初動対応がその後の準備に大きく影響します。
電話口では、以下のように冷静に伝えましょう。
- 「顧問税理士と相談してから、こちらから折り返しご連絡いたします」
- 「現状は顧問税理士がいないため、税理士をネットで探して見つけて、こちらから電話します」
- 「スケジュールを確認する必要があるため、後ほど改めてご連絡します」
税務調査をなるべく優位に進められるかどうかについては、最初の連絡を受けた瞬間から始まっています。不安や焦りから相手の要求を安易に受け入れるのではなく、まずは一旦立ち止まり、専門家へ相談する時間を確保してください。その冷静な判断が、適切な対応につながります。
もし税務署から連絡があり、どう対応すべきか一人で悩んでいるのであれば、手遅れになる前にぜひ一度ご相談ください。
更正の予知とは|税務調査の理由を聞いてはいけない
結論
・更正の予知なしの状態で修正申告書を提出、更正の予知なしの状態で期限後申告書を提出すれば重加算税を回避できる可能性が高まります。
・税務調査開始前は更正の予知なしの状態と基本的に考えて良いでしょう。
・税務署からの調査通知の段階で調査の理由を聞くことはやめましょう。その時点で更正の予知あり、となる可能性があります。
以下で解説いたします。
「更正の予知」とは?
税務署から調査の連絡を受けたとき、納税者に課される加算税の判断に関わる重要な概念、それが「更正の予知」です。この言葉を正しく理解しているかどうかで、最終的に課されるペナルティの重さが劇的に変わる可能性があります。
更正の予知とは何かを平たく説明すると、調査官がある納税者の誤りを発見した状態であるとその納税者が認識している状態、となります。
更正の予知「なし」の状態(重加算税を回避できる可能性がある状態)
税務調査開始前は更正の予知なしの状態と基本的に考えて良いでしょう。
この税務調査開始前は、納税者にとって重要な時期です。この「更正の予知なし」の期間に自主的に修正申告(期限後申告)を行えば、最も重いペナルティである重加算税を回避できる可能性が残されています。さらに、調査による更正を予知する前に修正申告(期限後申告)を行うことで、過少申告加算税(無申告加算税)の税率を抑えられる可能性があります。
更正の予知「あり」の状態(重加算税のリスクが極めて高い)
一方、更正の予知が「あり」と判断されるのは、税務調査開始後において調査官から具体的な非違事項、つまり申告の誤りや問題点を指摘された後の状態です。
この段階で、もし仮にすぐに修正申告書(期限後申告書)を提出したとしても、それはもはや「自主的」とは見なされません。税務調査の終了時における税務署からの修正申告(期限後申告)の勧奨を受けて提出した修正申告書(期限後申告書)と同様の扱いとなり、仮装・隠蔽の事実が認定されれば、重加算税が課される可能性が非常に高くなります。「更正の予知なし」の段階で行動を起こすことが、いかに重要であるかをご理解いただけるでしょう。
なぜ調査理由を聞いてはいけないのか?注意すべき質問
ここで、税務調査専門の税理士として、極めて重要なことをお伝えします。税務署からの事前通知の電話で、調査の理由を深追いして絶対に聞いてはいけません。
ここで「調査の目的」という言葉と「調査の理由」という非常に紛らわしい文言について解説いたします。まず「調査の目的」です。事前通知における通知項目の中に、調査の目的が通知項目に挙げられています
国税通則法第74条の9において事前通知に必要な項目として以下が定められています。
① 調査を開始する日時
② 調査を行う場所
③ 調査の目的
④ 調査の対象となる税目
⑤ 調査の対象となる期間
⑥ 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
⑦ その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
ここで調査の「目的」についてどのような内容が通知されるのか気になることとなります。
税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)において以下が解説されています。
問18 事前通知の際には、なぜ実地の調査が必要なのかについても説明してもらえるのですか。
法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされていますが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていませんので、これを説明することはありません。
まとめると以下となります。
・法が定める事前通知項目における「調査の目的」=申告書の記載内容を見せてもらいます、というふわっとした目的を指す
・調査の理由は説明しません、とまで明言している。
つまり調査官に理由を尋ねても、答える義務はないとまで国税庁は明示しているのです。しかし多くの方が不安のあまり、「なぜうちが調査対象になったのですか?」「何か問題があったのでしょうか?」と理由を尋ねてしまいそうになります。しかしその質問こそが、自ら重加算税のリスクを発生させる可能性があります。
もし調査官があなたの質問に対して「売上の計上漏れについて確認したい」などと具体的な内容を少しでも口にしてしまったらどうなるでしょうか。
その瞬間、あなたは「更正の予知ありの状態」となる可能性が格段に高まります。良かれと思ってした質問が、重加算税を回避できる最後のチャンスを自ら潰してしまう。そのため、事前通知の段階で不用意に調査理由を深追いすることは避けるべきです。
事前通知における「調査の目的」は、「申告内容の確認のため」といった定型的な文言がほとんどです。それ以上の情報を得る必要はありませんし、詮索すべきでもありません。調査官からの言葉はそのまま受け入れ、余計な質問は一切しない。このような対応が重要です。
重加算税を回避する最後のチャンスは「調査開始前」
税務署から調査の連絡があった時点で、残された時間は決して多くありません。重加算税のリスクを抑えるために重要な時期は、「調査通知後から調査開始前」です。この限られた時間の中で、冷静に、そして迅速に行動しなければなりません。
やるべきことは明確です。隠蔽仮装に心当たりがある場合は、調査が始まる前に、自主的に修正申告または期限後申告を済ませる。これが、ペナルティを最小限に抑えるための有効な対応となります。
一人で悩まず、今すぐ専門家にご相談ください
税務署からの突然の連絡に、冷静でいられる人はいません。しかし、不安や焦りから誤った判断をしてしまえば、事態はさらに悪化します。特に、過去の申告についてやましいことに心当たりがある場合、独力でこの局面を乗り切ることは困難と言わざるを得ません。
残された時間は限られています。その中で正確な申告内容の見直しと修正申告書(期限後申告書)の作成を完了させるには、税務に関する深い知識と経験が不可欠です。適切な初動対応を行うためにも、一人で抱え込まず、速やかに税務調査を専門とする税理士にご相談ください。初動対応によって、その後の加算税リスクや調査対応の負担が変わる可能性があります。
税務調査前の期限後申告のメリットについて
無申告の方へ。税務署から連絡があっても諦めないでください
無申告に自覚がある状態で税務署から突然連絡があった場合、強い不安を感じるでしょう。特に、何年にもわたって申告をしていなかった場合、その不安や恐怖は計り知れないものでしょう。しかし、だからといって全てを諦めるのは早計です。
税務署からの連絡を受けた段階でも、最悪な状態を免れることができる可能性が残されています。まずは状況を整理し、税理士へ相談することが重要です。
本記事は、例えば10年間無申告だったような深刻な状況に置かれた方が、税務調査の通知を受けた後からでも取り得ることができる策について、税務調査を専門とする税理士の立場から解説します。
知っておくべき現実:無申告への重加算税リスクは年々増加
まず、直視すべき現実があります。それは、単なる無申告であっても、最も重いペナルティである「重加算税」が課される可能性が年々高まっているという事実です。
この記事は、収入があるにもかかわらず無申告であると自覚されている方を対象としています。仮に10年間無申告の状態が続いている納税者の方に税務調査の通知があったケースを想定してみましょう。
かつては「無申告は意図的な所得隠し(隠蔽仮装)とは違うため、重加算税にはなりにくい」という見解もありました。しかし、これはもはや古い考えに基づく見解であると言わざるを得ません。国税庁の公表データを見ても、無申告法人に対して重加算税が課された割合は増加傾向にあります。所得税に関する直接的なデータはありませんが、国税庁が無申告の個人事業主を重点的な調査対象として挙げていることからも、同様に厳しい姿勢で臨んでいると考えるのが妥当です。
「ただ申告していなかっただけで、悪意はなかった」という主張が、通用しにくくなっているのが現在の税務行政の現実なのです。このまま何もしなければ、7年間に遡って調査が行われ、極めて重い税負担を強いられるリスクが高い状況にあると認識してください。
調査「開始前」の期限後申告を検討すべき3つの理由
既に税務調査日が決定している難しい状況であっても、検討できる選択肢は残されています。それは、税務調査が「開始される前」に、自主的に期限後申告を行うことです。その理由は、大きく分けて3つあります。
理由1:最も重いペナルティ「重加算税」を回避できる可能性
最大のメリットは、ペナルティの中で最も重い「無申告重加算税」を回避できる可能性がある点にあります。
無申告の状態で税務調査の通知を受けたとしても、調査開始前までに期限後申告書を提出することで、無申告重加算税の適用を回避できる可能性が残されていることが国税通則法に明記されています。これは法律に基づいた明確な根拠のある対策です。
税務調査で隠蔽仮装を伴う無申告が指摘された場合に課される無申告重加算税の税率は40%です。一方で、調査通知後であっても更正・決定を予知する前に自主的に申告した場合の無申告加算税は、原則として納付すべき税額の50万円までの部分が10%、50万円を超える部分が15%となります。なお、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税では、300万円を超える部分について25%となる場合があります。この税率の差は、最終的な納税額に大きく影響します。この差こそが、我々が重加算税回避に全力を尽くす理由です。
理由2:調査範囲が「7年」から「5年」に短縮される実務上の可能性
次に調査対象期間に関するメリットです。
10年間無申告だった場合、調査で悪質と判断されれば、法律上、最大で7年分遡って税金を課される可能性があります。これは非常に大きな負担です。
しかしたとえ10年間意図的に無申告であっても、調査開始前に自主的に直近5年分の期限後申告書を提出した場合、実務上は、その5年分の調査で終了するケースが非常に多いのです。当該論点について弊所の見解は、調査官が「納税者を追い詰めすぎると再起不能になる。再起を促す方が将来的にこの納税者から税収を得ることができるメリットがある」という考えを有していることが起因しているのではないかと考えます。7年分と5年分とでは、納税額はもちろん、調査にかかる精神的負担も大きく異なります。この税務調査官に対する、自主的に期限後申告をして今後は改めますという暗黙のメッセージを送ることは、極めて重要なのです。
理由3:近年厳格化された各種加重措置を回避できる
さらに、あまり知られていない専門的なメリットとして、近年の法改正で厳しくなった無申告者に対するペナルティを回避できる点も挙げられます。
実は「無申告という最も申告納税に対して不誠実な行為をしている無申告者に重加算税が賦課されにくいことは不公平だ。そうならないために、無申告加算税の罰則を強化すべきだ」という主張がありました。そこで無申告に対しては、通常の無申告加算税に加えて、さらにペナルティが上乗せされる「加重措置」などが近年設けられています。
しかし、調査開始前に期限後申告を行えば、これらの加重措置のいくつかを回避することが可能です。例えば、高額な無申告に対する加重措置や、売上帳簿の不備による加重措置を回避することができます。さらには、調査後において無申告を指摘された納税者が、経費を認めてもらえない、認めてもらいにくくなる「後出し簿外経費不可規定の適用」といった厳しいルールも回避できます。
ただし、一点注意が必要です。「連続した無申告に対する加重措置」は、調査の「通知前」でなければ回避できません。
巷で言われる「デメリット」は本当か?専門家の見解
期限後申告をためらう理由として、巷で囁かれるいくつかの「デメリット」を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、当事務所はこれらの意見に同意できません。
「調査が厳しくなるのでは?」
これは逆と言えるでしょう。むしろ、事前に申告書を提出することで、調査の論点が明確になり、争点が整理されるため、結果的に調査がスムーズに進み、早期に終了する可能性が高まります。
「税理士への報酬が高くなるのでは?」
確かに、特急対応の報酬は発生します。しかしその報酬と、回避できる可能性のある「重加算税(税率40%)」や「7年分の追徴課税」というリスクを天秤にかければ、どちらが合理的な判断かは明らかでしょう。
「急いで作成すると過大な申告になるのでは?」
もし仮に税務調査日までに資料の大部分の再発行が間に合わないと判断した場合は、税務調査日の日程を申し出るなどの戦略を立てます。そして根拠資料を注意深く確認しながら、限られた時間の中でも過大な申告とならないよう正確かつ素早い申告書の作成を実行します。
税理士への依頼で得られる「重加算税回避以外」のメリットとは
調査開始前に税理士へ依頼し、期限後申告を行うメリットは、調査を乗り切るためだけにとどまりません。調査後の事業継続や、その後の適正な申告体制を整えられる点にも重要な意味があります。
税理士が責任をもって作成・提出した申告書は、税務署からの信頼性が格段に高まります。大きな不備がなければ、その申告内容が是認され、調査が早期に終了するケースがほとんどです。
さらに重要なのは、調査後の未来です。一度、無申告で税務署から厳しい指摘を受けた納税者は、その後も「要管理対象」としてマークされやすくなると言われています。しかし、調査前に自主的に申告を行い、重加算税を回避し、その後も税理士が関与して適正な申告を継続することを主張すれば、税務署からのマークを避けることができる可能性が高まり、将来の調査リスクを大幅に低減できる可能性が高まります。
単に過去分の税金を納めるだけでなく、今後の申告体制を整える機会として捉えることが重要です。自力での対応には限界があります。残された時間は決して多くありません。最善の結果を得るために、そして何より、一日も早く不安な日々から解放されるために、まずは専門家にご相談ください。
当事務所では、税務調査でお困りの方のために無料相談を実施しております。一人で抱え込まず、今すぐ行動を起こしてください。
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