衝撃!?税務調査前の自主申告でも重加算税を回避できない場合がある!?(令和5年12月7日公表裁決)

結論

・税務調査通知後であっても税務調査開始前に自主申告すれば重加算税、無申告重加算税を回避できる可能性があることは変わりません
・しかしながら、場合によっては税務調査開始前に自主申告しても重加算税、無申告重加算税を回避できない可能性もある、という事例が国税不服審判所公表裁決事例で公表されました。
・繰り返しますが、税務調査通知後であっても税務調査開始前に自主申告すれば重加算税、無申告重加算税を回避できる可能性があることは基本であり、今回は例外もあるというお話です。
・国税不服審判所は「調査」とは実地調査当日の調査のみだけでなく、実地調査日以前の机上調査も調査に含まれると述べています。

以下で詳細を解説します。

国税不服審判所公表裁決事例令和5年12月7日裁決の概要

・納税者である請求人は、平成29年から令和2年において、D社に勤務していた。
・請求人は、平成29年から令和2年において、D社の親会社であり、アメリカ合衆国に所在する法人であるF社から経済的利益(以下「本件各インセンティブ報酬」という。)を受けた。
・請求人は、平成29年分から令和2年分(以下、これらを併せて「本件各年分」という。)の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、確定申告書(以下「本件各申告書」といい、本件各申告書に係る申告を「本件各申告」という。)をいずれも法定申告期限内に提出した。
・しかし請求人は、本件各申告において、本件各インセンティブ報酬に係る給与所得を申告していなかった。
・そのような状態で請求人は税務署から調査通知を受けました。
・請求人の税理士は、税務調査開始前において期限後申告を提出しました。
・しかし、その期限後申告は既に調査によって更正の予知があったものとして取り扱われました。
・今回は無申告加算税が、更正の予知前の税率であるか、更正の予知後の税率であるかの争いでしたが、もし仮にこれが重加算税賦課の争いであれば、更正の予知後として重加算税は回避できなかったと置き換えることができます。

以下での詳細な時系列を説明します。

国税不服審判所公表裁決事例令和5年12月7日裁決の時系列

・調査担当職員は令和4年9月15日に、請求人に対し、本件電話により、本件各インセンティブ報酬について確認する旨連絡し、調査は令和4年9月30日に税務署で行われることになった。
・請求人の税理士は、令和4年9月26日、各年度の修正申告書を提出した。
・調査担当職員は、令和4年9月30日、税務署を来訪した請求人及び税理士に対し、請求人が本件親会社から本件各インセンティブ報酬を得ていることなどを確認した。
・実地調査が行われた結果、令和4年10月28日に、今回の修正申告は調査に基づくものであり更正を予知しないものに該当しない旨の通知があった。
・請求人は取消を求めた。

以上が時系列となります。一方で今回の請求人については、「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」という調書で、既に本件各インセンティブ報酬の存在を税務署に気づかれていたという事実がありました。

調書で、既に本件各インセンティブ報酬の存在を税務署に気づかれていたという事実

調査担当職員は、令和4年9月6日から令和4年9月15日までの間に、所得税法第228条の3の2《外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書》の規定に基づきD社から所轄税務署長に対し提出された調書を基に作成された資料(以下「本件各資料」という。)の内容を確認した。
本件各資料には、請求人の平成29年から令和2年における本件各インセンティブ報酬に係る権利の種類、供与年月日及び経済的利益の額等が記載されていた。

国税不服審判所は「調査」とは実地調査当日の調査のみをさすわけではないとしています

国税不服審判所は、税務調査の定義について、以下のように述べています。
「調査」とは、課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、課税庁の証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈適用を含む税務調査全般を指すものと解され、いわゆる机上調査のような課税庁内部における調査をも含むものと解される。

今回は調書で机上調査されていたと認定されたと考えられます

今回の請求人は、令和4年9月26日に各年度の修正申告書を提出しましたが、それより前の令和4年9月6日から令和4年9月15日において既に「机上調査されていた」と認定されたと考えられます。

まとめ

・納税者が税務署へ提出された調書などの影響で、既に納税者が無申告や過少申告であることが税務署に知られている場合において、その後納税者に調査通知があった場合には、調査通知後から税務調査開始日までに自主申告しても更正の予知後として重加算税を回避できない可能性があることが判明しました。
・国税不服審判所は「調査」とは実地調査当日の調査のみだけでなく、実地調査日以前の机上調査も調査に含まれると述べています。
・現在における情報技術の発達により、机上調査で既に調査を開始されてしまうケースも今後増えていくように思われます。
・しかし基本的に現在は、税務調査通知後であっても税務調査開始前に自主申告すれば重加算税、無申告重加算税を回避できる可能性があることは変わりません

この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
税理士登録番号128205
税務調査案件を全国対応している税理士
税務調査前の自主申告期限を守るため土日祝日深夜対応を行う

keyboard_arrow_up

電話番号:0754328949 問い合わせバナー LINE相談予約