税務調査前の期限後申告のメリットについて

無申告の方へ。税務署から連絡があっても諦めないでください

無申告に自覚がある状態で税務署から突然連絡があった場合、強い不安を感じるでしょう。特に、何年にもわたって申告をしていなかった場合、その不安や恐怖は計り知れないものでしょう。しかし、だからといって全てを諦めるのは早計です。

税務署からの連絡を受けた段階でも、最悪な状態を免れることができる可能性が残されています。まずは状況を整理し、税理士へ相談することが重要です。

本記事は、例えば10年間無申告だったような深刻な状況に置かれた方が、税務調査の通知を受けた後からでも取り得ることができる策について、税務調査を専門とする税理士の立場から解説します。

知っておくべき現実:無申告への重加算税リスクは年々増加

まず、直視すべき現実があります。それは、単なる無申告であっても、最も重いペナルティである「重加算税」が課される可能性が年々高まっているという事実です。

この記事は、収入があるにもかかわらず無申告であると自覚されている方を対象としています。仮に10年間無申告の状態が続いている納税者の方に税務調査の通知があったケースを想定してみましょう。

かつては「無申告は意図的な所得隠し(隠蔽仮装)とは違うため、重加算税にはなりにくい」という見解もありました。しかし、これはもはや古い考えに基づく見解であると言わざるを得ません。国税庁の公表データを見ても、無申告法人に対して重加算税が課された割合は増加傾向にあります。所得税に関する直接的なデータはありませんが、国税庁が無申告の個人事業主を重点的な調査対象として挙げていることからも、同様に厳しい姿勢で臨んでいると考えるのが妥当です。

「ただ申告していなかっただけで、悪意はなかった」という主張が、通用しにくくなっているのが現在の税務行政の現実なのです。このまま何もしなければ、7年間に遡って調査が行われ、極めて重い税負担を強いられるリスクが高い状況にあると認識してください。

調査「開始前」の期限後申告を検討すべき3つの理由

既に税務調査日が決定している難しい状況であっても、検討できる選択肢は残されています。それは、税務調査が「開始される前」に、自主的に期限後申告を行うことです。その理由は、大きく分けて3つあります。

理由1:最も重いペナルティ「重加算税」を回避できる可能性

最大のメリットは、ペナルティの中で最も重い「無申告重加算税」を回避できる可能性がある点にあります。

無申告の状態で税務調査の通知を受けたとしても、調査開始前までに期限後申告書を提出することで、無申告重加算税の適用を回避できる可能性が残されていることが国税通則法に明記されています。これは法律に基づいた明確な根拠のある対策です。

税務調査で隠蔽仮装を伴う無申告が指摘された場合に課される無申告重加算税の税率は40%です。一方で、調査通知後であっても更正・決定を予知する前に自主的に申告した場合の無申告加算税は、原則として納付すべき税額の50万円までの部分が10%、50万円を超える部分が15%となります。なお、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税では、300万円を超える部分について25%となる場合があります。この税率の差は、最終的な納税額に大きく影響します。この差こそが、我々が重加算税回避に全力を尽くす理由です。

理由2:調査範囲が「7年」から「5年」に短縮される実務上の可能性

次に調査対象期間に関するメリットです。

10年間無申告だった場合、調査で悪質と判断されれば、法律上、最大で7年分遡って税金を課される可能性があります。これは非常に大きな負担です。

しかしたとえ10年間意図的に無申告であっても、調査開始前に自主的に直近5年分の期限後申告書を提出した場合、実務上は、その5年分の調査で終了するケースが非常に多いのです。当該論点について弊所の見解は、調査官が「納税者を追い詰めすぎると再起不能になる。再起を促す方が将来的にこの納税者から税収を得ることができるメリットがある」という考えを有していることが起因しているのではないかと考えます。7年分と5年分とでは、納税額はもちろん、調査にかかる精神的負担も大きく異なります。この税務調査官に対する、自主的に期限後申告をして今後は改めますという暗黙のメッセージを送ることは、極めて重要なのです。

理由3:近年厳格化された各種加重措置を回避できる

さらに、あまり知られていない専門的なメリットとして、近年の法改正で厳しくなった無申告者に対するペナルティを回避できる点も挙げられます。

実は「無申告という最も申告納税に対して不誠実な行為をしている無申告者に重加算税が賦課されにくいことは不公平だ。そうならないために、無申告加算税の罰則を強化すべきだ」という主張がありました。そこで無申告に対しては、通常の無申告加算税に加えて、さらにペナルティが上乗せされる「加重措置」などが近年設けられています。

しかし、調査開始前に期限後申告を行えば、これらの加重措置のいくつかを回避することが可能です。例えば、高額な無申告に対する加重措置や、売上帳簿の不備による加重措置を回避することができます。さらには、調査後において無申告を指摘された納税者が、経費を認めてもらえない、認めてもらいにくくなる「後出し簿外経費不可規定の適用」といった厳しいルールも回避できます。

ただし、一点注意が必要です。「連続した無申告に対する加重措置」は、調査の「通知前」でなければ回避できません。

巷で言われる「デメリット」は本当か?専門家の見解

期限後申告をためらう理由として、巷で囁かれるいくつかの「デメリット」を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、当事務所はこれらの意見に同意できません。

「調査が厳しくなるのでは?」
これは逆と言えるでしょう。むしろ、事前に申告書を提出することで、調査の論点が明確になり、争点が整理されるため、結果的に調査がスムーズに進み、早期に終了する可能性が高まります。

「税理士への報酬が高くなるのでは?」
確かに、特急対応の報酬は発生します。しかしその報酬と、回避できる可能性のある「重加算税(税率40%)」や「7年分の追徴課税」というリスクを天秤にかければ、どちらが合理的な判断かは明らかでしょう。

「急いで作成すると過大な申告になるのでは?」
もし仮に税務調査日までに資料の大部分の再発行が間に合わないと判断した場合は、税務調査日の日程を申し出るなどの戦略を立てます。そして根拠資料を注意深く確認しながら、限られた時間の中でも過大な申告とならないよう正確かつ素早い申告書の作成を実行します。

税理士への依頼で得られる「重加算税回避以外」のメリットとは

調査開始前に税理士へ依頼し、期限後申告を行うメリットは、調査を乗り切るためだけにとどまりません。調査後の事業継続や、その後の適正な申告体制を整えられる点にも重要な意味があります。

税理士が責任をもって作成・提出した申告書は、税務署からの信頼性が格段に高まります。大きな不備がなければ、その申告内容が是認され、調査が早期に終了するケースがほとんどです。

さらに重要なのは、調査後の未来です。一度、無申告で税務署から厳しい指摘を受けた納税者は、その後も「要管理対象」としてマークされやすくなると言われています。しかし、調査前に自主的に申告を行い、重加算税を回避し、その後も税理士が関与して適正な申告を継続することを主張すれば、税務署からのマークを避けることができる可能性が高まり、将来の調査リスクを大幅に低減できる可能性が高まります。

単に過去分の税金を納めるだけでなく、今後の申告体制を整える機会として捉えることが重要です。自力での対応には限界があります。残された時間は決して多くありません。最善の結果を得るために、そして何より、一日も早く不安な日々から解放されるために、まずは専門家にご相談ください。

当事務所では、税務調査でお困りの方のために無料相談を実施しております。一人で抱え込まず、今すぐ行動を起こしてください。

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この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
税理士登録番号128205
税務調査案件を安価で全国対応している京都の税理士
税務調査前の自主申告期限を守るため土日祝日深夜対応を行う
これまで多くの税務調査案件を早期終了に導いてきた

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