税務調査で資料を持ち帰られる留置きとは?返却までの期間

結論

・税務署は税務調査で資料を持ち帰ることを留置きという独特の用語で呼んでいます。
・返却までの期間は通常は税務調査終了宣言後ですが、その前に返却を受けるケースもあります。
・調査官はわざわざ資料を持ち帰るもののすべてをチェックしているとは思えないです。
・とにかく留置きするための預かり証の作成作業は税務調査当日において最もモタモタします。
・当該モタモタを解消するために税務調査前の帳簿提出のお願いを始めたのではないかというのが弊所独自の見解です

以下で詳細を記述します。

税務署は税務調査で資料を持ち帰ることを留置きという独特の用語で呼んでいます

留め置きとは要するに、税務調査官が納税者の資料を預かって税務署に持って帰ることを言います。税法において、提出された物件の「留置き」とは、当該職員が提出を受けた物件について国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の庁舎において占有する状態をいう、と定められているため、仰々しく「留置き」と呼んでいるにすぎません。

返却までの期間は通常は税務調査終了宣言後ですが、その前に返却を受けるケースもあります

調査官は資料を持ち帰り、税務署で資料の突合せ作業を行います。当該突き合せチェックが完了することがすなわち税務調査終了でもあるわけですので、基本的には税務調査終了宣言後に返却を受けることになります。一方で、弊所が実際に経験した事例として、交際費について細かく聞取りを行ないたいから、一度交際費に関わるレシートなどを納税者に返却して、その後聞取りを行ないたいという、税務調査終了宣言前に返却の打診を受けたケースがあります。

調査官はわざわざ資料を持ち帰るもののすべてをチェックしているとは思えないです

調査官は、3年分や5年分の資料を一度に持ち帰ることになります。その場合、例えば現金払いのレシートの綴りなどは大量の資料となります。ここで弊所独自の税務調査官から得た情報で、持ち帰った資料の突き合せ作業についてはその調査官一人でするのか、それとも他の税務職員の作業の支援があるのかというと、支援は無く担当した調査官一人で突合せを行うようです。そうすると、担当調査官一人でレシートや領収書の1枚1枚をすべて突合せするとは考えにくいです。弊所が経験した実際の事例として、調査官が、レシートが大量に入った封筒を持ち帰ったが、空けた形跡がないまま返却された、という事例が存在します。

とにかく留置きするための預かり証の作成作業は税務調査当日において最もモタモタします

税務調査官は調査現場で資料を持ち帰る時に、納税者や税理士に留置きの許可を得るために「預かり証」というものを作成します。この預かり証ですが、作成手順としては、税務調査当日に提示した資料に、調査官がオリジナルの名称をつけて複写の紙に明記し、控えを納税者に渡すというものです。例えば、確定申告書の控えであれば、確定申告書の控え一部・一束・一綴り、などネーミングするわけです。これがとても時間がかかります。例えば、弊所が独自に作成した資料についてはそのネーミングに悩み、またどれを一括りにするのかなどに悩みます。また、レシートの束を一束、とネーミングするのですが、当該レシートの束にレシートが100枚貼り付けてあったとしても一束となります。つまりその100枚のうち1枚が紛失していたとしても記録が残っておらず、証明できないこととなります。
以上より、この預かり証は厳密に言えばそこまで意味が無いように思われます。しかし調査官は決まりに従って、丁寧に預かり証を作成します。これが非常に時間がかかり、モタモタする原因です。

恐らく税務署はこれまで納税者と「資料紛失トラブル騒動」と戦ってきたと予想します

なぜこれほど調査官が留置きに時間をかけるかというと、納税者の資料を預かるということはすなわち資料紛失のリスクを負うことになるからです。恐らく、納税者から税務署に対して「資料を紛失したのではないか」とトラブルになったことが過去何度もあったのであろうと予想します。そして実は納税者が勘違いしていた、というケースもあったでしょう。しかし税務署は一度このようなクレームを受けると、それを無視することもできずに対応に追われていたと想像します。
実際にこの資料はそのままいただける資料ですか、それとも返却希望ですか、と調査官がよく聞いてきますが、返却希望ですと伝えると調査官は残念そうな顔をします。

当該モタモタを解消するために税務調査前の帳簿提出のお願いを始めたのではないかというのが弊所独自の見解です

令和8年10月において国税庁が、税務調査前の帳簿提出の御願いについて公式の見解を発表しました。こちらのページをご参考ください。

【緊急アナウンス】国税庁が実地調査前の帳簿等データ提出に関するQ&Aを公表しました

この方針の真の目的のうちの一つについて弊所は、調査官が預かる資料を減らすための考えも含まれていると予想しております。なぜなら、税務調査日前に事前にデータで帳簿をもらえれば、当日の預かり証作成の時間も短縮できるうえ、資料紛失のリスクも避けられるためです。

この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
税理士登録番号128205
税務調査案件を安価で全国対応している京都の税理士
税務調査前の自主申告期限を守るため土日祝日深夜対応を行う
これまで多くの税務調査案件を早期終了に導いてきた

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