オンライン税務調査は納税者にメリットはあるのかについて弊所の見解

【結論】オンライン税務調査について納税者側のメリットはほとんどないと解されます

まず結論から申し上げます。弊所の見解として、オンライン税務調査に納税者側のメリットはほとんど存在しないと言えるでしょう。

近年、国税庁はデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環としてオンラインによる税務調査を推進しています。一見すると、移動の手間が省け、効率的に調査が済むかのような印象を受けるかもしれません。しかし、その実態は税務署側の都合が優先されたものであり、納税者にとってはむしろリスクを増大させる可能性を秘めているのです。

この記事では、なぜ弊所が「メリットはほぼ無い」と断言するのか、その根拠を専門家の視点から一つひとつ、具体的に解説していきます。税務調査の実務を踏まえ、納税者側が注意すべき点を具体的に解説します。

弊所の見解:オンライン税務調査のメリット・デメリットを納税者視点で検証

国税側、税務署側が主張するメリットが、果たして本当に納税者の利益になるのでしょうか。ここでは、納税者の視点に立ち、その実態を厳しく再検証します。

唯一のメリット?調査官を事業所に招かなくてよい点

納税者にとって、オンライン税務調査のメリットを挙げるとすれば、弊所が思い付くことができたと考えます。それは「税務調査官を事業所や自宅兼事務所に招き入れなくてよい」という点です。

対面調査の場合、調査官が来訪するとなれば、部屋を片付け、準備を整える必要があります。また、事業やプライベートな空間を隅々まで見られることへの心理的な抵抗感は決して小さくありません。オンラインであれば、こうした物理的・心理的な負担が軽減されることは事実でしょう。

しかし、この限定的な利点と引き換えに、これから述べる深刻なデメリットを受け入れてもよいものでしょうか。この問いを念頭に置きながら、読み進めていただきたいと思います。

【要注意】税務署が説明する「効率化」の注意点

税務署はオンライン調査の利点として「調査の効率化による負担軽減」を挙げています。具体的には、事前に帳簿などの電子データを提出してもらうことで、税務署側で確認作業の一部を済ませ、調査当日の時間を短縮できる、というものです。

しかし、この点は慎重に確認すべき重要な注意点です。この「効率化」によって負担が軽減されるのは、あくまで税務署・調査官側です。納税者にとっては、むしろ調査件数の増加を招いたり、短時間でより多くの指摘を受けるリスクを高めたりすることにつながりかねません。

そして何より、この「効率化」の前提となる「帳簿データの事前提出」こそが、納税者の権利を著しく損なう致命的な行為に直結します。この点についてまずご説明します。

最大の危険!帳簿データの「事前提出」は絶対に応じてはならない

まずは、オンライン税務調査で最も注意すべき点を説明します。オンライン税務調査において、税務署が「効率化」の名目で求めてくる「臨場前(調査開始前)の帳簿データ提出」には、絶対に応じてはなりません。

なぜ、これほど強く警告するのか。それは、この行為が、納税者に残された「重加算税を回避できる可能性」を自ら放棄するに等しいからです。

やましいことに心当たりがある状態で、税務調査の調査通知があった後でも、調査官が事業所に訪れる「臨場」より前に、自主的に修正申告や期限後申告を行えば、重加算税が課される可能性を低くすることができます。これは、納税者に認められた重要な権利です。

調査開始前に帳簿データを提出した場合、税務署がそのデータを基に事前分析を行い、問題点を把握する可能性があります。その後の修正申告が更正等を予知してされたものと扱われるかは個別事情により判断されますが、納税者側からそのようなリスクを発生させる行為をしてはなりません。つまり、重加算税回避の最後のチャンスを、自らの手で潰してしまう可能性があるのです。

税務署が説明する「効率化による負担軽減」は、納税者側を思いやってのことでは決してありません。このような依頼を受けた場合は、拒否してください。重要なことですので繰り返します。臨場前に帳簿データを提出しなければならない法的根拠はありません。調査官の誘導には決して乗らないでください。

隠れたデメリット①:メールで調査官に情報を与えやすくなる

オンライン調査に同意すると、調査官とメールでのやり取りが可能になります。しかしこれは、納税者にとって決して有利に働くとは言えません。

従来、調査官との接触は主に電話でした。電話であれば、不在にしていたり、担当者と繋がりにくかったりといった状況が自然に発生します。実は、この「繋がりにくさ」が、納税者側にとっては、事前自主申告書の作成時間や、その他準備する猶予を生み出すというメリットになっていたのです。

しかし、メールが利用可能になると、調査官は時間や場所を問わず、気軽に質問や資料要求を送れるようになります。受け取った納税者は「すぐに返信しなければ」というプレッシャーに晒され、熟考することなく回答してしまいがちです。この接触の容易さが、結果として納税者側から不必要な情報を引き出し、上述の「更正の予知発生という危険な状態」になり得るのです。

隠れたデメリット②:膨大な資料のデータ化という手間

「オンラインは楽だ」というイメージとは裏腹に、実際には膨大な手間が発生する可能性があります。

紙で保管している通帳のコピー、請求書、領収書といった証憑類を、すべてスキャンや写真撮影で電子データ化し、分かりやすいようにファイル名を整理し、指定された場所にアップロードする。この一連の作業は、特にデジタル機器の操作に不慣れな方にとっては、想像を絶する負担となり得ます。

一方で、従来の対面調査であれば、調査当日に原本やコピーを準備しておけば事足ります。調査官と直接対面する緊張感はありますが、資料準備という「手間」の観点で見れば、対面調査の方がはるかに負担は少ないと言えるでしょう。

ではどうすべきか?弊所が従来の対面調査を推奨する理由

これまでの解説を踏まえ、「では、どうすれば良いのか」という問いにお答えします。

弊所は、従来の対面による臨場実地調査を選択することを強く推奨いたします。

理由は明確です。

  1. 最大のデメリットである「データの事前提出」を回避できる。
    対面調査であれば、調査官が臨場前に帳簿データの提出を要求するケースは極めて稀です。納税者の権利を守る上で、これが最も重要な点です。
  2. 調査官との接触機会を適切に限定できる。
    メールでの安易なやり取りを防ぐことで、不必要な情報提供のリスクを最小限に抑えられます。
  3. 資料準備の手間が結果的に少ない。
    膨大な資料のデータ化作業は不要であり、当日に原本やコピーを準備するだけで済みます。

税務調査におけるオンラインツールの利用は、税務署等の担当者と利用者双方の合意がある場合に限られ、利用者の合意がない場合には利用されません。オンラインツールの利用を求められた場合でも、拒否していただいても法的なリスクは存在しません。

税務調査の連絡が来たら、まず専門家にご相談ください

税務署から調査の連絡が来ると、多くの方が不安に駆られ、冷静な判断が難しくなります。しかし、そのような時こそ、独断で対応を進めるべきではありません。

オンライン調査に安易に同意してしまう前に、まずは税務調査を専門とする税理士にご相談ください。一人で判断せず、専門家の助言を受けながら準備を整えて調査に臨むことが、適切な対応につながります。当事務所では、税務調査に関する初回のご相談を承っております。少しでもご不安があれば、お気軽にご連絡ください。

この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
税理士登録番号128205
税務調査案件を全国対応している税理士
税務調査前の自主申告期限を守るため土日祝日深夜対応を行う

keyboard_arrow_up

電話番号:0754328949 問い合わせバナー LINE相談予約