結論
・法人が無申告で逃げ切ることは不可能と考えてください。
・無申告法人に対する無申告重加算税の割合は増加しています。
・なぜわざわざ法人を設立してまで無申告なのか令和6年以前は謎でしたがある仮説が浮かび上がりました。
・令和7年1月1日以後は法人を廃業させても滞納税金を免れるこができなくなりました。
以下で詳細を記述します。
法人が無申告で逃げ切ることは不可能と考えてください
法人は設立するにあたって登記申請します。つまり国へその存在を知らせるわけです。国へその存在を知らせながらあえて法人で無申告を貫くという考えは、税の専門家である弊所としては考えられないこととなります。無申告を貫いている法人とは例えばどのような法人があるのでしょうか。ここで国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」がとても貴重な資料となります。
国税庁が公表する「法人税等の調査事績の概要」「Ⅱ主要な取り組み3無申告法人に対する取組」という項目において、令和元事務年度から令和5事務年度においてのみ無申告法人の事例を具体的に例示してくれていました。しかし遺憾ながら令和6事務年度においては再び明示してくれなくなりました。
弊所の分析結果は以下です。
・平成26事務年度~30事務年度までの「法人税等の調査事績の概要」「Ⅱ主要な取り組み3無申告法人に対する取組」では無申告法人の具体例の例示は無かった。
・令和元事務年度~令和5事務年度において具体例の例示があった。
・令和6事務年度以降は再び例示が無くなった。
国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」より無申告法人の具体例
ここで令和元事務年度から令和5事務年度における「法人税等の調査事績の概要」「Ⅱ主要な取り組み3無申告法人に対する取組」という項目で例示された無申告法人の具体例を見ましょう。
●令和元年事務年度の具体例
具体例1:調査法人A社は、店舗での営業で多額の収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、請求書等を破棄するとともに、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:多額の不動産売却収入について、契約書等を破棄するとともに売却代金を現金で受け取ることで取引を隠蔽
具体例3:建設機材の組立ての請負で得た多額の収入について、請求書等を破棄することで取引を隠蔽
●令和2年事務年度の具体例
具体例1:調査法人A社は、店舗での営業で多額の収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、請求書等を破棄するとともに、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:接待を伴う飲食店における多額の収入について、売上げに係る書類を破棄することで取引を隠蔽
具体例3:不動産コンサルタント業務で得た収入について、領収証等を破棄することで取引を隠蔽
●令和3事務年度の具体例
具体例1:調査法人A社は、事業を行い収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、代表者名義の預金口座に売上代金を振り込ませることで取引を隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:人材派遣業で得た収入について、代表者名義の預金口座に売上代金を振り込ませることで取引を隠蔽
具体例3:不動産業で得た収入について、取引に係る書類を破棄することで取引を隠蔽
●令和4事務年度の具体例
具体例1:調査法人は、事業を行い収入を得ていましたが、申告義務があることを認識しながら、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、また、書類を破棄するとともに、取引内容に関するデータを削除することで取引を隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:婦人服の製造業で得た収入について、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、書類を破棄することで取引を隠蔽
具体例3:太陽光発電のコンサルティング業で得た収入について、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませることで取引を隠蔽
●令和5事務年度の具体例
具体例1:調査法人は、事業を行い収入を得ており、申告義務があることを認識しながら、現金売上げは代表者の預金口座に、カード売上げは知人の預金口座に入金させ、また、書類を破棄することで、売上げの全てを隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていました。
具体例2:申告をすると納税額が発生してしまうことから、新たに口座を開設し、売上げをその預金口座に振り込ませることで取引を隠蔽し、納税を免れていた。
具体例3:関与税理士には何も伝えず、別の代表を立て、売上げは借名口座を利用し回収を行い、書類は一切を破棄することで取引を隠蔽し、納税を免れていた。
上記の具体例を分析すると、現金売上を除外、他の口座に入金させて売上を除外、書類を破棄により取引を隠蔽、という個人事業主の隠蔽仮装と変わりないことを実行していると感じます。したがって、法人は個人事業主よりもよりバレやすいにも関わらず、個人事業主と同レベルの隠蔽工作を行い、それがバレているように見受けられます。
国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」より無申告法人に対する無申告重加算税が賦課された割合を算出
国税庁が毎年11月頃に公表する「法人税等の調査事績の概要」より無申告法人に対する無申告重加算税が賦課された割合を、過去10年間分析すると以下となります。
・26年事務年度→9.2%
・27年事務年度→12.2%
・28年事務年度→13.8%
・29年事務年度→16.7%
・30年事務年度→18.1%
・令和元年事務年度→21.1%
・2年事務年度→19.6%
・3年事務年度→21.9%
・4年事務年度→22.3%
・5年事務年度→24.1%
・6年事務年度→25.2%
直近では、無申告法人に対する無申告重加算税が賦課された割合が25%となり10年前の約3倍弱と増加しております。
なぜわざわざ法人を設立してまで無申告なのか令和6年以前は謎でしたがある仮説が浮かび上がりました
繰返しますが、法人の無申告は個人事業主の無申告よりバレやすいです。それは法人は国へ登記するために、その登記情報から税務署は法人の情報を取得できるからです。それにも関わらず、無申告法人として調査されている法人は、国税庁が公表した情報によれば、個人事業主と変わらない手口で無申告を実行しているというものでした。なぜわざわざこのようなリスクを冒して法人無申告を実行するのか謎でした。
しかし、令和6年年度改正において令和7年1月1日以後より適用されるある法律により気が付くことができました。令和6年以前は、税金を滞納させたまま法人を廃業したとしてもその代表者はその滞納した税金の支払いを免れることができる点について問題視されていました。
そこで令和7年1月1日以後は、不正を行った法人が滞納した税金について、代表者が第二次納税義務を負うとする改正が行われました。
つまり、これまで無申告法人が発生していた原因の一つとして、法人を設立して無申告を実行し、税務調査で追徴税額が発生したとしても代表者が法人を廃業させるというスキームを目的として、無申告法人を稼働させようとする悪質な納税者が存在していたのではないか、という仮説を立てました。こちらのページをご参考ください。
令和7年1月1日以後は「法人を潰して廃業すれば追徴滞納税金を免れる」は通用しません
まとめ
・法人の無申告はばれます。
・また法人の無申告がばれても廃業して滞納税金を免れるというスキームは、令和7年1月1日以後は通用しなくなりました。
この記事の監修者

- 税務調査専門税理士
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プロフィール
近畿税理士会上京支部
税理士登録番号128205
税務調査案件を安価で全国対応している京都の税理士
税務調査前の自主申告期限を守るため土日祝日深夜対応を行う
これまで多くの税務調査案件を早期終了に導いてきた
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