結論
・更正の予知なしの状態で修正申告書を提出、更正の予知なしの状態で期限後申告書を提出すれば重加算税を回避できる可能性が高まります。
・税務調査開始前は更正の予知なしの状態と基本的に考えて良いでしょう。
・税務署からの調査通知の段階で調査の理由を聞くことはやめましょう。その時点で更正の予知あり、となる可能性があります。
以下で解説いたします。
「更正の予知」とは?
税務署から調査の連絡を受けたとき、納税者に課される加算税の判断に関わる重要な概念、それが「更正の予知」です。この言葉を正しく理解しているかどうかで、最終的に課されるペナルティの重さが劇的に変わる可能性があります。
更正の予知とは何かを平たく説明すると、調査官がある納税者の誤りを発見した状態であるとその納税者が認識している状態、となります。
更正の予知「なし」の状態(重加算税を回避できる可能性がある状態)
税務調査開始前は更正の予知なしの状態と基本的に考えて良いでしょう。
この税務調査開始前は、納税者にとって重要な時期です。この「更正の予知なし」の期間に自主的に修正申告(期限後申告)を行えば、最も重いペナルティである重加算税を回避できる可能性が残されています。さらに、調査による更正を予知する前に修正申告(期限後申告)を行うことで、過少申告加算税(無申告加算税)の税率を抑えられる可能性があります。
更正の予知「あり」の状態(重加算税のリスクが極めて高い)
一方、更正の予知が「あり」と判断されるのは、税務調査開始後において調査官から具体的な非違事項、つまり申告の誤りや問題点を指摘された後の状態です。
この段階で、もし仮にすぐに修正申告書(期限後申告書)を提出したとしても、それはもはや「自主的」とは見なされません。税務調査の終了時における税務署からの修正申告(期限後申告)の勧奨を受けて提出した修正申告書(期限後申告書)と同様の扱いとなり、仮装・隠蔽の事実が認定されれば、重加算税が課される可能性が非常に高くなります。「更正の予知なし」の段階で行動を起こすことが、いかに重要であるかをご理解いただけるでしょう。
なぜ調査理由を聞いてはいけないのか?注意すべき質問
ここで、税務調査専門の税理士として、極めて重要なことをお伝えします。税務署からの事前通知の電話で、調査の理由を深追いして絶対に聞いてはいけません。
ここで「調査の目的」という言葉と「調査の理由」という非常に紛らわしい文言について解説いたします。まず「調査の目的」です。事前通知における通知項目の中に、調査の目的が通知項目に挙げられています
国税通則法第74条の9において事前通知に必要な項目として以下が定められています。
① 調査を開始する日時
② 調査を行う場所
③ 調査の目的
④ 調査の対象となる税目
⑤ 調査の対象となる期間
⑥ 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
⑦ その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
ここで調査の「目的」についてどのような内容が通知されるのか気になることとなります。
税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)において以下が解説されています。
問18 事前通知の際には、なぜ実地の調査が必要なのかについても説明してもらえるのですか。
法令上、調査の目的(例えば、提出された申告書の記載内容を確認するため)については事前通知すべきこととされていますが、実地の調査を行う理由については、法令上事前通知すべき事項とはされていませんので、これを説明することはありません。
まとめると以下となります。
・法が定める事前通知項目における「調査の目的」=申告書の記載内容を見せてもらいます、というふわっとした目的を指す
・調査の理由は説明しません、とまで明言している。
つまり調査官に理由を尋ねても、答える義務はないとまで国税庁は明示しているのです。しかし多くの方が不安のあまり、「なぜうちが調査対象になったのですか?」「何か問題があったのでしょうか?」と理由を尋ねてしまいそうになります。しかしその質問こそが、自ら重加算税のリスクを発生させる可能性があります。
もし調査官があなたの質問に対して「売上の計上漏れについて確認したい」などと具体的な内容を少しでも口にしてしまったらどうなるでしょうか。
その瞬間、あなたは「更正の予知ありの状態」となる可能性が格段に高まります。良かれと思ってした質問が、重加算税を回避できる最後のチャンスを自ら潰してしまう。そのため、事前通知の段階で不用意に調査理由を深追いすることは避けるべきです。
事前通知における「調査の目的」は、「申告内容の確認のため」といった定型的な文言がほとんどです。それ以上の情報を得る必要はありませんし、詮索すべきでもありません。調査官からの言葉はそのまま受け入れ、余計な質問は一切しない。このような対応が重要です。
重加算税を回避する最後のチャンスは「調査開始前」
税務署から調査の連絡があった時点で、残された時間は決して多くありません。重加算税のリスクを抑えるために重要な時期は、「調査通知後から調査開始前」です。この限られた時間の中で、冷静に、そして迅速に行動しなければなりません。
やるべきことは明確です。隠蔽仮装に心当たりがある場合は、調査が始まる前に、自主的に修正申告または期限後申告を済ませる。これが、ペナルティを最小限に抑えるための有効な対応となります。
一人で悩まず、今すぐ専門家にご相談ください
税務署からの突然の連絡に、冷静でいられる人はいません。しかし、不安や焦りから誤った判断をしてしまえば、事態はさらに悪化します。特に、過去の申告についてやましいことに心当たりがある場合、独力でこの局面を乗り切ることは困難と言わざるを得ません。
残された時間は限られています。その中で正確な申告内容の見直しと修正申告書(期限後申告書)の作成を完了させるには、税務に関する深い知識と経験が不可欠です。適切な初動対応を行うためにも、一人で抱え込まず、速やかに税務調査を専門とする税理士にご相談ください。初動対応によって、その後の加算税リスクや調査対応の負担が変わる可能性があります。
この記事の監修者

- 税務調査専門税理士
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プロフィール
近畿税理士会上京支部
税理士登録番号128205
税務調査案件を安価で全国対応している京都の税理士
税務調査前の自主申告期限を守るため土日祝日深夜対応を行う
これまで多くの税務調査案件を早期終了に導いてきた
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